見出し画像

虚実日記8月

8月1日
飲みの席ではいつも「お疲れ」って言って乾杯する。ほんとは「乾杯」って言って乾杯したいって思ってる。 そんなことを思いながら、独りで晩酌午前零時

8月2日
Yahoo!芸能欄見出し
「橋本環奈 ノーバン投球♪」

クリック。

ー福岡のヤフオクドームにて。始球式に「1000年に1人の美少女」と呼ばれるアイドルの橋本環奈さんが登場。ノーバウンドの投球を見せた。

○コメント欄
ノーバンか
間違えやすい見出しで釣るな
タイトル見飽きた
わかってる…

俺だってわかってる。釣り記事だ。
ノーパンと見せかけてノーバン。
ノーバウンド投球。
そんなことはわかってる。
わかった上でのクリックだ。
俺はノーパンが見たいわけではない。
俺のお目当てコメント欄。
男の悲哀に密かに声援。

8月3日
誰かに遊んで貰いたくてトルコアイスを買いに行く。

8月4日
14時。演劇仲間であり友人の亀ちゃんと下北沢で待ち合わせ。お互い昼ごはんを食べていなかったこともあり、サイゼリアで遅めの昼ごはんにする。おれはペペロンチーノ、亀ちゃんはミラノ風ドリアを頼む。食べ終えると亀ちゃんはメニューのデザート欄を食い入るように見始めた。 「ティラミスにしようかな。でもこれ美味しいけどすぐ無くなるんだよ。無くなるのは嫌だな。無くなるのは嫌だ。どうしよっかなー」と独り言にしては大きな声で悩みをアピりだした。きっと無くなったのは食べたからだ。皿から消えたわけでも、どこかに置き忘れたわけでもない。食べたから無くなったんだよと内心思いながらも何も言わずに黙っておいた。結局亀ちゃんはミートスパゲティを注文した。

8月5日
夕方6時。
バイト帰り、マックに立ち寄り日記の執筆。
店内は高校生で溢れかえっている。
男子はさ…女子は…男子は…女子はさ…
聞こえてくる青春の残響。嗚呼、眩し過ぎる。
男子!って言われたい。男子でくくられたい。
(25歳男性)

8月6日
バイト仲間の潮田さんから生チョコを貰う。
手作りかな、と思ったけどお店の物らしい。
「超美味しいんですよ♪口の中で溶けちゃいます」
へえ、溶けちゃうのか。美味しそうじゃないか。
あとで食べよ。楽しみだ。でもなんでくれたんだろ。バレンタインの時は貰わなかった。潮田さんは優しくて謎な人。バイト終わり、冷蔵庫から取り出す。溶けてる。なんかちょっと溶けてる。えー、うそなんで。口の外で溶けはじめている。ああダメだダメだ。口の中で溶けないと。慌てて中へ放り込む。

8月7日
外はピーカン。履くはビーサン。あまりの暑さに蝉すら茹だる。誰かと会いたいような、会いたくないようなそんな午後。眼前に忽然と立ち現れるは上下を端正なスーツで粧し込んだ若衆。肩まで伸びた長髪を揺らして一同の目を惹く。その姿に煽動されるがままに素直に刮目。しかしその堂々とした立ち振る舞い。腕を捲ることさえしないのか。見ているこちらが暑苦しい。息が詰まる。駆られる発汗。なぜこの酷暑でもって長袖着こなし凛と佇む。ひとりでに苛立つ。

8月8日
友人の吉田くんと相沢カップル宅にお邪魔し、一緒に宅飲み。怪談番組を見る。カメラに映り込んだ幽霊の姿に恐れ戦く。ヒーッ!とわかりやすい悲鳴を上げるのは相沢。その横では吉田くんずっと真剣。ぼそぼそ何か言っている。
「幽霊…どこに映ってる? 見つけられない」
可哀想だと思い、みんなで教えてあげる。ほら、ここに映ってるだろ。ほら、ここだよここ。ここんとこの隅に映ってる。わかんない?よく見てみ?ね、ほらほら。教える僕ら。教わる吉田くん。しかし吉田くんは何度見てもお分かりできないようだった。吉田くんは床を叩いて悔しがる。僕たちも一緒になって悔しがる。そこで思った。幽霊も気を遣って欲しい。映るなら映る、映らないなら映らない。

