パワハラされまくり人間の労基署活用法:不当解雇未遂編

経緯(超ざっくり)

労働に支障がないけど双極性障害があります,って社長に知られたら「そんなヤツ置いておけないから今月でクビ」って言われた。
すごくクビにさせたかったっぽいけど労基法に引っかかるかもしれないと思ったので労基署に行った。

正確には「解雇」ではない

私は契約社員だったので,正確には「契約期間を今月末までにする」と言われたので,「契約期間を短くする」だけです。
まあでも実質病気を理由とした解雇だよね,ということで,わかりやすくタイトルは解雇としています。
契約社員は,契約期間を短くするのは「同意があれば」できることなので,特に労基法的に問題はなかったと思います。

詳細な経緯

双極性障害といえども,普通に働けと言われているので普通に働いていました。
私自身,「双極性障害があります」と言ってもほとんど症状がないので,他の人に言うのがすごく申し訳なくなるほど,超軽度の双極性障害です。
特に勤務態度も問題なく,社長は言われるまで気が付かなかったそうです。
当時通っていた病院の先生も,「自傷行為をしながらでも普通に働きなさい」と言っていました。
そう言われている以上,普通に働いているように取り繕っているわけなので,気づかれないように働くに決まってるだろうが。
ただやっぱり,生理と重なってしまうと吐き気や腹痛,気分の落ち込み,頭が働かない…ということはどうしてもある。
そんなのをぽろっと会社の上司に話したところ,「社長にも知っておいてもらえばもっと楽に働けるのでは?」という提案があったので,その提案に乗ったことが始まりでした。
翌営業日,すぐ上司の方はこの件を社長に話してくださったそうで,その日の夕方,社長から私に呼び出しがかかりました。
社長はいろいろと言ってきましたが,総括すれば,
特に業務に問題がなかったので気づかなかったけど,病気なので今月で契約期間満了で辞めさせる
という内容でした。
今月でって,今月あと半分も残ってないんですけど!?
この社長が汚いのは,一言も「契約期間満了で退職させる」という言葉を使わなかったところ。
病気が心配だから休んでいただいて」とか,休職を思わせるような言葉を使うんだけれど,内容は期間満了で退職っぽい感じがする。
なにこれめちゃくちゃ怪しい!!
「最後に質問いいですか?」とひと声かけて,「これは契約期間満了で退職させて,もうこの会社には戻れないということで間違いないですか?」と聞いて初めて「そうです」と言いました。
私は今までいろんなケースを友人から聞いていたので一発で「あ,これ怪しい」と思いましたが,慣れてない人なら引っかかるぞこれ。
というわけで私は何度目かわからないけど労基署へ行くことになりました。

労基署へ行くまでに起きたこと・やったこと

私の契約書のファイルが削除された

いやヤバいだろこれ。
昨日までは普通にあったファイルが削除されていた。
社長と私の共有フォルダ内のものなので,削除したのが社長というのは間違いない。
ヤバいことやってるってわかってるやつじゃん。
賃金が1分単位で支払われない会社だったので,「あ,ヤバい会社だ」と思って契約書を落として紙で残しておいてよかった。
マジで良かった。

労働条件相談ほっとラインに相談した

すでに労基署はやっていない時間だったので,労働条件相談ほっとラインに相談しました。
そこで言われたのは,
近いうちに何かしらの書類を作ってサインを求めてくると思うので,絶対にサインしないでください
というものでした。

その後の社長の対応

やっぱりサインを迫ってくる

出社するなり「待ってました」と言わんばかりに「印鑑はきちんと持ってきましたか」と言われる。
どんだけサインさせたいの,しないけど。
「離職証明書がこれです」
「前回の契約書はなかったことにしたいので,この今月末までの契約書に契約を更新した○月✗日の日付でサインしてください」
と言ってきた。離職証明書までもう作ったのかよ。
まだしてないよ。私の返事は当然「NO」(サインしません)です。
だってサインするなって専門家に言われてるからね。しないよね。
「なんでサインしないんですか」
「サインする理由がないからです」
「これにサインしないと社保の脱退とかもできないですけどいいんですか」
「いいですよ」
「契約書以外ならすぐサインしますか」
「書類の内容によります」
だからどんだけサインさせたいんだって。
どんだけこんな超軽症の双極性障害のヤツを辞めさせたいの。
あまりにも頑なに私が拒否しているうちに始業時刻になったので,「また後でにしましょう」と言われました。

「また後で」の中で起きたこと

「今回契約期間を短縮するのは病気が理由です」とはっきり言われる。
だから病気が理由ってアカンやつだって。
そして,「業務に支障がないので全く気づかず申し訳なかった」と言われる。
いやこっちは超軽度だから誰も気づく人いないって。
私も超軽度だって分かってるし,持病がない人と同じように働けって医者に言われてることもあって気付かれないように取り繕っているわけですし。
「そのくらい業務に支障がないということですね」
「でも調子が悪い時があると聞きました」
「一応生理というものがあるので,重なるとどうしてもホルモンバランスで体調を崩すことはあります。他の女性社員の方と一緒です」
社長,しばらく閉口。
「なんでサインしないんですか」
「社長が気づかないくらい普通に働いているのに辞めさせられる理由がないからです。こちらは病院でも普通に働けると言われていますので,契約期間を全うするつもりです」
「なにかこれから働くにあたって希望はありますか」
お?流れ変わったな?
「少し勤務時間を短縮してしていただけたら嬉しいです」
「ではそうします」
そうするんかい。
というわけで,私は時短勤務ということで解雇を回避したのでした。

