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海が見たいときに

夏と言えばバカンス!(バカンスって日本では死語ですか?まだ使ってる?)
だけど、農家の夏は忙しくて、野菜ばっかり見ています。海が見たいです。

こんなときは、海が舞台の大好きな漫画を少しずつ味わいます。
五十嵐大介さんの「海獣の子供」。映画にもなりました。主題歌は米津玄師さんの「海の幽霊」。

このMVを初めて観たときは驚愕しました。以来、これは私が世界で一番好きなMVです。
これを観た人はもう全員映画観るだろう、と思いました。でも、映画館に観に行ったら、なんと劇場に私ひとり。貸し切りでしたよ。
「いくら佐賀とは言え、なんでー!?」と心の中で叫びました。「ねえ!音楽は久石譲さんなんだよー!」とも。

確かに、映画は一番大切なところが描かれていなかったような気がします。でも、あの壮大な物語を2時間弱で描き切ろうというのは、はなから無理があります。だから、これは原作へと導いてくれる豪華な豪華なプロモーション映画だ、と私は思うんです。
映画「ネバーエンディングストーリー」が私をエンデの「はてしない物語」に導いてくれたような。「ネバーエンディングストーリー」も、より重要な後半部分が描かれなかったために、エンデが自分を原作者にしないよう要請したことは有名ですね。でも、あの映画があったから、私は、あの赤い本と出逢えた。

私は「海獣の子供」を読んでいると、いつもこう感じます。
人間はこの地球の主役では決してない、と。

この物語のテーマは、海と宇宙のつながりです。

星の。
星々の。
海は産み親。
人は乳房。
天は遊び場。

私がこの物語で一番好きな登場人物、若き天才海洋学者のアングラードがこう言います。

たぶん 答えは宇宙にある。

言語は性能の悪い受像機みたいなもので、世界の姿を粗すぎたりゆがめたりボヤかして見えにくくしてしまう。
「言語で考える」って事は
決められた型に無理に押し込めて、
はみ出した部分は捨ててしまうという事なんだ。
鯨のうたや鳥の囀ずり
アザラシの泳ぐ姿の方が、
ずっと豊かに世界を表現している。
きっと昔は人類も同じだったはずだよ。
鯨たち…海の生物たちと同じ…
そのとき我々も…
海そのものであり
宇宙そのものだった…
かつて人間も…気高いケダモノであったのだ。

同じ「言葉」でも
「詩の言葉」は音楽に近い。
僕はね、
音楽や詩は
この宇宙のいたるところに
満ちているものだと思う。
そしてきっと。
生命も
同じところから来た…

この大切なセリフが、映画では描かれていません。

「ひと夏の物語」というジャンルがあると思うんですけど、この作品は、ひと夏物語の中では最も壮大な物語と言っていいのではないかなあ。

お盆を過ぎると山はだいぶ涼しくなって、夏が終わる感が高まってきます。朝方は、綿毛布と肌掛け布団をかぶって寝ています。

私のひと夏が、また終わろうとしている…
でも、今年の夏は、いつになく熱(暑)かったな。私の中も外も。



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https://stand.fm/channels/5f6020aef04555115dd7c28c


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