8月9日
猛暑。
平常の気温と比べて著しく暑いときに使われる言葉

「あづいあづい〜」
連日の猛暑。本当に暑いとき人はあづいと唱える。あっづい!他の追随を許さぬあづさ。強い日差しに照らされ、おれはつゆだくのテリヤキ。好い加減にしてくれ。厳しい暑さとはホントその通り。情け容赦ない。もうっ!著しいが続くと徹頭徹尾、感覚感度ばかになる。おかしな暑さでこの身が溶けぬよう、なるはやで気候と打ち解けたい。どうにか汁明けできないか。水浴びくらいしか思い浮かばない。ぷかぷか水に浮かびたい。じぶんでじぶんを報いたい。即効には速攻、地元のプールへ。生憎、畜生、休館日。思いを晴らせず、天気と裏腹やるせない。休肝せず。即して酒に淫する。度が過ぎる。日焼け酒焼け赤ら顔。あっちゅ美味、夜も思いも耽けていく。

8月10日
小腹が空いたのでローソンでLチキを買う。新作、メキシカンタコス味。完全にネーミングで決めたワケだがどれどれ。仰々しい名前に反して味は控えめ。可もなく不可もない。ほかの味となにが違うんだ。ぼりぼり食べ進める。気づく。辛い。あ、辛いです。決まって辛さは後からやってくる。何でだ腹立つ。身の危険は早く知らせろ、身。逆に甘さは後から来たっていいだろご褒美なんだから。順番考えろばか。そして最後にお見舞い遅刻のタコス。舌先でサルサ踊る真ん中。

8月11日
渋谷で珈琲店を経営している知人のもとを訪ねる。
たしか彼はおれより4つ下だったはずで、自分の店を構えるまでになった彼の行動力には頭がさがる。小さめな店内だということも手伝って中は人で溢れ、みな談笑しながら優雅な仕草でカップを傾けている。人気なんだな。ここにいるヒトは友人どうしなんだろうか。それともここで出会って知り合いになったんだろうか。初めましての場所、またねの場所。人と人が寄り添える空間。緩やかな時間が流れる。ここでは誰もがじぶんに素直になれる。こだわりコーヒーとやらを注文。珈琲がビーカーに注がれ提供される。なぜに容器はビーカーかは気にするなかれ。焙煎だ抽出だ。口に含み舌で転がす。芳醇な香りが口いっぱいに広がる。なるほど。これが彼のこだわりか。ふむ。香りはいいが酸味が利いていてあまり自分の好みの味じゃない。感想を聞かれたので正直に答える。珈琲好きは酸味を味わうものだ。珈琲を好きであればあるほど酸味を愉しむものだ、と軽く説教気味に言われる。そうなのか。好きは酸味に比例するのか。そういえば前にも同じようなことがあった。本当の麻婆豆腐好きは辛いものを好むとかなんだとか、そんなことを言われた。この場合好きは辛さに比例するらしい。しかし本当ってなんだ。こっちだって好きな気持ちは本当だ。ふと、すきな人のことを考える。この気持ちは本当なんだろうか。何に比例するんだろうか。

8月12日
以前から気になっていた円盤に乗る派という劇団の演劇を観に行く。なかなかに難解な内容。上手く話に乗れず、楽しめなかった。じぶんは円盤に乗れない派だったと知る。

8月13日
連日の猛暑ということもあり最近はお風呂は決まってシャワーだ。だけどなんだか今日は湯船に浸かりたい気分。銭湯に行く。サウナ。気づけばサウナ。湯船に浸かるつもりがサウナを見かけてサウナなう。外にいたらいくらでも汗はかく。けど。わざわざ見知らぬ人と裸むき出し温室籠る。ダラーっと噴き出し、汁滴る。これは、この汁は。外で日差しに晒されて噴き出すそれとは違うのだ。デトックスだデトックス。言い聞かせる。汗の種類を信じよう、毒素よ出よ。

