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古本をめぐる冒険 宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」

本棚の中から、装丁が魅力的な書籍を紹介。今回は「宮沢賢治 グスコードブリの伝記」の復刻版です。装丁と挿絵を手がけたのは、画家の横井弘三氏。

あとがきに、横井弘三氏の文章が収録されている。その中には、横井氏が汽車で上野から12時間かけて花巻まで取材に行ったこと。現地では盛んに取材をし、語り合い、スケッチをしたこと。帰ってから昼も夜も描き続けたことが記されている。そして、

「わけても、「グスコー・ブドリ」と「北守将軍」と「雁の童子」の原色畫には、力のあらん限りを尽くしました。(あとがきより)」

この一文が胸の奥まで響いてきた。「力のあらん限り」とは、私たちが想像している「それ」よりも、ずっと大きなエネルギーを注ぎ込むことを意味しているのだろう。私たちが考えているよりも、目指すべき限界はまだまだ先の方にあるのかもしれない。

「では皆さん、皆さんが大きくなつても、宮澤先生とお供の私をも忘れないで、どうかいつまでも、心のお友達として仲よくして下さい。(あとがきより)」

「グスコーブドリの伝記」は好きな作品で、今までに何度も読み返してきた。そして、横井氏の装丁に出会うことで、ますます好きになった。「ほんとうの仕事」というのは、つまりそういうことなのだろう。そのようなことを、しみじみ感じたのでした。


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