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目指すは「自分らしい働き方」さとのば大学 現役生が描く未来の進路

こんにちは。地域を旅する大学 さとのば大学のnote編集部です。

さとのば大学は2019年に創設した新しい学校で、なかでも旅する大学コース(4年制)は2021年にスタートを切ったため卒業生はまだ輩出していません。

レールのない未来への道を、今の在校生はどう描いているのか?
地域に飛び込んで揉まれてさまざまな気づき・視野の広がりを得はじめている1年生と、地域留学も2年目となりさまざまな出会いを経験している2年生に、さとのばの「卒業後」をテーマに語ってもらいました。

※この記事は2023年8月24日に開催されたさとのば大学 夏のオンラインオープンキャンパスのトークセッション「卒業したらどうしよう?」の内容を再構成したものです。

未来のことってどれくらい話してる?

YOSHさん:二人はさとのば大学という一般的な4年制大学とは異なる選択肢を選んだわけだけど、普段自分の将来について考える機会ってどれくらいある?

明神さん:2年生になった今、地域に暮らす中で将来のことを聞かれる機会は増えましたね。去年は「なんでさとのば大学に入ったの?」とよく聞かれていました。
いろんな人から聞かれて、その度に自分なりの考えが深まっていくという感じです。

宮原さん:私はさとのば大学の同級生とよくそんな話をします。今、五城目町で同じく1年生のさとのば生とルームシェアをしているんですが、「わたしたちはどこに向かっているんだろうね」と話しています。

夏休みに帰省した時には、親戚に「将来は何になりたいの?」とよく聞かれました。さとのば大学という一風変わった進路を選んだからこそ、どういう将来を描いているのかは周りからしても気になるみたいです。

YOSHさん:そんな時はどう返すの?

宮原さん:まだまだ想像がつかないことも多くて、曖昧にぼかして答えていることも多かったですね。でも将来について答えられないのは、やっぱり苦しい。その場では答えられなくても、後で「どう答えたらよかっただろう?」と考えたり。そうやって振り返ったりする中で、徐々に自分なりの考えが浮かんできた感じですね。

YOSHさん:二人とも、周りの人からの投げかけや問いをきっかけに、自分なりの考えが少しずつ磨かれて形になってきているんですね。

「わたし」に根差した将来を探究している最中

YOSHさん:光竜くんは今は将来をどう思い描いている?

明神さん:地域で過ごす中で、みんな何かしらの「一芸」を持っているなって思ったんです。みなさんそれぞれが尖った部分を持っていて、それを糧に仕事をしている。なんというか、枠にハマった職業ではなくて、自分なりに活躍できることを仕事にしている。そういう意味では自由に働いているなと感じて、今、自分も憧れを持っています。

自分の得意技をもって、将来は「起業」したい、と思うようになりました。

明神さんは現在、女川町で起業したカレー屋さんのもとでアルバイトしながらSNS発信も手掛ける

YOSHさん:光竜くんに影響を与えた「一芸を持った人」って、具体的にいたの?

明神さん:去年、岐阜県郡上市でシェアハウスをしていた不動産業の社長さんの影響は大きかったかもしれません。その方は郡上に縁もゆかりもなかったそうなんですけど、郡上の魅力に惹かれて移り住んできていて。

外からの目線で地域を眺めたときに、「眠っている不動産を活用して地域を盛り上げないともったいない」という視点で、宿泊施設の運営やイベントスペースとしての貸し出しをされていたんです。自分が得意なこと・好きなことをやっているだけではなく、自分の仕事が地域の活性化につながっている姿に、心を動かされました。

YOSHさん:まさに地域で「暮らしながら学ぶ」さとのば大学ならではの良さを聞けた気がします。さとのば大学では教室や講義以外も含めた時間すべてが学びの機会になるし、身近なところに「こんな人になりたいな」って思えるロールモデルとの出会いがあったりしますよね。

ももちゃんはまだ入学してから数か月だけど、今の段階では将来についてどんな風に思ってる?

宮原さん:私はさとのば大学に入学する前は、いわゆる「普通」の未来を描いていました。デザイナーになりたくて美大を受験して、大学を卒業した後は「普通に」就職するもんだと思ってました。周りのみんなも就職を目指すか海外に留学するかだったし、それが「普通」だと思っていました。

でも大学受験がうまくいかずに、1年間の浪人を経てさとのば大学に入学してからは、将来への考え方は大きく変わったと思います。

そもそも「半年以上いたんじゃないかな?」と思うくらい、濃いこの数か月で(笑)そんな期間を経て、今の私は「職業」で言い表せないような仕事をしたいと思うようになりました。

水のようにあっちこっちを、ぐるぐるうねうねと流れていきながら、いろんなところで人を助ける、そんな未来を描いています。

YOSHさん:人を助ける。

宮原さん:そうですね。心地いい居場所をつくったりとかしながら、誰かの支えになったり、自分自身の傷ついたり挫折経験を人のために役立てたりできたらいいなと想像しています。