8月14日
ふへー。ほへへ。気持ち良すぎて変な声がでる。
なんだここは。天国か?楽園か?ユートピアか?あ、銭湯か。昨日に続いて今日もきた。サウナには入らず湯船にゆっくり浸かって疲れを癒す。気づけば2時間。一人にしては結構いたな。身も心も満たされ外に出る。さあ帰ろう。普段は通らない道を、マンション近くを通りすがる。あ、ここ昔住んでたとこだ。小学生の途中まで住んでいたマンション。景色に促され回顧する。住宅街の音が変わっている。静寂が増え、成熟した音が聞こえてくる。育つのは子どもだけじゃないんだな。

8月15日
昼食、いきつけのインドカレー屋に入る。店内はお客さんで満杯。賑わっている。 おやおや、これは少し待つかなと思ったもののすぐに席を案内される。ひとりでよかったラッキー。しかし案内されたのは4人掛けのテーブル。他に席がないから仕方がないけど少し肩身が狭い。水が運ばれてくる。「こんにちはーこんにちはー」と店員さん。接客が挨拶。こちらも返す、こんにちは。ここの店員さんは全員インドの方。みんな気さくで笑顔が素敵だ。外国料理のお店ってフレンドリーで愛嬌があって居心地が良い。フラットな関係。接客の他人行儀な感じはイヤなのだ。おもてなさらず結構です。チキンカレーを注文。 もちろん相方はナンさん。すかさず届く。はえ。即だ。即ナンの即カレー。こちらも間髪入れず口に運ぶ。
「いただきまーす」

…うまい。これだ。これ、これを食べたかった。
俺はこれを求めていたんだ。口に入れて初めてわかった。そうか、俺はナンを求めていたんだ!カレーを食べたくてこの店に入った訳じゃない!ナンを欲していたんだ!今日の俺はナンの口。器からあれよあれよ、あっという間に消えていく。わあ美味しい。カレーの辛味も丁度いい♪「ナンのおかわりありますよー」
店員さんが優しく話しかけてくれる。

いらない。いらないよ。ナンはひとつでいい。
あんなデカイもんいくつも食うもんじゃない。
俺だって馬鹿じゃないんだから。
美味しいけど。お気遣いありがとう、店員さん。

8月16日
店の扉を覆う大きな貼り紙。 デカデカとした書かれた〝閉店〟の二文字。家近くのセブンが8月いっぱいで移転するという。ショックで扉の前で膝から崩れ落ちた。海岸沿いに行ってしまうらしく行き帰りなどでついでに立ち寄ることが出来ない。近くて便利だったのに。コンビニがあるから便利なのではない。セブンだからこその利便性だった。ローソンはスイーツ系充実してるけど弁当デカバカだし、ファミマは店舗拡大の仕方に恐怖を覚えるし、兎にも角にもセブンなのだ。なんでもそうだ。どれだけ前置きをしたとしてもいつでも話は突然で。

8月17日
演劇仲間が出演する演劇を観に行く。観劇後、挨拶をしようと思いうろうろしていると知り合いがウヨウヨいた。みーんな知り合い。ゲリラ同窓会になる。みんな仲良く食事をすることに。女性の会話はテンポが早い。話題がコロコロ変わるのでついてけない。男ひとりトークの大縄に入れないでいる。言うに足りないことで入っていけるみんなが勇ましく思える。しかし居心地は悪くない。聞いていて十分楽しんでいるので、つまんないなーて態度をしているとは思われたくない。ちと無理して輪に入る。入り損ねた。暫しだんまり。いや、損ねたとかないのかもしれない。これはムードだ。ムード吹かせて漂ってればよいのだと悟る。

