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やせ薬は必要なのか|怠惰な暮らしと予防医療

日本ではダイエットや筋トレを目的とした人を対象に、フィットネス業界が社会に定着してきていますが、欧米では医薬品でアプローチする方法が盛り上がってきているようです。それは何と「やせ薬」で、これらがオンライン薬局を通して販売されるようになるそうです。

凄い時代になったものだと感じますが、僕は体重が50kgに満たない瘦せ型なので、このニュースは正直なところ他人事です。早く普及して欲しいとも思いませんし、そんなものは危ないからやめた方がいいとも思いません。

ただ、客観的に冷静に考えてみると、このやせ薬は社会にとって必要なものになり得ると思っています。

それは何故かと言うと、シンプルに人間の意志の力はそこまで強くないからです。

僕が現在50kgに満たないスリム(?)な体系を維持できているのは、20代の前半に胃がんに罹ったことで胃の全摘手術をしているからです。胃を全摘出していると当然ですが食事の量は減り、体重が増えてしまうことなどあり得ません。

この事情を話していない知人からは、質素な食生活をしていると思われているかもしれませんし、ストイックな運動習慣を実践していると思われているかもしれません。

実際には、胃の全摘手術という医学的な理由で痩せた体型を維持しているだけです。

そのため、もし現在の自分に胃が残っていたら、今頃中年太りをしているかもしれないと思うことがたくさんあります。同年代の友人はみんな、ある程度お金に困らなくなったことから、美味しいものをたくさん食べるようになり、中年太りを気にし始めている模様です。

大人になるにつれて美味しい食事を覚えていきますし、若いころに比べるとそれを食べるだけの経済力も伴うようになります。

こう考えると、変な言い方にはなりますが「胃を摘出していてよかった」と思ったりもするのです。(全然よくはないのだが)

僕が痩せているのも、目的はがん治療ですが、医療的な治療を施したからであって、ストイックな生活が送れたからではありません。休みの日にはご飯を食べてダラダラと昼寝をしたり、怠惰な生活を送ることも多くあります。

人間は本能的には怠惰なものだと思います。そこを強制すべく努力をするよりも、やせ薬を適切に処方してもらい予防に努めた方がスマートな対策なのだと思います。

スリムな体型をしている人に対して「ストイックな生活をしているからだ」とか、「健康的な食生活を実践できているからだ」といった風潮が蔓延してしまうと、肥満に陥ってしまった人が「怠惰な生活をしていたから」と自分を責めることにも繋がってしまいます。

そのため、適切な使用方法を国民が遵守できるように整備をしたうえで、やせ薬が安全に普及する社会になることが理想だと思います。

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