映画「正欲」感想
こんにちは。
映画「正欲」を自宅にてNetflixで見ました。
朝井リョウさんの小説が原作となり、作られた映画です。
キャッチコピーやキャスト、朝井リョウさんの小説も好きなので、楽しみに観ました。
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主な登場人物とストーリーは、
息子が不登校になった検事・啓喜。
初めての恋に気づいた女子大生・八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。
しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、ひどく不都合なものだった――。
「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」
これは共感を呼ぶ傑作か? 目を背けたくなる問題作か?
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映画を見ての感想
所々のメッセージなどは響くところがありましたが、小説の伝えたいメッセージなどが、少し濁って伝えられているかもな、と思いました。
小説は未読なので小説をしっかり読んで、見てみたいなと。
二時間という時間の制約がある中で、一応メインの主人公は磯村さん新垣さんが中心になるのだと思いますが、
4人以上、ピックアップし、それぞれの人物像や周りとの関係性を丁寧に描こうとしすぎたばかりに、それぞれが薄くなり、感情移入できる機会が少なく、
淡々と映画が進められ、感情が揺さぶられることができなかったです。
稲垣吾郎さん演じる、息子が不登校になったお父さん役のところも、
違和感が多く、ストーリーに入りづらかったです。
これは、私の仕事がら、教育関係の方との接する機会が多く、不登校支援の団体の代表の方などと関わると、少し乖離がありすぎる極端な感じがしてしまい、少し冷めてしまいました。
特に、母親役が、あまりにヒステリックになるのが早すぎて、ここを丁寧にしないと、父親役が、浮いてしまいすぎるなと。
ダンサー役の男性と女子大生の方との演技はとてもうまく、このふたりをもっと深掘りしたら、というか、もっと展開が欲しかったです。
ストーリー全体で思うのが、「前半の説明が長すぎて、後半の展開が少なすぎる」
これが、今回の感想です。
新垣さん演じる契約社員も生きづらさを感じるという部分では、そんな長丁場にしなくてもいいなと思いました。
また、彼女自身の演技としても、「逃げるは恥だが役に立つ」みたいな、普通の良い人の演技は、自然でずば抜けて好きなのですが、影がある役にしては、もっと暗さや陰湿さが出てこないと物語には入りにくかったなと思います。
なので、彼女のパートの前半部分は、短くして欲しかったです。
逆に、後半部分、自分を曝け出し、結婚してからは、自然な表情が演技に活き、さらに生真面目さみたいなところが、作品に厚みをもたらしてくれ、とてもよかったです。
磯村さんは、とても自然でつかみどころがなく、演技力の高さを示してくれました。
人とは違うことで苦しむすべての人に。
これが、今回の一貫するテーマなのだと思います。
日本は、「みんなと一緒」ということに価値があることが多く、
「違う」ということに、嫌悪感を示すこともあります。
特に、それが「理解されない」ことだと余計に。
少しネタバレになりますが、今回は、
「水のしぶきフェチ」という特異な性癖をもつ、4名が中心になり、
それぞれの生きづらさを描きながら、一見まともそうな検事こそ、
社会不適合者の一人なのではないか、という、アンチテーゼみたいなもの。
後半の新垣さんのセリフなど、いくつかの言葉はすごくメッセージ性がありました。
また、「理解しあえることの素晴らしさ」も、この物語で描きたかったことなのだと思います。
私個人的には、理解し合える人が出てしまった時点でストーリーは終わっていいる気がします。
そこから、展開は少なくなるなと。
これもネタバレで、
最後は、その水フェチの一人が、児童へ売春をしている変態野郎で、それに、水フェチの人たちが巻き込まれてしまいます。
これはがっかりで、警察のずさんさと、稚拙さ、いきなりすぎて、映画から心が離れた瞬間でもありました。
他の水フェチのメンバーは、いわゆる冤罪なのですが、ちょっと強引すぎだよねと。
映画は、「非現実の世界」をいかに、「現実の世界」に近づけながら、引き込むか。
が一つ大事な観点だと思います。
自分もその映画の中に入り込むような錯覚を覚えさせるのが名画であり、感動するのかなと。
今回の映画は、設定は現実の世界に近くしたのだと思いますが、
ディティールが非現実的なことが多く、すっと心が離れてしまうことが多かったです。
キャッチコピー「観る前の自分には戻れない」
とありますが、かなり大袈裟なのかなと。
人にはあまりお勧めできない映画でした。
小説を一度、読んでみて、また感想など書きたいなと思います。
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