8月18日
友人と酒を飲んでテキトー言った
すべて忘れてくれ。

8月19日
夜。夕飯に一蘭のラーメンを食らう。数年ぶりなのでいろいろを忘れている。ちょいと勝手わからん。ここはそういえば仕切りで独り独りブースが分かれてるんだった。店員さんの顔すら見れない。スーパー行けば野菜は生産者すら見れる時代だというのに。
そーいやあラーメン屋行くと味・トッピング・スープ諸々好みを聞かれる。あれいちいちめんどくさいんだよな。お前んとこの一番出せよって思っちゃう。2回目以降はまだ考える余地あるけど初めて行った店で聞かれるとよけいに。いやベースの味知らんし。シンプルに出したらどんな味やねん。横みれば仕切り板に味集中カウンターと書かれてる。集中カウンターて書かれると集中力、ウンターにみえるな。ウンターってなんだろ。おれ全然集中してないな。
「それでは少々お待ちください失礼いたしまーしゅ」
暖簾越しに店員さんがゆっくり丁寧に噛んでた。

8月20日
電波悪いのか携帯が重い。だれかさんがツイートした画像がいつまでもでてこない。添えてある言葉に惹かれる。勘でいいねする。あとで画像みて愕然とする。勘は外れてた。

8月21日
お金をいくらか下ろそうと最寄り駅近くの銀行に立ち寄ると高校時代の旧友に出会った。随分と久しぶりだ。卒業以来だろうか。一体誰なのか、すぐには思い出させないほどに友人はぶくぶと太り、顔は膨れ、まるでどんぐりだった。どんぐりと話しているとまたもや見覚えのある顔が通りかかった。同じ高校の同級生だ。みな地元が同じだとはいえ、こんな時にこんな所で偶然集結するとは。驚いた。もちろん会話は弾まない。

8月22日
近所の中華屋で昼飯。お気に入りのメニューがあったはずだが思い出せない。いつものことだ。適当にチャーハンを注文する。正解。味わう。しかしいつまで経っても飲み物がこない。「お水ください」たまらず店員さんに声をかける。

あーっ!!

大きな声を出して厨房に消えていった。
そんなに驚かなくても。こちらが驚く。

あれ。差し出されたのはジャスミン茶。「すいませんでした」と言葉を添えながら店員さんは笑顔で応える。どうやらサービスらしい。待ったと云ってもそこまで大した時間じゃない。気を遣わせてしまったか。「ありがとうございます」店員さんの優しさに感謝をしながら食べ進める。うまうま。しばらく経って喉が渇いた。水が飲みたい。ジャスミン茶はもう底をついている。水を頼もう。だけどなんだか言いづらい。これ、、水くださいって言ったら水くるのかな?それともまたジャスミン茶くるのかな?どーでもいいとはわかっちゃいるが考え始めたら止まらない。ジャスミン茶好きだからジャスミン茶きたら嬉しいなー。でもきたとしても2杯目はふつうにジャスミン茶代としてお金とられたらそれはやだな。水でも全然嬉しいよ。タダならジャスミン最高よ。
つい店員の立場でも考えてしまう。じぶんが店員さんでこの状況だったら、水くださいと言われたので水を注ごうかしら。「1杯目はジャスミン茶だったのに、なんだよ2杯目はふつうに水か。ノーサービスか」思われるだろうか。小さい人間と思われるだろうか。そんなこと思われながら水を注ぐのいやいやだ。平和的な解決のためにもここは我慢だ。パパッと食べ終え店を出る。サービスは悩ましい。

8月23日
バイト先の同僚に、一昨日の出来事を話そうとするも話し始めでつまずいた。偶然会ったその「場所」を伝えたいのだが、伝わらない。駅の近くには銀行が2つある。南口と北口。じぶんが使ったのがどちらか分からない。仕方がないので銀行近くの目印になるような店舗を探す。並びに富士そばがあったはず。富士そば?うん、富士そば。駅近くにあったっけ?うんあった。あったよ。うーん分かんないな。そっか。あっ、不二家!不二家もあるわ。不二家ってケーキの?うんケーキの。不二家近くの銀行よ。みずほ。ベロってだしてた?ベロも、確か出てたと思う。

