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中立的な立場で調査に向き合う リサーチャーとして意識している4つのこと

※この記事は、Sansan Tech Blogの再掲です。

はじめまして、UXリサーチセンター UXリサーチャーの祝原(いわいはら)です。
病院の医療事務やユニバーサルデザインのコンサルティング会社を経て、2021年の8月にSansanのUXリサーチャーとして入社しました。

前職においても調査を業務として行っていましたが、自社プロダクトの調査業務に携わる中で、より一層意識したことや考え方を変えたことをお話ししたいと思います。

調査の依頼主に寄り添いすぎない

これまでのクライアントから依頼を受けて調査を実施する環境と違い、現在のインハウスで調査を行う場合は、依頼主とフラットな関係でいられることが大きな違いだと感じました。
クライアントから依頼をいただいて調査をしているとどうしても

・より大勢の人に調査対象となるものが求められていることを示すための結果を得たい
・せっかくの機会なので、多少関係なくとも本筋と関係のない設問を入れたい

などの要望に応える場面があります。

一方で社内での依頼の場合は本当にその機能が受け入れられるか、価値があるかという視点で調査を設計することが可能です。
 

調査設計をよりシンプルにすること

先ほどの話と地続きになりますが、調査をしたいと考えた人は何かを知りたいと思って依頼をしてくると思います。
調査設計の相談をしている間に、本筋と関係ないことでも(わずかでも関連していることであれば)聞きたくなってしまい、ボリュームが多くなってしまいます。
聞きたいことが増えると比例して回答する量も多くなります。

オンラインでアンケートに答えたことがある方は、終わりがないように思える質問数や細かい字で並ぶ表形式の質問など、途中から何のアンケートで何を聞かれているのかわからなくなった経験があるかもしれません。
回答する側が聞かれていることをシャープに捉えることができないと、回答の質や精度が落ちてしまうため、答えやすいシンプルな調査設計を心がけています。

回答者の側に立つこと

Sansanで実施しているユーザーアンケートは、プロダクトが少しでも良くなれば、といった回答者の厚意で成り立っているものです。
そのうえで、プロダクト名を掲示してアンケートへのご協力をお願いするUXリサーチではアンケートやインタビューへの回答もプロダクト体験の一部だと考えています。

その体験の中で私たちが提供するアンケートが回答しにくい、または冗長だという状況はプロダクトの体験を損ない、回答者の厚意を無碍にしてしまうことだと思います。
回答者が答えやすい設問にする、無駄な設問は入れないことも聞きたいことと同様に強く心がけています。

インタビューでは行動と背景を

これまでは調査設計全体やアンケートについて記載してきましたが、最後にインタビューの際に意識していることもお伝えします。
 
インタビューでは、手戻りがないように、冗長にならない程度に基本の動作や実際に行っていることやその背景を聞くことも意識しています。

例えば、Sansan社員がプロダクトについてユーザーインタビューを実施する場合、ユーザーは良かれと思って基本的な操作などを省いてお話ししてくださる方がいらっしゃいます。
基本となる操作でも、私たちが想定していなかった使い方や操作手順をされていることはよくあることです。そのため、インタビューの初めに、普段の使い方や操作方法を網羅できるように気を付けています。

最後に

プロダクトのことを知り、もっと良くしたいと思う程、中立的な立ち位置で調査をすることは難しくなっていきます。
私自身もプロダクト愛と調査設計を完全に離して考えるスキルはまだまだ身に着けていく必要があると感じているので日々精進あるのみ、と改めて感じました。


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