娘３歳半、一番好きな食べ物は豆腐と大根のみそ汁だそうです。素晴らしいことです。でも、彼女にとっての好物とは、きっとあなたが考えてるものとは少し違うということを、先に断っておかねばなりません。

日本人の私とフランス人の夫、そしてそこに生まれてきた娘はハーフ？いや、ダブル？あれ、ミックス？（ハーフ云々については、また別の機会に話すとして）とにかく、私と夫の子。そして、私たち家族が暮らすのは、南フランスの片田舎。
生まれてから娘が日本に滞在したのは計２ヶ月もなく、そのうち半分はまだ離乳食の頃でした。
我が家は夫も料理好きなので、食事はほぼ半々で作ります。それもあって、私が和食風のものをつくるのは週のうちの半分ほど。その都度、みそ汁を用意しているわけでもありません。

勘のいい方はお気付きでしょうが、はっきり言って、娘が豆腐と大根のみそ汁を好物だと言う要素は限りなくゼロに近い、そんな環境に暮らしています。

なのになぜ、娘はみそ汁がこんなに好きなのか？そして、そのことを私が手放しで喜べないこの気持ちはなんなのか？

〈素直に嬉しい理由〉
①私の作るみそ汁が好物だなんて、母親冥利につきるわ。娘よ、これが母の味よ。
②フランスに住んでいても、フランス人の血が半分流れていても、やっぱり日本人！ソウルフードは遺伝子レベルで好きなのよね。
③この歳でダシの旨味がわかるなんて、いい舌してるじゃん、娘。

〈なんとなく引っかかる理由〉
①もしかして、たまにしか作らないから大好きなのかも。だったら私の怠慢を指摘されている気分。
②じゃあ仮にそうだとしたら、娘にとってみそ汁は寿司や焼き肉のような特別な食べ物ってこと？それって、Oh ミソスープ、ダイスキデス！って言ってる日本食好きの外国人みたいじゃない？
③フランスの硬水でとったダシ、みずみずしさを感じない大根、豆腐も味噌も日本のものとはなにか違う。こんな似非みそ汁が美味しいなんて、やっぱり娘の舌はフランス人なんだわ。

と、こんな感じ。

好物は豆腐と大根のみそ汁。

このセリフが、娘の日本人度数が高いことを表しているのか、はたまた低いことを証明しているのか。

みそ汁を作るたび、母は喜びと哀しみの間を彷徨うことなど露知らず、娘は今日も幸せそうに汁椀をすすっています。