新しい契約書にサイン

時短勤務になるので,新しい契約書にサインするよう求められました。
すでにフルタイム勤務で支払われていた部分もあったので,それまでは削除された契約書と同様の内容で,今月から時短用の契約書,というような感じです。
ただ,やはり前の契約書はなかったことにしたいということで,フルタイム分については契約を更新した○月✗日の日付でサイン,時短分については今月1日の日付でサインするよう言われました。
これはとりあえずいいかなと思ったのでサインしてしまいました。

契約書がもらえない

サインをしたはいいものの,今度は契約書がもらえなかった。
こちら
で書きましたが,契約書(労働条件通知書)が書面で交付されないことがそもそも労基法に触れます。
あ〜あ,行かないで済ませようと思ったのに,やっぱり労基署案件じゃん。

労基署へ

1分単位で賃金が支払われていない時点で怪しいと思っていたので,魔法の呪文「賃金未払いの申告に来ました」ということでn回目の労基署へ。

契約書をもみ消すことが公文書偽造にあたるらしい

事の経緯を話したのですが,どうも契約書をなかったことにして…というのが公文書偽造にあたるらしいです。
想像に難くないと思いますが,これは労基法ではなくて,完全に別な管轄だそうで,裁判起こすんですか?って聞かれました。
さすがに裁判を起こす暇はないから「さすがに裁判を起こす暇はないですね…」と言いました。
いや公文書偽造ってこんなさらっとやられてるのか,怖いなオイ。

やっぱり1分単位で支払われないのはダメ

30分働かないと残業代発生させないって言われていて,タイムカードも書き直しをさせられたことも話しましたが,やはりこれはダメだそうです。
何度もやっていることではありますが,もし請求の文書を会社に送付して賃金が払われないようであれば,毎度のことながら監督官さんが動いてくださるそうです。
ただ,あまりたまっていなかったので,今回はもう少しためてから請求することにしました。

やっぱり契約書が渡されていないのもダメ

これもn回目ですが,労働条件通知書(契約書)が渡されていないのもダメ。
こちらも上記と同様,会社に請求して対応しないようであれば,毎度のように監督官さんが動いてくださるそうです。
ただ,今のところ削除された契約書を持っているので,未払い賃金と一緒に請求することにしました。

今回のような「解雇っぽいこと」について

正社員で,契約期間の定めがない場合などは,30日前に解雇すると言わないと,手当を払うなどなどが発生した気がします。
私もこの辺はうっすらと記憶にあったので今回「怪しいのでは?」と思ったのですが,契約社員については○日前の縛りがないそう。
今回は今月なんて半分(15日)も残ってない!というところで「今月で契約期間満了で退職にする」と言われましたが,同意すればなんの問題もなかったらしい。
うわーなんかすごい社会の闇を感じる。
契約期間を短縮すること自体は同意があれば問題ないことなので,私がサインしていたら,なんの問題もなく,手当もなくさらりと辞めさせられていたそうです。
なにそれ怖い。
社会は闇だ。
怖すぎるよ日本社会。
ほんとみんな気をつけてね。

行こう,労基署

といっても行ける時間にやっててくれないのがネックなんだよね労基署。
怪しいと思ったら,とりあえず労基署に駆け込んでみてほしいです。
今回は労基署ではなく労働条件相談ほっとラインのおかげで助かったようなものですが,やっぱり労基署に行くと命拾いすることが多いので,もし行けそうならやっぱり活用してほしいです。

これはあくまで私の考えで,労基署の方から教わったことではありませんが,結びに書いておきたいと思います。
私に相談してくれた人によくお話するのですが,労基署に行くことで救われるのはあなた自身だけではありません。
労基署に相談しに行くことで,労基署側は労基法に従って動いていない会社を知ることができます。
労基署側が知れば,そんな企業(いわゆるブラック企業)を指導することができるので,社会にとってはブラック企業をなくす手助けができます。
そして,そのブラック企業で働く人たちをもあなたは救うきっかけを持っているのだと私は思っています。
一石二鳥どころじゃないですし,もはや神です。

サインを迫られるのはなんとなくパワハラちっくな気もしますが,パワハラなど何らかのトラブルというか,あなたに理不尽に嫌な思いをさせてくる会社は,労働基準法に照らしてみると,どこか引っかかることが多いような気がしています。
もしお心当たりがあれば,遠慮せず労基署に行ってみてください。
意外とカジュアルな場所です,労基署。

余談:なぜ頑なにサインを拒否したのか

繰り返しになりますが,私自身は超軽度の双極性障害で,ほとんど症状がありません。
医者からも「問題がないから普通に働け」と言われていることからも,ごく軽度なんだろうな,ということは想像に難くないと思います。
それでも,「双極性障害がある」というだけでクビにされる社会に刃向かいたかったからです。
私よりずっとずっと苦しみながらも働いて生きている人は,私の周りにたくさんいます。
もちろん,私の知らないところまで視野を広げれば,数え切れないほどいることでしょう。
今回の件は,そんなふうに頑張っている人たちを敵に回す行為だと思いますし,社会として許されていい行為だと思えなかったのです。
会社には社労士さんだとか,強力なバックアップが普通はありますし,私が勝てるはずがないことは分かっていました。
でも,誰かが刃向かわなければ,この現状を変えることは絶対にできないと思っています。
だったら刃向かってやろうじゃないか,ということで,今回は刃向かってみました。

私個人の力なんてたかが知れていますが,そんな頑張っている人たちに,何か残せる結果であればいいな,と,心の隅で願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?