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川アソビ妄想日記

8月ともなると、どうしたって川でアソビたいではないか。

半そで短パンすあしで、広い自然公園の隅っこにある舗装された川でもって、手でお椀を作ってそのお椀で下から前へ出すように、すくった水をアノ子にかけるわけである。

「ちょっと~」なんて言ってくれるだろうか、「この~」なんて言ってかけ返してくれるだろうか、そういう私とアノ子を、面白くなさそうに見ているアイツにだって、その手のお椀でもって水をかけてやればいい。

えぇ、そういう高校生活が、あってもよかった。

テニスといっても、ゴムボールでやるソフトテニスに明け暮れて、砂塗れのままチャリンコを40分走らせ1人帰るような味気の無い高校生活だった。ちっとくらい、そういうキラキラと初々しい学生生活のワンシーンがあっても善かったのではないか。

川で女の子にかける水の、心地よい冷たさと興奮なんていうのは、まるで知らないのだよ。火星と地球くらい遠いのだよ。火星にいける奴なんて言うのは、ほんの一部でしょう。

でもそれが、大学生になって、一人前に好きな人が出来て、「デートに誘う」なんていう選択肢を選んで、山梨にある有数の川というか、渓谷まで行くようになったのが、2年前の8月のことである。

川っていうのはイイモノであると、しみじみ思ったね。

市街地はバカ夏でアチアチなのだけど、山の方、川の方はひんやりしていて、緑もワッサワッサ生えているから太陽だって遮って、半そで短パンすあしじゃ少し寒いくらいなんだから。

子連れの親子に混じって、私たち2人も靴を脱いで、ちゃぷんと川に足を付けてみると、つま先から頭にかけて、キーンと冷たさが伝わるこれは、気持ちがよかったなぁ。

川に足を付けたら、もうやることは1つで、手でお椀を作ってピシャピシャやるだけである。

好きな女の子の服を塗らすというのは、子気味いい罪悪感があって、オトコなら誰しもやってみたいことではありませんか。

この時、顔にかけては決してイケナイ。化粧が落ちて、ガクッとテンションを落とさせては、ならないから。そんなことしたら、この後道の駅で食べる天然氷のカキ氷だって、美味しくなくなるに決まっているんだから。

品格のある水かけをしなくちゃイケナイ。
でなければ、本格的な夏のオトコには、なれっこないんだから。

気が付けば8月、カノジョと過ごす3度目の夏が、やってきた。



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