sayamaru

詩やエッセイが好き。大好きだった生地デザインの仕事を休職中。小さい雄の恐竜2頭と大きめ…

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詩やエッセイが好き。大好きだった生地デザインの仕事を休職中。小さい雄の恐竜2頭と大きめのパンダがいます。83’生まれ。関西在住。2020.10、ALS・筋萎縮性側索硬化症。何もあきらめない。言葉で自分と誰かを応援できるなら嬉しいです。

最近の記事

詩・何年も前の自分へ

幸せを 貯めておいて いつでも 取り出して 使えるなら 苦しい時も なんとかなるかな 今のうちに 遊んでも 今のうちに 休んでも なるようにしか なってない 負けてもくじけても 腐ってもひねくれても 痛くても辛くても 悲しくても疲れ切っても 理不尽でも納得できなくても それでも 最善を尽くして 今を積み重ねて よく頑張ってくれて ありがとう 何年も前の自分よ すべての伏線を 回収するための 置手紙なら 今たしかに受け取った 楽しみだね 何年も先の自分よ

    • 詩・夜の雨

      雨粒が 脈絡もなく 室外機の上で ステップ 眠りから 引き剝がされて ささやかな苛立ちに 寝返り 今日が窓辺に 貼りついて 帰る気配も 見当たらない 朝が来たとて 曇り窓 体中の水が 濁っていくような 毎日を 雨で洗い流して 新しくなった 明日を着たい

      • 詩・春の日

        花びらが 春を連れて 帰っていく 陽の光に笑い 雨と一緒に泣き 雷に肩をすくめ 風と遊び楽しむ 水色に晴れて 桃色に満ちる あるがまま 笑顔も涙も 何十年 何百年と 見守ってきたのね ここから動けない体 見ているだけの体 似たような私 どうすることもできなくて 悲しいのは 似てないな 大事な人を 抱きしめることも 両手で顔を包むことも 背中をさすることも 私には出来ません それでも この世界は 色があふれて 素敵だった 花びらが 私を連れて 帰っていく

        • 詩・すーとはー

          ため息つくとき うまくいかなくて ため息つくとき うんざりしてて ため息つくとき さみしくて ため息つくとき 焦がれてて ため息つくとき 一気に吸って 長く吐く 一度で終われば それはため息 繰り返したら 深呼吸 すー いらないものを 集めたら はー すっきり出して 元通り すー 新たな空気 取り込んで はー 切り替え完了 リスタート 力を抜けば うまくいく 流れに任せて 大丈夫

        詩・何年も前の自分へ

          詩・たぶん泣く

          何の味もしない日々に 全部持ってかれた じわじわと奪われる 生命と感受性 やり場のない感情で 血管が焼け焦げそう 舌が動かぬ口に キャラメルサイズの肉 喉の渇きにストローで ちびちび飲む水 満足感には程遠い よくも打ちのめしてくれたな 数々の屈辱を悔しさを悲しみを 私はずっと忘れない というわけで いい人のフリは やめました 病の背中に ドロップキックを 心無い言葉に かかと落としを 何の味もしない日々に 延髄切りを すさんだ心に あたたかなハグを 元の体を

          詩・たぶん泣く

          詩・いろんな日

          大事な人の 寝ぐせまで 愛しい日がある 憎い人の 手相まで 苛立つ日がある 生きてて よかったと 感謝する日がある 生まれてきた 意味が分からないと 嘆く日がある 平凡すぎて ヒマな日も コントラストに 疲れる日も もう死にそう 生きてたから 思った 全部知ってた 生きてたから 知ってた どんな日も 頑張った自分よ ありがとう

          詩・いろんな日

          詩・いすに座って

          ならんで座った夕方も コーヒーがぬるくなっても 黙って人のを一口食べてても 笑わせようとしたモノマネも 昨日のように思い出す 覚えてない 忘れてもいいような 確かに色があった時間 記憶に残らない 無限に思える 無駄をぜいたくに 使い捨てて行こう 人にしかできないから それでいいの 忘れていくのは 失うことと 同じでもない いすに座って 思い出す

