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文化人のタマゴ

先月、ワールドオペラデーなるイベントでモンペリエ(フランス)のオペラ座見学にいってきました。この日は、オペラ座を年齢制限なしで無料開放ということで、3歳半の娘はオペラ座デビュー(見学だけだけど)。

「私、この週末はオペラにいくのよ」
予定の数日前から、それがなんなのかわからずとも、ただ"オペラ"という新しく覚えた言葉を使いたくて仕方がない娘。我が家では、こういうとき、できるだけ事前情報を与えないようにします。新しい言葉との出会いを他の言葉で邪魔したくない、オペラという言葉を体験して覚えてほしい。そう思うから、どんなところだろうね、楽しみね、とだけ伝えます。

フランス、というかヨーロッパは、文化に触れる機会が本当に多い。それが特別な人だけのものではなくて、大人だけのものでもない、というのを実感します。この日もオペラ座では、宝探しゲームやオペラすごろくなど、子供向けの企画がいくつもあって、見学や解説だけでは退屈してしまう年齢の子供たちが、楽しそうにオペラ座で遊んでいました。格調高く、大人でも少し気後れする空間に子供の笑い声が響く。あぁ、フランス人はこうやって文化(芸術)を身につけるのね。

「早く大きくなって、今度はオペラ見たいな」
帰り道、娘が言った一言。つい最近まで知らなかった言葉なのに、今ではしっかり彼女のものになっていました。彼女の口からでる"オペラ"という言葉の奥に、クリスタルの輝きや大理石の螺旋階段が見えるよう。娘を含め、この日来ていた子供たちにとって、オペラ座はきっと身近な存在になったのではないでしょうか。

文化、芸術ときくと、ついつい肩に力が入ってしまいますが、最初の一歩は触れるところから。フランスでは、そのチャンスはすべての人に平等に与えられます。だから、あのコもこのコも文化人のタマゴ。

日本では、文化人というと、難しい話をする研究者か評論家のイメージがありますよね?でも、日本の子供たちも文化(芸術)に触れる機会が増えれば、これから日本の芸術はもっと楽しくなって、文化はもっと豊かになるのでは、というか、そうなったらいいな、と思う次第です。

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