全リサーチを8日間でアウトプットする目標のために取り組んだこと
こんにちは。Sansan株式会社でUXリサーチャーをしている大泊です。
ここ最近、様々な会社のリサーチャーの皆様とお話する機会を沢山いただいたのですが、その中で、Sansanの調査結果のアウトプットの速さに驚かれることが多くありました。そこで、本日はリサーチをスピーディにアウトプットするために取り組んだことについてお伝えします!
なぜ「リサーチ結果の提供速度」に向き合ったのか
我々は、2021年6月に組織として立ち上がり、丁度1年経った2022年6月から、目標の一つとして「1つのリサーチを開始から8営業日以内にアウトプットすること」を掲げるようになりました。
組織として立ち上げ以降1年間は、まずはリサーチの文化を根付かせることが重要と考えていたため、
「リサーチの実施件数」
「担当プロダクトマネジャーからのフィードバックスコア」
などを目標としておいていました。
1年かけてある程度、リサーチ文化が根付いてきた一方で、リサーチをすることで逆に意思決定までに時間がかかるという声が挙がったり、調査結果が出る前に実は意思決定がなされているという状況がうまれ始めていました。
我々は、リサーチが必要な場面でしっかりリサーチが行われ、かつ調査結果が意思決定に寄与できる状態を目指しています。しかし、この時に理想とのギャップがあることに気づき、解決策を検討し始めました。
その結果、
リサーチャー自身がプロダクト理解を深めること
オペレーションやコミュニケーションの改善を行うこと
により、調査を早くまわせる仕組みを作ることができるのではないか。それによって、プロダクトマネジャーと理想の状態で調査を実施できるのではないかと考え、仕組みかが整ったところで目標として「リサーチ提供日数」をおくことにしました。
当時は、アウトプットまでに平均12営業日かかっていたため、まずは行っている業務を工程ごとに細分化し、最短どのくらいの作業時間で完了するのかカウントし、それまでの2/3にあたる「8日」を目標とすることにきめました。
(注:提供日程はキックオフミーティング実施日~報告会実施日までの営業日をカウント。アンケート→インタビューを行う場合はそれぞれ別プロジェクトとして日程カウント。)
「リサーチ結果の提供速度」を短縮するために何をしたのか
8日以内のアウトプットを目指すために行ったことは主に3つです。
①実施計画書テンプレを作り、案件キックオフに必ず用意した
元々、案件開始時にはキックオフミーティングを必ず実施し、誰にどんな調査をするのかの目線を揃えていました。ただ、キックオフミーティングでの会話は各リサーチャーに任されており、一回のMTGで要件が固まり切らなかったり、あとから確認点が追加で出てくることが多々ありました。そこで、キックオフでの会話の内容の質を均一にするため、実施計画書を必ず作ることにしました。
実施計画書には以下の項目を入れ、キックオフ前にリサーチャーが記入します。
リサーチャー側で理解の浅い部分があれば、ミーティングの中で会話をし、キックオフ終了後には実施計画書が完成している状態を目指します。
この制度を作ったことにより、齟齬なくスムーズに調査設計に進むことができるようになり、実査開始までの時間が格段に短くなりました。
②毎朝メンバーで案件進捗と作業予定を確認した
これまで、調査のスケジューリングはリサーチャー個人に任されていました。そのため、作業状況によってはアウトプットまでに時間を要したり、報告日が後ろ倒しになることもありました。そこで、リサーチャーの作業状況を可視化するシートを作成し、メンバー全員と共有する取り組みを始めました。
手順は以下です。
このシートは、日程が8日を超えると表内にアラートが出る仕様になっており、メンバーは8日を意識するようになりました。
③全案件終了後に振り返りを行い提供日数短縮のためにどうすればよいのか会話した
UXリサーチセンターでは、全てのリサーチにおいて、終了後に関係リサーチャーやマネジャーとともに振り返りを行っています。以前は、調査の依頼者であるプロダクトマネージャーからのフィードバックアンケートの結果をもって振り返りを行っていましたが、「提供日数」の観点も加えました。
8日を超えてしまった案件については、前述した業務日程の表を見ながらどこをどのように縮めれば8日に収まったのかを必ず振り返ります。「この段階でこのようなコミュニケーションを取れれば短縮できたのではないか」などと改善策を話し合い、各メンバーがもっているTipsを次のリサーチ実施時に活かせるようにしました。
目標は達成できたのか?
3ヶ月後、結果としては平均12営業日→9.14営業日と、目標としていた8営業日提供には惜しくも届きませんでしたが、着実に提供日数を短縮でき、メンバーの自信にも繋がっています。
また、提供日数を短縮化できたことにより、受けられる総案件数も増加。今までよりもクイックに多くのリサーチを実施し、結果をプロダクトの意思決定に活かしていく流れを根付かせることができました。
今後もクイックに調査を実施していく方針は変えず、より意味のある調査を実施して結果がプロダクトの意思決定に活かされていくための仕組みづくりについて考えていきたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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