近い将来でいえば、どこかひとつの場所に居続けるというよりは、いろんな場所を旅しながら生きていく、今のような生活を続けていきたいです。

最終的には仙人のような人を目指していて。老後には山に籠って書き物しながら自分自身と対話し続ける、そんな生活を思い描いています。

宮原さんが留学中の秋田県五城目町。BABAME BASEを拠点に学びを深めている。

YOSHさん:二人とも自分なりの想いを胸に、自分を主語にして「どうありたいか」を考えていることがすごく印象的で。

「何になりたいか」ではなく、「自分がどうありたいか」

地域や社会の役に立てることはすごく大事だけど、さとのば大学ではまずは「わたし」を主語に考えることをすごく大切にしています。自分の興味や得意なことがあって、そこから社会との接続を考えていく。さとのば大学での学びを通して、自分のありたい将来が少しずつ見えてきているのが、とても嬉しいです。

さとのば大学は、社会を「味見」できる場所

YOSHさん:今のさとのば大学での学びが、その先の起業や自分のなりたい姿に繋がっている実感は、どの程度ある?

明神さん:大学生ながら地域での役割をもらって、社会の一員として過ごしている実感があります。例えばポスターのデザインを任されたりとか、地域で郷土料理を振る舞ってみたりとか。

さとのば大学でのオンライン講義は地域で得た体験や学びを持ち寄る場所で、振り返ったり共有し合いながら、自分の成長を実感したり、より学びを深めたりしています。いうなれば、地域でお仕事体験をしているような感覚ですね。

週に4日(午前中)はオンラインでさとのば大学の講義を受ける

YOSHさん:地域に暮らしてプロジェクトに取り組むことで、実践を積んでいるということですね。
プロジェクトという言葉の語源は「投げる」っていう意味なんだけど、自分がやってみたいことを地域で小さく試してみて、一石を投じて見て、周りの反応を確かめてみる。自分の一芸を試してみる経験が地域の中でできているのは、すごく学びが大きいと思います。
とはいうものの、共感してもらることだけじゃなくて、なかにはポカンとされたりということもあったんじゃない?

明神さん:実際、思ってもみなかった反応が返ってきた経験があって。去年、郡上市で出身地高知県のご当地パン「帽子パン」を地域の食材と掛け合わせて作るというマイプロジェクトに取り組んだんです。
ただ、帽子のような見た目に力を入れたのに、中身のクリームを評価されちゃって(笑)

「クリームを商品化したら」とか「帽子っていう形はあんまり目につかないんじゃないか」とか、いろんなフィードバックをもらって、結局は売り出せずに終わっちゃったんですけど。

帽子パンの試作風景

YOSHさん:まさに、チャレンジして一石を投じたからこその貴重なエピソードですね。ちゃんと作って試したからこそ、周りとの対話が生まれて、次の改善やブラッシュアップにつなげることができるんですよね。
ももちゃんはどうですか?

宮原さん:私はこの半年弱でいろんなことをやってみて、飽きっぽい性格も手伝って「これはだめかもしれない」みたいなことも多かったんですけど、なかには「意外といけるかもしれない」みたいなこともあって。

しばらくはいろんな世界をひたすら「味見」して、将来やっていけそうなことを見つけていきたいと思っています。

YOSHさん:社会に出る前に自分できちんと「味見」できる環境はとても大事ですよね。

宮原さん:さとのば大学は「スルメ」みたいで。噛めば噛むほど味が出るし、口から離しても「やっぱりあの味が忘れられない」みたいな(笑)

YOSHさん:つまり、味見するにはすごくいい環境っていうことですね(笑)

旅する大学コース(4年制)では4年間1年ずつ地域へ留学し、自分の関心領域や地域をテーマにプロジェクト学習に取り組む

座談会を終えて

さとのば大学は、学生それぞれが納得する進路を選べることに重きを置いています。今回のお二人はたまたま現時点でのゴール像に「就職」がありませんでしたが、もちろん、本人の望む選択が就職なのであればそれは一つの正解の形だと考えています。

ゴールが起業であろうと、就職であろうと、それ以外の形であろうと、自分らしい方向を選べるように。
さとのば大学ではまずは自分に向き合い、社会の中でプロジェクト学習に取り組みながら、自分と社会の未来、そのどちらもが輝ける道を探っていきます。

さとのば大学が育てていきたいのは、“わたし”に根ざし、“わたしたち”として、地域から、「ほしい未来」をつくることができる人です。

今回の二人は、わたしに根ざしながら、多様な仲間たちとほしい未来を創るための歩みを着実に進めています。まださとのば大学の4年間の折り返しにもたどり着いていない彼らが、これからも地域での様々な出会いを積み重ねていった先にどんな選択肢を選ぶのか、楽しみにしています。 


■暮らしながらプロジェクトを実践する、さとのば大学の学びのフィールドは現在10地域

さとのば大学では、4年間1年ずつ多様な地域へ留学し、地域での様々な人との出会いや対話を通して自分自身の関心を探り、マイプロジェクトへと繋げて実践していきます。ぜひあなたらしさが活かせる地域を、見つけに行きませんか。

■11/18(土)は秋のオープンキャンパスを開催!

今回、秋のオンラインオープンキャンパスを開催します。さとのば大学らしい”新しい学び”や”生き方”に出会える特別なコンテンツをご用意して、みなさまのご参加をお待ちしています。

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