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2022.6.20 なぜ女系継承が国を滅ぼすのか?

天皇は英語で『エンペラー(Emperor)』。
つまり、皇帝です。

現在、世界で王(King)は数多くいるものの、『エンペラー』と呼ばれる人物は、我が国の天皇陛下ただお一人です。

そして、我が国の国号は今でこそ日本ですが、天皇を戴く世界唯一の『帝国』でもあります。

その帝国が、女系天皇を認めようとする風潮があるということは、いつか皇室が民間人に乗っ取られてしまい、皇統が絶えるということを意味します。

野心を持った男が皇族に近付き、自分の子を天皇に即位させ、自分の王朝をつくることができてしまうのです。

もし、その野心を持った男が外国人だったらどうでしょうか。

外国人が皇室を乗っ取ることもできます。

そのようなことを防止するために、日本では女系天皇を歴史的に認めて来なかったのです。

恐らく、女系天皇賛成派の人は、こういった想定さえしていないか、もしくは承知の上で、皇統を絶やそうとする者かのどちらかでしょう。

ヨーロッパでは、こうした規定がなかったために、女系王の即位によって国が乗っ取られた例が幾つもあります。

有名な例がスペインです。

15世紀末、ハプスブルク家の王子フィリップは、スペイン王女フアナと結婚をしました。

二人の間にできた子が、カール5世(カルロス1世)です。

スペイン王国に男子の後継ぎが無かったため、カール5世はスペイン王位を母フアナから相続します。

こうして、スペイン王国は合法的にハプスブルク家に乗っ取られたのです。

この手法を逆手に取って、ハプスブルク家は諸国を乗っ取り、広大な領土を有する大帝国(神聖ローマ帝国)となりました。

ハプスブルク家というのは、悪い言い方をすれば“結婚詐欺師の一族”です。

フィリップのような美形男子が、各国の王侯貴族の娘をたぶらかして、諸国を巧みに乗っ取りました。

安易に女系継承を認めると、ヨーロッパのように皇室が乗っ取り合戦の場になってしまいます。

日本の先人たちは、国体を保つためには、男系継承を守る以外にないと考えました。

男系継承は、『中国の家父長制(父が家の主として統率権を有するという考え方)に由来するもの』とする見解がありますが、どこの国や地域にもある一般的な考え方です。

古来より、ヨーロッパ社会もまた男系継承でした。

ヨーロッパの王室には、サリカ法という男系男子による王位継承しか認めない規定がありました。

サリカ法はゲルマン系フランク人サリー族が、6世紀に作ったフランク王国の法典に由来します。

男は戦場に出て戦います。

兵役の義務を果たす者が、家督や財産などを継承する権利を持つという考え方を根拠に、サリカ法は男子の継承を規定していました。

男は女と異なり、武力を行使する主体として他を征服することもでき、他の征服から守ることもできます。

武力を背景に持つ男が家督や財産を継承し、責任と義務を果たすべきとする考え方が、男子継承の原則の根底にあったのです。

この考え方は一部の例外を除き、古今東西に共通しており、決して男尊女卑から来る発想ではないということが分かります。

また、武力を持つ男を潜在的な征服者と見做す観点から、女当主とその配偶者の子、つまり女系子孫には継承権を認めないとする考え方もありました。

しかし、サリカ法は、男子の継承者がいない場合、女子の継承を認めていたので、結果的に女系継承を防ぐことができませんでした。

そのため、14世紀、フランス王室はイギリス王室の婚姻による王位乗っ取りなどを防ぐため、サリカ法を補強して、女王のみならず女系の王位継承を禁止しました。

これ以降、サリカ法は、女子と女系の両方の継承を禁止する法としてヨーロッパで認識され、フランス王家以外の王室でも取り入れられていきます。

そして、ハプスブルク家(神聖ローマ帝国やスペイン王国)、イタリアやドイツの領邦など、ヨーロッパの多くの国や地域でサリカ法が維持されました。

男系継承は、決して日本だけが特別扱いしているものではなく、世界共通の一般認識なのです。

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