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「稚拙で猥雑な本能寺の変」5

●第3幕
○シーン5 秀吉の屋敷・縁側

 秀吉が縁側で寝そべっている。
 控えている久作、八方斎。

秀吉  「あーあ、行きたくないなー」
久作  「・・・」
秀吉  「行きたくないなー」
久作  「・・・」
秀吉  「聞いてるのか久作!」
久作  「あ、はい。何か?」
秀吉  「毛利征伐なんて行きたくないんだよ」
久作  「しかし刻限が迫っております。急ぎ支度を」
秀吉  「おい、毛利を征伐して俺に何が残る?御屋形様が天下統一して俺になんの旨味がある?なんもねえよ」
久作  「今は備中高松を攻めるのが秀吉様のお勤めでございます」
秀吉  「つまらん。どうせ美味しいとこは全部光秀が持ってくんだ」
久作  「秀吉様を認めているからこそ御屋形様は毛利征伐を任せているのかと」
秀吉  「久作、お前本当に竹中半兵衛の弟か?」
久作  「は?」
秀吉  「八方斎、どう思う?」
八方斎 「月とスッポンですな」
久作  「スッポン?」
秀吉  「そうだスッポンだ。竹中半兵衛の弟ならもっとワクワクするようなことを言え」
久作  「兄と比べられるのは心外です」
秀吉  「久作、俺は偉くなりたいんだ」
久作  「え、ええ」
秀吉  「百姓あがりだと思ってナメやがって・・・奴らに百姓にも五分の魂があることを教えてやりたいのだ」
八方斎 「ははっ」
秀吉  「久作、何か考えろ」
久作  「しかし何をすれば・・・」
秀吉  「何でもいいから俺が偉くなるように画策しろって言ってるんだ」
久作  「はあ」
秀吉  「できぬか?お前は根っからのスッポンか?」
久作  「分かりました。秀吉様のために粉骨砕身、働かせていただきます」
秀吉  「楽しみにしてるぞ」
久作  「はは!・・・八方斎」
八方斎 「は」
久作  「行くぞ」
八方斎 「・・・」
秀吉  「付き合ってやれ」
八方斎 「ははっ!行きましょう久作殿」

 八方斎、久作が捌ける。
 逆方向に秀吉が捌ける。

<6>に続く

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