見出し画像

おすすめ "モネ 連作の情景" 鑑賞 @ 大阪中之島美術館

大阪中之島美術館で開催された「モネ 連作の情景」展を 鑑賞しました。

この展覧会は、100%モネと謳っているだけあり、とても見応えのある展覧会でした。

まるで光に輪郭があるかのように、色彩で空気感を表現しており、その迫力に圧倒されました。

また、展示室の照明や各セクションのコントラストが考え抜かれており、時代ごとの作品の変遷が分かりやすく、美術初心者の自分でも楽しむことができました。

ウォータールー橋、ロンドン、日没(いくつかの作品は写真撮影可能でした)

空気感を絵に

印象派の画家の中でもモネは空や水の表現が秀逸で美しいと感じます。印象派画家の技法としての特徴である"静止画ながらも動いているように見える描写"は、まさにその場の一瞬の空気感を絵として採取しているように感じられます。

そのため、作品に近づいて筆跡を凝視するのではなく、少し距離をおいて鑑賞すると解像度が上がるという不思議な感覚に包まれます。

また、作品の変遷をみると、日本初公開の作品「昼食」では人物をモチーフに描かれており(例えば、カミーユと息子など)、晩年の作品と比べると輪郭がよりはっきりと描かれています。

これは印象派前の写実主義の影響がでているように感じました。

境界線をあいまいに

一方、1900年に描かれた作品「国会議事堂、バラ色のシンフォニー」では、夕陽の逆光によって浮かび上がるシ建物のシルエットと周囲の境界線があいまいになり、全体が揺れ動いているようにも見えます。

特に後者の作品は、モネが34歳で第一回印象派展に出展した際、評価を得られなかったというエピソードから、当時としては非常に前衛的な表現だったことが伝わります。

主題が曖昧であり、全体的に何を描いているかすら分からないような作品=雰囲気を描くというアプローチは、当時の画壇において大きな課題になったと推測できます。

これは音楽の世界でいえば、分かりやすいメロディーや展開をなくし、”音”そのものの響きで曲を構築するドローンやアンビエントなどの"音響を重視する"ジャンルに通じるかもしれません。

睡蓮の池

連作シリーズからの成功

モネは自らが美しいと感じながら描いた作品が、世間の評価と乖離する苦悩をいだいたかもしれませんが、連作シリーズから成功が決定的となり、画家や観光客が拠点であるジヴェルニーに押し寄せるくらいの熱狂が生まれたそうです。

印象派を代表する画家であるモネの作品を実際に鑑賞し、色彩の表現がどれだけ深いものかを堪能することができてよかったです。目に見えるものではなく、心を通して描かれた光の空気感は、時代を超えて伝わりました。いつかフランスのジヴェルニーに行ってみたいなあ。

鑑賞後、そびえ立つヤノベケンジさんの「ジャイアント・トらやん」の迫力に圧倒されつつ帰路へ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?