          詩・いすに座って

          詩・雨と人

          雨と人は どこか似ている みんなでひとつだったところから 地上でひとつに分離する 時間が終われば元のひとつに還る 多すぎる雨 降らない雨 大きすぎる思い 枯れて尽きた思い 欠けたら満ちて 満ちたら欠ける ずっと同じでいられない どこから来たのか帰るのか それは誰にも分からない 土に還る 海に還る 空に還る 傘もささずに 踊るよ 意味もなく むやみに 心揺らそう 際限もなく その日 その時が来るまで

          詩・雨と人

          詩・海に来て

          春の瀬戸内 空を溶かした 海に島並 水平線に 負けじと 鳥が並んで 点線を描く 通る船が 波を呼び 水面を踊る 見えるものは ただそれだけ 風に歌うことも 空に飛び跳ねることも 私にはできない いま息をしている ただそれだけ

          詩・海に来て

          詩・蛍光灯のひも

          夕陽が帰って 窓の外 寝転ぶ畳 見つめる天井 蛍光灯 長いひもに 手を伸ばす 一度引けば まぶしくて 二度引けば 丁度よく 三度引けば 豆球オレンジ 四度引けば まっくらけ もいちど 引いたら 明るい世界に なってるかな 蜘蛛の糸みたいな 蛍光灯のひも 一人と言わず みんな助かれ

          詩・蛍光灯のひも

          詩・出がらし

          出がらし みたいに 誇らしく あれたら 暗い底から 出れるかな ふたが開くのを 待っている 熱いお湯を得た 茶葉のように 色や香りと 踊りながら 時が来るのを 待っている 二煎目はない 人の命に 思い巡らせ 今このときを 味わって できることを できるだけして 出がらしに なりたい

          詩・出がらし

          詩・愚かなふたり

          ふわり 布団の隙間から 流れ込む冷たい空気 背中にふれる体温が 温かいのに物悲しい 私の抜け殻 抱き寄せて 安心しているつもりなら なんと愚かなことだろう 全てを知る必要はない 言わなくてもいいことは いくらでもある それを優しさだと 思い込んでる私の なんと愚かなことだろう 素直ではないかもしれない 嘘ではないかもしれない 思いやりを 注ぎあって あふれて こわれて 愚かなふたり

          詩・愚かなふたり

          詩・おいしくなあれ

          パン生地よりも たたきつけられて うどん生地よりも 踏まれて ピザ生地よりも 振り回された この私の人生 こっから先 美味しくならんはずがない 絶対そうだと信じてる たぶん大丈夫だと分かってる ジャムおじさんみたいに言うよ おいしくなあれ おいしくなあれ

          詩・おいしくなあれ

          餃子の件

          あなたに言いたいことがあるのよ。 今、ふたつ、いっぺんに食べたよね。 信じられへん。衝撃映像よ。 知ってる?全部で何個包んだか。 手間ひまと時間と愛が倍速でブラックホールへ 消えゆく切なさよ。 いいのよ。わかってる。美味しいもの。 美味しくたいらげてくだされば本望。 一人で上手く60個包むとさ、もしかしたら祖先のルーツは 中国か香港かアジア系だったのかなとか みるみるうちに無くなる餃子を見て 思いをはせてしまうわけよ。 ボウルに白菜をみじん切り、塩もみして 水気きって、

          餃子の件

          詩・切り替え

          眺めていたニュース 凄惨な事件と 眉間に皺の 重い空気 次はスポーツです 日本人初の快挙だと はじける笑顔 我が人生も 心痛む余韻もなく すぐ切り替えられたなら できれば2秒で 笑顔でいられる時間も そう長くはないから 尊いと知ったから できれば2倍 それ以上の いいことがあっても いいと思う さて次は 関西在住主婦 難病から奇跡のV字回復です 続いては あなたのニュースです 満面に笑み その理由とは 秘密に迫ります

          詩・切り替え

          詩・そうじゃない

          今日が人生最後の日でも 悔いはない 薄く開いた窓から 流れてきた ゴミ収集車の 軽妙なメロディ 全宇宙の不幸を 集めていたのに 台無し 地獄や 思わずつぶやいて うなだれた まさか 十五分と 聞き間違えられるとは 吞気に 夕飯どうする じゃないのよ 簡単なのでいいよ もういいよ 私の外の世界は 今日も朗らかに ズレています

          詩・そうじゃない