「コージーコーナーじゃなくて?」

あ、コージーコーナーだ。

「箱根そばじゃなくて?」

あ、箱根そばだ。

不二家じゃなくてコージーコーナーだった。
富士そばじゃなくて箱根そばだった。
フジ縛り。

8月24日
at the 自宅にて
父親が、ラブラブローピア♪と
スーパーロピアのテーマソングを歌いながら
階段を上がっていった。
「機嫌、バレてるよ〜」母はつぶやく。

8月25日
昨日セブンで買ったカラムーチョを食べる。細切りじゃなくてポテチタイプのやつ。美味い美味い。辛さがクセになる。堪らん。止まらん。あっチュ間に完食。ご馳走したー。食べ終えて手を洗う。
おやおやおや???洗っても洗っても消えないニオイ。指先から香るカラムーチョ。指紋に入り込んでしまったか。「カラムーチョの香りはヤッカイモノ。」
あれほど何度も復唱したはずが、食べる度に悩まされ毎回忘れる。箸やら使って食べよう。思って終わる。復唱して終わる。いや参った。今回こそ本当にとれないかもしれない。これは一生消えない。きっと一生もんだ。カラムーチョ川舩として生きていくしかない。

8月26日
男と女の違いがよく分からんくなって
猫を眺めながらぼんやり考える。かわいい。
考えているうちに、こんなにも猫は可愛いのに何故おれは猫には射精しないのだろうとまた分からなくなった。猫はオスだった。

8月27日
プール求めて横浜へいざ行かん。休館日。プール行く日はことごとく休みにぶちあたる。日も足も伸ばしきった。ただしこれは延期。中止にはさすまい。
ながれるプール。

8月28日
「アヒル口可愛いね。うち来ない?」
隣の席にて整髪な男がお世辞を引っ提げ口説いている。ナンパでない。事務所への勧誘だ。つられて彼女の口元を覗く。これはアヒル口なのだろうか。彼女は褒められ頰綻ばせ完全にカモられている。白鳥の群れに混ざるか如何に。結末知れず、2人して店をでてしまった。彼女の幸運を祈る。

8月29日
いいかげん今のバイトにも嫌気がさしてきたので、ハローワークへと出向く。整然と並べられたパソコンがおれを出迎える。室内はFMラジオが適音量で流れていた。心地いい。FMてのはなんでこうも「ながら」で聞くように出来ているのか。しっかり耳を傾けばそこまでだが、ながらで聞くとしなやかにあやされる。FMは聞いている者を眠り落とすための兵器なのではないか。素直に従う。船をこぐ。眠りの海をさまよった。ずいぶん沖へ。身体を起こすもすでに消沈。ひきあげる。ハローワークでのうたた寝はおすすめしない。じぶんはほんとにだめだとおちこむ。

8月30日
元気だして、と言われる。俺はいま元気だ。元気は出すものらしい。何事も元気を求められがちだ。求められるなら「健康」とかであってほしいデスヨ。大きな声で張り切ってる人は茹だってて元気の現役ですねー

8月31日
用事を済ませ、夕食求めて新宿を渉猟。歌舞伎町周辺の定食屋に入る。外装と似つかず畏まったお店のようだ。着物を召した女将がいる。そしてその横には何故か浴衣を着た女性店員もいる。店内ふたりだけ。ほかに客はいない。メニューに目を通す。浴衣店員さんを呼ぶ。珍しに惹かれてジンギスカン定食を注文。店ふたり仲良く談笑しながら準備にかかる。

皿を落とす。
ぱりんっ、と割れる音が響く。
「失礼致しました」
「ごめんなさいごめんなさい」
呟きながら割れた皿を拾おうと腰を屈める。
女将 「動かないで、あぶないから!」
張り上げた声が耳をつんざく。
それから1時間、ふたりは微動だにしていない。

#日記 #ただの日記 #毎日日記 #嘘日記 #コラム
#エッセイ #フィクション #ノンフィクション #創作

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?