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第1章 05 仕事のスタンス 立ち上げてきた組織(最終回)

 さて、これまで紹介してきた組織以外でもサルトが関わる地域では主体的に身銭を切る(お金だけじゃなく)ことをスタンスとしてまちづくりを進めています。

 このことは結構重要で、単に行政からの仕事を請け負うだけじゃなく、どんな小さなことでも何らかの身銭を切らないと信頼関係を築きづらいのがこの業界だと思います。

 福岡県北九州市黒崎にある寿通り商店街の株式会社寿百家店。商店街の複数物件2階部分をシェアハウス化し1階部分を小分け複合店舗にしつつ、その一画で直営の「あんとめん」という人形焼と無添加醤油ラーメン店を経営。北九州市在住の福岡佐知子さんと田村晟一朗さんが中心に進めている中で、これまでの知識や経験が役に立てばということで、出資はしていないのですが役員として参画しています。

 また、静岡県沼津市では株式会社沼津通信、株式会社リグランの2つの会社に出資を行い、事業の立ち上げと資金調達等を地元メンバーと共に四苦八苦しながら進めているところです。

 株式会社沼津通信は、渡會信介さん(通称:しまやん)が代表を務め、今や月間40万PV・15万UU以上を誇るローカルメディア「ぬまつー」を運営する会社です。沼津で2人に1人は見ているメディア「ぬまつー」は、しまやんの沼津愛の結晶だと思います。

 当初リノベーションスクール@沼津で生まれた「ぬまつー」ですが、最後まで諦めずにしまやん含むメンバーが記事を書き続けたことが現在の偉業につながっています。全国で雨後の筍のように生まれるローカルメディアですが、ここまで成長するのは並大抵ではなく、これからの成長が楽しみな組織です。

 株式会社リグランは、沼津で最も有名な老舗和菓子屋「いせや」閉店に伴って、どうにか「いせや」を残したいという思いと、株式会社THE MARKETのベーカリーが製造している「サワードウブレッド」の量産ができる場所を沼津で作りたいと考えたからです。

 不動産事業や公民連携に取り組む一般社団法人lanescapeとサルトが出資をして、銀行から資金調達を行い「いせや」本店の土地建物を取得、もとの工場を使ってパン製造をしています。

 特にlanescapeの理事で市役所職員の渡邊和之さんの存在が大きく、リグランを軌道に乗せるべく、彼と共にもがいている状況です。

 そして今まさに取り組んでいるのが奈良県大和郡山市。戦国時代から続く城下町である郡山ですが、多くの地方都市同様、せっかくの町並みと町割りが活かされず、空き店舗や空き家が多く、人口減少高齢化に悩まされています。

 そんな中、リノベーションスクールから立ち上がったまち会社が家守事業を展開し、すでに複数の実績を出しつつ、大和郡山市がバックアップして定期マーケットを開催しています。

 定期マーケットの運営は、地元老舗森嘉の森川さん、大和郡山市に物件を購入してデザインオフィスを経営するパンダの三原さん、サルトの3者で大和是好日運営パートナーズを組成し取り組んでいます。出店者は地元店舗を中心に構成することで、始まってまだ1年も経っていないにも関わらず、参加店舗から新規顧客創造につながっているという評価をもらっています。

 これまで書いて来たように、21世紀の都市計画家とは、関わる地域にしっかりと仲間を作りつつ、思想家であり、戦略家であり、実践経営者であることが求められ、私自身もそのようにありたいと常に考え行動しています。

次回はやっと本題です。
「まちづくりとは」について、話を進めたいと思います。

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