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弱者女性生まれの息子が詰む理由

 この記事を見て思わず納得してしまった。筆者の母親はシングルマザーではないが精神疾患持ち、時代の圧力で無理に結婚してしまっただけで今の時代なら確実に「弱者」サイドの人間であった。

 父親は暴君の母をコントロール出来ずアルコール中毒で早期リタイア。息子は母の精神疾患そっくりそのまま遺伝し自死。

 娘である筆者は発達障害で集団生活に馴染めない。一時は希死念慮に苦しむもさまざまな人の出会いで乗り越える。しかしこのような機能不全家庭で育ったため幼少期から恋愛や結婚出産に対する願望はない。

 どうやらこの手の話はよくあるようで、息子は家庭の中で母親に守られてきたにも関わらず生き残ることが出来ない。これは何故なのか考えてみた。


母親の騎士として

 毒親属性を持つ母親は(特に思春期は)息子を恋人として、娘をライバルとして認識しやすい。なので息子のことを夫以上に溺愛する場合があるが、自立させないために息子の人間関係に首を突っ込みコントロールしようとする。献身的に衣食住の世話をして実家に留めようとする。

 こうして出来上がるのが最近のネットスラングでいう「弱者男性」である。

 思春期に恋愛体験を逃した男性は女性に敵意を持ちやすい。人格形成完了までに不幸の原因が家庭環境だと気付かないでいるといわゆる「インセル」化する。

 弱者女性もまたこの過程で形成されるが男性と決定的に違うポイントは母親に対して敵意を持つか否かである。

 早期に毒親行動に気付いて自立する娘に対し、息子は母親がしてきた行動に疑問を抱かず共依存関係が中高年期まで続く場合が多い。「ママは僕が守らなきゃ」というマインドが深層心理まで刷り込まれている。

 無意識に子供を私物化する母親と、家庭という城で騎士の役割を果たす息子。このすれ違いが死を招くことになるとは家族の誰も気付かず進んでいく。


鳥籠という劇場の中で

 母親の価値観で社会に溶け込め、母親が気に入らない物は持つな、そうすることで子供は選択するということをやめる。世の中には選択で溢れ返っているのに自分は許されない。親に憤ることも諦めた子供が唯一出来る選択が死。

 男性にこれが起こりやすいのは母親を実家に置いて独立するハードルの高さも関係しているだろう。また母性を押し付けられた男性は主従関係が形成される。これはカップルや夫婦でも頻繁に起こっていることで、それが良い関係を築いているなら問題ないのだがいざ女性側がバランスを崩した時に死に直結するトリガーを引いてしまう。

 家庭内で起こりがちなトリガーの例として、

•○○ならもうご飯作らないから!
•出て行って二度と帰ってこないから!
•金を散財して破産させてやるから!

 家庭内の主導権を握る母親はこれらの言葉を使いがちだが相手に死を過らせる思考パターンをじわじわと作ってしまう。蓄積したものは同居する以上必ずどこかで破裂する。

 夫婦関係なら離婚すればいいかもしれない。だが純粋な気持ちで母親に従っていた青少年期の子供にとってはどうだろう。しかも自死遺族の母は何故子供が亡くなってしまったのか全くわかっていない場合がほとんどだ。


産まない勇気

 こうした悲劇を引き起こさない対策はただひとつ。自分が弱者属性を持つ人間だと一ミリでも自覚があるなら結婚しない子供を持たない決断が重要だ。

 ネットが普及し毒親が可視化され以前よりはその選択をする若者が増えた印象があるが、未だに「独身男性は社会的信用がない」「独身女性は行き遅れだ」などまるで昭和を思わせる言論で溢れている。

 その圧力に負け家庭を築いた結果が悲劇になる。

 国単位で少子化だと騒いでいても地球規模で考えれば人口が増え過ぎてエネルギー問題が生じている。弱者層が産まない選択をしたところで世の中にマイナスがもたらされるわけではない。

 「自分は親と同じようにはならない」もうここから毒親は始まっている。

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