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お買い物をする母娘

 先日とあるドラッグストアでお買い物をしている母娘を見かけました。広く、比較的静かな店の中で子供たちが大きな声で会話しているのが気になったのです。白を基調としたスーツっぽい服を着たきっちりとしたお母さんと、小学校中学年の姉、小学校低学年の妹の3人でした。二人とも真っ黒に日焼けしていて健康そうでしたが、小学校低学年の妹の足が傷だらけでした。また妹は常に大きな声で話をしていました。自分の主張を聞き入れてもらえない、日頃から抑圧されている子供の特長なのかなと思うぐらい大きいのでした。考えすぎならいいですが。
 通りすがりに、家族の会話が耳に入ります。お母さんが子供たちに「何がいい」と聞くと妹が我先に大きな声で応えます。それを聞いた姉は必ずさらに大きな声で「それはダメだ」と否定するのです。イチゴがいいと言えば、すぐ悪くなるからダメ。メロンがいいと言えば、甘すぎて虫歯になるからダメ、という具合に。それに対してお母さんは何も言いません。きっと姉はお母さんからそのように言われてきたのでしょう。そしてお母さんが二人から目を離した隙に、姉は妹を手の甲で眉間を殴るようなそぶりをし、一瞬妹は顔を背けましたが、何事もなく妹は元の通り明るく振舞っていました。ああ何時もこうなのだな、と思い悲しくなりました。
 「幼稚園・保育園選び」の中で、”親からのストレスを他者へのいじめで発散させる”と書きましたが、まさに姉がその状態だと感じました。姉に対してお母さんは何も言いません。それどころか、二人の喧騒を気にしないまま、どんどん先に行ってしまいます。まるで意図的に無視しているかのように。
 ただこの状態だけを見てお母さんを責めるべきではないと思います。もしかするとお母さんのストレスの原因が夫婦関係にあるかも知れないからです。
 先日発表されたベネッセ教育総合研究所の「子供の生活と学びに関する親子調査2023」の結果では、親が幸せだと子供も幸せ、子供が幸せだと親も幸せの好循環が報告されています。逆もしかりで、親が不幸だと子供も不幸になる悪循環だと思いました。この母娘がその典型でないことを切に祈っています。

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