世界に従順な大人たちが、世界に従順ではなくなった私たちに動揺していた。

地球星人 感想
社会からはみ出た異星人を産んだのはきっと社会だ。
さすが村田沙耶香さん、今回も凄い。
今回特に思ったのは社会のせい、どうしようもなかったの2つだ。
こうならないルートが見えない。
環境によりあらかじめ決定されてたストーリーの様に感じた。
何故こうも突飛で受け入れ難く、気分の悪くなる設定を納得させてしまうのだろう。
明らかにおかしいのにそうだよねと納得してしまう。しまいには自分の元あった常識がおかしいと、この社会がおかしいのではと俯瞰した感覚を持つ。

今回最も強烈だったのは
「世界に従順な大人たちが、世界に従順ではなくなった私たちに動揺していた。」
大人はずるい、側しか見ていないのだ。その裏には感知しない。つまり疲れない様に生きている。
そしてその生き方が正当だと思う為に、世の中に正当を作っている。
本質は違うのではないか、正しい生き方とは?多様性という言葉では収めたくない考え方を社会は受けれいない。
自分達で正当を作るには恐らく才能がいるから。
作れない人々は恐らく壊れ、自殺する。
姉と妹の対比が良かった。
恐らく元々、生まれ持った体を考えれば妹が社会に順応し、姉が反旗を翻していたのではないだろうか。
しかし、環境がそれを許さなかった。
家族の愛、他者からの性欲、見当たらない吐口、理解者。
これが真っ当に生きられたはずの少女の自己を強くし、生きるのが難しかった姉の自己を弱くした。

結果妹の才能は幼少期と大人の時期の理解者を得た時に開花する。
人間を離れ、地球星人を脱し、想像を現実にした。
生きのびる為に究極の自己を手に入れる作品。
何がいけなかったのか?いけなかったという考えがおかしいのか?世の中に蔓延っている問題だけで、異星人が誕生した。

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