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押し付け合い 温度と距離


美人と可愛いなら、どちらが好きですか?


私はどちらも。 この答えは決して欲張りではないと思う。 どちらにも心を揺さぶられる。 台風の日の木々のように、私の心はいとも簡単に揺れ動く。 美人とはなにか。 可愛いとはなにか。 そんなことを考える暇すら惜しい。写真を見て、映像を見て、姿を見て。 その一瞬でどうしようもなく心が揺れたら、そんなの抗えない、抗いたくない。 美人は憧れるし、可愛いは正義だ。 随分昔からそう思っていた気がする。 まるで男のような思考だね、と友人が笑う。 確かに、視点は男性と気が合うと思う。 フェチズム的にも。 それはそれで楽しいのだけれど。


では、イケメンと男前なら?

正直、イケメン という言葉が好きじゃない。 なんだか軽く感じてしまう。 お世辞のような、ありふれたものに名前を付けただけのような、そんな違和感。 いや、誰かが使っている言葉ならいい。 私自身が使いたくないだけ。 イケメンをイケメンと呼び、騒ぐ女の子たちは好きだ。 だけど私はそれが出来ない。 なのでそういった女の子たちを眺めている方が何倍も癒されるし眼福なの。 私は断然、男前 の方がいい。 または 二枚目や三枚目、ダンディやハンサムや渋い という褒め言葉の方が心に刺さる。 


なにが好きで、なにが嫌いか?

道行く人に聞いたりしないのに、何故か人に押し付けたがる。 〝私はこれが好きです〟だけでは何故か不十分。 昔から、そういう人はどこにでもいた。 好きな人の好みを知っているだけではいけないの。 それこそ、押し付け合うように好みを主張するのは、あまりにも醜く見えてしまう。 

けれどその醜さや滑稽さも、私はどうにも捨てられない。 矛盾こそ人間で、歪こそ魂。 そういう人間が好きな私だって、矛盾しているし歪な魂を持っている。 美人も可愛いも、どちらも持っていたら最高だし、女としてはどちらも持っていたい。 愛嬌のある女が最強 だと言うけれど、私に愛嬌などあるだろうか? あったらいいな。



洋服やアクセサリー、鞄に香水。

どれもこれも過剰なのは良くないし、少な過ぎても駄目らしい。 そういう制限すら、惜しくなることがある。 元々、警戒心が強いせいか ここまでなら大丈夫 というラインが色濃く心に引いてある。 この人の言うことは聞く、この人は興味が無い、この人は守りたい、この人は守ってくれる、この人は全て大丈夫。 そうやって細かく引かれたラインを臆することなく跨いで来てくれた人。 それが、私にとって安全な人になる。

我ながらとても面倒。 もっと楽に生きれたらいいのにね、そう笑った従姉妹の顔が過ぎる。 本当にそう、誰とでも仲良く過ごせても、心を開けない自分に嫌気が差す。 悪いことばかりではないけれど。 

どう在ることが正しいのかは一切無い。 自分が良しとするなら、それは他の誰にも変えることはできない。 それこそ、正しいのかもしれない。 良い人も悪い人も、誰かを掬い上げられるように。


好みの女性、好みの男性。

優しい人が好きか淡白な人が好きか、髪の長い人が好きか脚が綺麗な人が好きか。 正直、どれもこれも良くわかならない。 特に男性に対しては本当にわからない。 フェチズムを重視するのか、価値観を重視するのか。 様々な考え方も成功談や失敗談も、自分には当てはまらない。 きっとあなたにも。

〝直感〟だと思う。 今まで私を動かして来たのは、間違いなくそれだった。 理想と現実。 相反するそのふたつより、自分の感覚の方が信頼できた。 昔からずっとそう。 当たるか外れるか、まるでギャンブルのようなスリルも、石橋を叩いて確認するような慎重さも、どれもこれも私には必要なもの。 


歳上とか同い歳とか歳下とか。

そんな微々たるものに左右されるのはうんざり。 人間が人間を好きになる、それは当たり前なのに生まれた年数の違いはそんなに重要なの。 犯罪でなければいい。 正常なロリコンやショタコンは、決して現実には手を出さない。 手を出したらどうなるか理解しているから。 そういう一線を守れる人は、とても素敵だと思う。

二次元に恋をしようが、三次元を嫌おうが、そんなのはどうでもいい。 〝自分がどれほどの想いで相手を愛せるか〟が、一番大事なことではないかと思う。 結婚を諦めた人も、恋愛に不慣れな人も、異性を愛せない人も。 何ひとつ間違いなんかない。 でも足りないから苦しくなる。 〝誰かと比べて〟自分には足りないから辛くなる。 その気持ちも、痛いほど解るの。 独りなんかじゃないって、信じたい弱さも。 泣きたい時に泣ける強さも。



たった一人でいい。


誰か居るといい。 眠れぬ夜を過ごす仲間。 好きなものを共有できる友人。 抱き締め合える恋人。 朝に言葉を交わせる夫婦。それだけで、泣きたくなるほど満たされるのに。 この世界には足りないものが多すぎて、満たせるものが見つかりすぎて、生きることが難しいね。


でもどうか、しあわせでありますように。



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