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「言葉にすること」のお手本にしたい人物について。


「憧れの人」「理想としている人」はいますか?

私には、います。
「この人に近づけるよう精進しよう」と、心に決めた人が。

それは誰か。
アニメ化もされている超人気マンガ「呪術廻戦」の登場人物・東堂葵です。

マンガ・アニメをご覧になっていない方は、こちらをどうぞ。

ご覧の通り、基本的に「むさ苦しいゴリラ」のような人物です。
(愛を込めて言っています←念のため)

そして予測変換で出てきてしまうほど「気持ち悪いキャラクター」です。
(私は「キモかっこいい」と思っています←愛と尊敬を込めて)

そんな
「むさ苦しくて、キモかっこいいゴリラ」
のどこに憧れているのか?

それは彼の「言語化の力」です。

彼は、登場頻度は高くありません。
でも要所要所で現れては、主人公が大きく成長するきっかけを与えます。
しかも「言葉の力」で。

「強く、鋭く、深い言葉」が人生を動かす

「言葉」によって世界を認識する私たち。
言葉一つで、人の気持ち、考え方が変わります。

気持ち、考え方が変わると、行動が変わる。
行動が変わると、習慣が変わる。
習慣が変われば、人生だって変わり得る。

じゃあ、どんな言葉が人生を動かし得るのか。

それは「熱量」がこもった、端的で明確な言葉です。
言い換えると、強くて、鋭い、深い言葉です。

(言葉の熱量、「強さ」については、こんな記事を書いています)

「呪術廻戦」の東堂葵の凄さは、ここにあります。

彼の言葉は、無駄がない(*)。
端的だからこそ、鋭い

*ウザきもいことを話すときは無駄だらけだ

『呪術廻戦』6巻より:この東堂のセリフは、私に刺さりまくっている

強く、鋭い刃は、深く突き刺ささる

私は、一人の表現者として、そして表現者をサポートする立場である編集者として「強く、鋭く、深い言葉」を生み出したいと願っています。
それこそが、誰かの人生を動かし、世の中によいインパクトを与える「レバレッジ・ポイント」であると信じています。

強い言葉は、「体験」と「抽象化」によって生まれる

じゃあ、そんな「強く、鋭い、深い言葉」は、どうやって生み出されるのか。
それは「体験」「体感」と「言語化」「抽象化」の往還によってです。

「体験」「体感」のない言葉に、「強さ」は宿りません。
だけど「体験」「体感」だけでは、「鋭い言葉」にはなりません。そこには必ず「言語化」「抽象化」のプロセスが必要です。

体験・体感を重ねつつ、それを「言葉」にする(抽象化する)ことを通じて、言葉は、強く、鋭く刺さるものになっていく。「どちらか」だけではなくて、「どちらも」必要なのです。

そして、これは「何かが上達すること」とイコールです。

「伝える(教える)」のがうまい人が、良いプレイヤー(実務者)であるとは限りません。しかし、一定レベルにまで上達・熟達していないと、「言葉」に強さも鋭さも生まれない

この点においても「呪術廻戦」の東堂葵はすごい。

彼は自分自身が、死戦を潜り抜けてきたプレイヤー(呪術師)です。
彼自身が見聞き、体験したことを、ここまで鋭い言葉に昇華している背景には、物語には描かれていない苦労や葛藤があったことでしょう。

『呪術廻戦』6巻より:体験・体感がないとこの台詞は出てこないだろう

言葉はいくらでも取り繕える……と思ったら、大間違い。
言葉には、その人の生き様が全て現れます
どれだけ向き合い、積み重ねてきたか。
無意識のうちに、私たちはそれを感じとっています

一方で、人生って、意外と平凡なものにもなり得ます。
1日1日は、単調で、同じことの繰り返しのようにも見えます。
そんな変わり映えのしないようにも見える毎日のなかで、何を体験し、それをどう振り返って解釈し、言葉で分かちあうか
簡単に通り過ぎていくような時間のなかで、何を自分のなかに積み重ねていくか
それは、その人次第だと言えるでしょう。

ありきたりですが、日々を大切に、丁寧に生きること。
「強く、鋭く、深い」言葉は、その積み重ねから生まれていくのではないでしょうか。

「言葉にできない部分」のギリギリまで言葉にする

さいごに。
私は、言葉の力を信じています。
だけど全てが言葉だけで解決できるなんて、微塵も思ってません。
言葉にできる部分なんて、世界全体のなかのごく僅かです。

「意識」「無意識」の話でいえば、言葉にできるのは「顕在意識」(自覚している領域)の一部分。だから、私の言葉なんて世界全体を前にしたら「砂の前の塵」のようなものかもしれません。

だけど、言葉はレバレッジが効きます
うまくハマれば、感情を動かし、行動を変えることができる。そして、一人ひとりの行動が変わったとき、世の中は大きく動いていく。
そんな可能性を秘めているからこそ、私は言葉が好きなんです。

じゃあハマる言葉とは何か。
それは「自分一人では、言葉にできそうだけどギリギリ言葉にできない部分を表現した言葉」です。「届きそうで、届かない」「半歩先の距離感」に、人はハマるんです。

ピンポイントにハマったら、もう言葉は要らない。
そこから先は、言葉で語ることは「野暮」になる

この見極め、本当に奥深いんです。
長く編集者を続けているけれど、まだまだ修行中。「ちょうどいい」ってどこなのか?は、探究の末にたどり着く奥義のようなものなのかもしれません。

そんなギリギリを見極めて、的確に伝える。
ここも東堂の「言語化」のすごさです。

『呪術廻戦』6巻より:このセリフをピッタリのところで出せるのはさすが!

ただし、準備することはできます。
こうした「ちょうどいい」「ハマる言葉」は、いろんなレイヤーに通用する語彙を持っているからこそ為せる技。

自分のギリギリ(言葉にできる範囲)を広げながら、それぞれのレイヤー、段階ごとの解像度を高めていく
どんな言葉で何を表現するかについて、そんな深め方もありそうです。

* * *

と、今日は、お正月気分も相まって「推し活」と仕事をごちゃ混ぜにして書いてみました。
この記事を書きながら「やっぱり、東堂はすごいなー」と惚れ惚れしているところです。

あなたは「呪術廻戦」で誰が好きですか? ……ではなくて、

あなたは、2024年をどんな一年にしていきたいと思っていますか?
誰に、どんな表現を届けていきたいと願っていますか?
それによって、どんな影響を世界に遺したいと思っていますか?

一人ひとりの大切な声(VOICE)が、より強く、深く響いていきますように。
今年も、そんな願いのもと、書き続けていきます。

あなたの言葉が、必要としている方に届きますように!
さいごまでお読みくださりありがとうございました。

#クリエイターフェス

#ナイショの抱負


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