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月が泣くとき

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書き溜めた詩を まとめています。
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ゆきさき

暗闇に灯る 明かりが
かする匂いが
雑踏に消されてゆく

懐かしい音が
あの時とか
あの時とか
あの時を
連れてくる

誰にも邪魔されることはない

いつだって
安心するほど
わたしは ひとりだ

途絶えることを 恐れないで
ただ前を向いて歩き続ける

あの時とか
あの時とか
あの時を

忘れてゆきながら
忘れてゆきながら

終わりに向かう
#詩 #詩を書く #オールカテゴリ部門

金色にたゆむ

金色にたゆむ
それは
夕方が来て
夜が来て
闇が来て
黒いこねこのような
そんなとき

とても 安心することに 気が付いて
わたしは 事あるごとに それを せがんだ

聞き分けのない子でごめんなさい

いつだって気がつけば
私は
安心を 欲しがってた

高み

そこに到達したいのだけど
わざと 回り道して
道すがら のらくら 脇道それて
そういうのが かっこいいと思ってたけど
あの人は
直接 そこに 到達していて
すごく 短絡的で
飽きたけど 正解だった

ブルサにて

いつか 朽ちようとも
普遍は
変わらなく私のそばにあり
ただ 過ごすことのたいくつと 素敵は
時々 空虚をみる

トルコ ブルサにて

宇宙のかおり

宇宙の 香りが
微かに した

あの人の
足跡をたどって
ここまで きた

扉を開けた時の
苔むしたような

宇宙の 香りが
微かに した

夏至

地面に伸びる
自分の影を蹴りながら

わたしは 歩く

改めて

地球は
気付かせようとする
そうだ、回ってるんだぞ、と

影を蹴って
地面を蹴って

生まれた時点で
宇宙の歯車に組み込まれている

何億光年経とうとも
孤独は
宇宙の原理
#詩 #詩を書く#ポエム

風化

日没に
冬のおわりを 告げる 匂いが
目前をかすむ

ざわざわと くすぐったいような

包み込むあなたは
とても 柔らかく突き刺す春の日の 風だった

漁港にて

遠く遠くの
大きな大陸の端の
小さな漁港で

わたしは
船に揺られている

うみねこのなく声と
潮騒だけ

船を降りたら

きっとアイスクリームを食べよう
とびきり大きいのを
とびきり甘いのを
とびきり色鮮やかなのを

3つ食べよう

楽しくなるとそれでいいんだ

ときおり 意味を考える

それは
とてつもなく 無意味なこと

無題

ここで
待つしか すべがない

約束は 果たされないことを
私は 知っている

それでも
ここで
待つしか すべがない

心細くて 泣いてしまいたい

いつものように
ひとりだけど

映画のワンシーンみたい

じりじりと つま先が雨に濡れて
冷たくなっても

それでも
ここで
待つしか すべがない

いつものように
ひとりだけど

砂のひとつぶ

あっという間に
指先から
流れていった

わたしは
大地を踏みしめて
誰かの代弁者なのだと
思い込んでいる

あっという間に
指先を伝って
流れていった

ある場所

さかなが はねたときみたいに
何かが 奥ではじけた

左手に持った
コーラの空き缶が重い

私を ある場所へ
私の ある場所へ
生ぬるい風が
吹いている

このままでいいけど
このままではいられない
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

無題

こんなふうに笑ったことなんてなかった
って、あなたは

ありきたりな言葉で
私を まどわせる

遠すぎるあなたは
どんなにそばにいたところで
距離をはからずにいられない私を
さらってゆくことを
いつだってできるからと 
余裕ぶった笑みで
押し返す

さよならを 何度経験すれば 
あなたに 触れられるんだろう
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

沈む

日が長くなって
一日の終わりが 遠いとき

ざわざわする鼓動を
飲みこむでもなく 飲みこんで

臆することなく
意気込むことなく

この 蒼い時間を
過ごせるように
わたしは なりたい
#詩 #詩を書く#詩作#ポエム

青い匂い

苔むした 青い匂いが

近くで 談笑する
見知らぬ初老のあの人を
つかまえようとした

未来は
夢うつつで
柔らかいままだ
#詩 #詩作#詩を書く#ポエム