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2022年1月 読書記録


「Humankind 上・下」 ルトガー・ブレグマン著


冬休みになったら読もうと決めていた分厚い上下巻。
人類の歴史について「事実」を洗い直し、希望に満ちた内容が綴られている。特に、下巻の教育にまつわる部分や刑務所の話は個人的に興味深いなと感じた。本文で引用されていた

「学校とは、社会が今のままでいいとあなたに信じさせる広告代理店だ(イヴァン・イリイチ)」

という言葉は、強烈だったなぁ。
ぞんざいな扱いを受けると、人は自分を大切にできなくなるし、一般に必要なものとされている「共感」も、取扱注意。

個人的に、最近感じていた「歴史は勝者によって作られているから、通説が事実とは限らないのでは?」「文明と宗教が人々の争いを生んだのでは?」「性善説を信じたい」という問いと願いに応えてくれる内容。それがファクトベースで綴られているということが、なんだかうれしくて、楽しく読み進めた。

まだまだ、性悪説が重宝される世界だけれど、わたしは性善説で人を信じていきたいって思うし、周りの人と良い関わりをして、その和が少しずつでも広がっていくといいなと思った。


「柚木沙弥郎のことば」 柚木沙弥郎・熱田千鶴著


染色家の柚木沙弥郎さんの言葉を「98歳のいま思うこと」「ご本人の歩んできた道」「編集者の熱田さんとの会話」など、さまざまな角度からまとめた1冊。

読んでいると、長生きすることへの希望のまなざしが見えたり、仕事や暮らしをもっと丁寧にいつくしみたいな、という気持ちが湧いてくる。

「誰もが自分にしか持っていないものがあって、自分にしかできなことがあるんだから、楽しまなきゃもったいない」
「自分の中にはたくさんの引き出しをもっていて、まだ開けていない知らない引き出しもあるはずだ」
という、柚木さんの言葉が心に残る。

柚木さんの言葉ももちろんだけれど、熱田さんの柚木さんへのまなざしや、情景が浮かび上がってくるような文章にも惹かれた。


「こうして私は料理が得意になってしまった」 有賀薫著

スープ作家・有賀薫さんの、料理や食べることにまつわるエッセイ集。(レシピ付き)

有賀さんのあたたかいまなざしが感じられて、一緒にあたたかいお鍋を囲みながら「そうそう、しんどい時あるよね」「あっそれおいしそう。どうやって作るの?」なんて、笑いながらおしゃべりしているような本だった。
読むと肩の力がスッと抜けて、「そうだ、もっと気楽に料理を楽しもう」と思える一冊。台所のお守りみたいな存在になりそう。


「マイノリティデザインー弱さを生かせる社会をつくろう」 澤田智洋著

コピーライターである著者が、お子さんの全盲が判明したことを機に福祉の世界に飛び込み、マイノリティデザインという仕事のあり方を切り開いていくまでが書かれた1冊。

「強者がより強くなっていくためのクリエイティブ」や「消費されていくコンテンツ」への違和感など、個人的には共感する部分が多々あり。そこから「弱さ」を活かせる社会を作っていく軌跡は、規模の大小はあるけれど、今後の自分のあり方へのヒントになった。

著者自身の仕事や生き方を見つめ直していく過程にも、学びがたくさんあるのだけれど、「自分をクライアントにした提案書をつくる」という実践的な内容も含まれているところが、「いい本読んだ」で終わらなくて良いなぁと感じた。

「もっと仕事で得た力を、みんなが自分の人生と接続できたなら。
大切な人のために生かせたなら。
自分の中にある弱さのたまに、もっと時間を使えたなら。
社会はもっと生きやすい場所に変えることができる。」

という言葉に勇気をもらったし、これからもっと生きやすい社会に変えていけると良いなぁ。


「売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放」中村朱美(佰食屋) 著

1日限定100食、ランチ営業のみで売り切ったら営業終了、という飲食店のビジネスモデルをくつがえす「佰食屋」の経営者、中村朱美さんの著書。
創業からの道のりや、どうやって今のスタイルにたどり着いたのか、仕事を絞ることで得られたメリットなどが綴られている。

個人的に、つねづね「右肩上がりを目指すべき」な風潮に疑問を持っていたので、売り上げの上昇よりも働く人・関わる人みんなが幸せに働ける環境づくりってとても素敵だなと感じた。

自分の仕事とは業種なども違うけれど「大切なことは何か?」を見つめ直し、取捨選択していく姿勢は真似したいところ。「佰食屋」みたいに、みんなが自分を大事にしながら働ける会社が増えると、社会はもっと生きやすくなるんじゃないかな。


「ゼロから“イチ"を生み出せる! がんばらない働き方」ピョートル・フェリクス・グジバチ 著

元Google人材育成統括部長の著者が、「がんばらない」で成果を出す働き方について指南する本。

「がんばらない=ラクをする」イメージで捉えると、的外れに感じるかも。
思考停止の精神論で、やみくもに“がんばる”ことをやめ、より効率的に自分の力を発揮するには?そのための考え方や方法が書かれている。

自分自身の「できている部分」と「できていない部分」を比較しながら、取り入れたいなと思った箇所に付箋を貼りながら読み進めた。
もうひとつ、周りの「がんばってしまう」人に向けてのコミュニケーションの取り方、という点でも参考になった。

仕事を「インパクト」と「学び」のマトリクスで振り分けて、インパクトも学びも少ないものは人に任せるか自動化し、両方が最大化できる仕事は増やしていく・・というのは、取り入れていきたいところ。まずは、自分の仕事をマトリクスに振り分けて見つめ直してみようと思う。


満足度の高い仕事への2ステップ

働き方や企業のあり方に関する本を3冊つづけて読んで感じたこと。
・まずは自分を深く知り「ありたい姿を明確にする」(ビジョンを持つ)
・「ありたい姿」を実現するために、取り組むことを取捨選択する

これが満足度の高い仕事、ひいては生き方につながるのだなぁと。
自分の仕様書を作るようなイメージ。
そして、自分も世界も日々変化していくから、立ち返ってアップデートしていくことも大切。2月のスタートは1月に読んだ本を参考に、自分の仕様書を作るところからはじめてみようかな。


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