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心のブラックボックス

人は誰しもブラックボックスを抱えて生きるものだと思っていた。誰にも見せない自分だけの箱を心に秘めているから、社会と上手く付き合えていけるのだと。

箱は、ストレスを投げ込んで客観視したり、悲しみを置いて時間とともに蒸発させられる場所。

楽しかった思い出もいつでも引き出せて、感情が立ち止まったり、消えていってしまっても、触媒として変化がない場所。

社会と円滑に付き合うために、表面に出さず殺した感情たちが供養される場所。

相手が望む以上に溢れてしまった愛情、日を見ずに終わった慕情が沈殿する場所。

なんとか、なんとか生きてる。
見えない箱を頼りに。

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