「ありのままに生きよ」(『神話の力』×わたし)

ISIS編集学校での課題。課題図書『神話の力』(ジョーゼフ・キャンベル)を読み、800wで【書籍の内容×自分】で創文せよ、というもの。
文化人類学的な領域(に分類していいのかな)は、国内をフィールドにしたものしかほとんど読んだことがなかったのですが…やぁ、おもしろかった!
こちらの課題ですが、学校で「アリストテレス賞」のテレス賞1席をいただきました。(不真面目すぎてあまり理解していないのですが…、)この賞における準優勝みたいなもの…? 違っていたらゴメンナサイw
せっかくなのでnoteにも残します。

 「なぜ帝国軍が悪者で、反乱軍が善い者なの?」、初めてスターウォーズ『新たなる希望』を観た時、私は母に尋ねた。幼少期の私が観ていたのは、ウルトラマンなどの勧善懲悪もの。出てくる悪役は、決まって現在の安定を崩す存在だった。しかし、スターウォーズは違った。宇宙を支配する帝国軍を打ち崩そうと、反乱軍が決起する。現体制が正義なわけではない。母は私の問いに対し、「善い悪いは、見方によって変わるものなのよ」と答えた。

 『神話の力』は、1985年~86年にかけて行われたジョーゼフ・キャンベルとビル・モイヤーズの対談の書き起こしだ。当時は、冷戦末期。世界を支配した価値観が大きく揺らぐ時期でもあった。アメリカで生まれ育ったキャンベルが述べている「人間は対立構造の中で生きるが、神の世界に対立構造は存在しない。時に神の視点になることで、対立は一時的なものに過ぎないと知ることができる」の一節は、少なからず時勢への提起を含んだものであったのではないか。

 キャンベルは、敬虔なカトリックの家庭に生まれ育ち、ネイティブ・アメリカンの神話に魅せられ、世界の神話を研究する比較神話学の権威となった。一方のモイヤーズは、ジャーナリストとして知られる。本著は、キャンベルの抱く神話という宇宙に対し、現代社会的な視点で真摯に問いかけたモイヤーズの姿勢があってこそ生まれた名著といえよう。

 「人は生きる意味を探っているが本当に探求しているのは、生命の意味ではなく生きる実感だ」。このキャンベルの言葉に、生活を捨て、多拠点を行き来する道を選んだ私は抱擁された。神とは、愛情、喜び、慈悲、悲しみ、怒りなどの人の心の内であり、そこに善悪は存在しない。冒頭の母の解は、神話のように私の中に息づく。常識や知性を超えた視座で、思うままに生きる。『神話の力』は、「ありのままに生きよ」と私の背を押す。

※ご興味ある方、課題図書コチラです↓

【ツマミにコチラもどうぞ】
★同じく編集学校の課題だった「紀行文」

★コチラは【オススメ本×自分】を書いた以前のnote


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