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ホテルの小さなカイゼンプロジェクト

こんにちは、Nue incというリサーチ(調査)からプランニング(立案)、そしてクリエイティブ(表現と実行)を行う会社をやっている松倉早星です。

Nueで代表をやりながら、2019年夏ごろからセトレと言うホテル全体のブランド統括をしています。ブランド開発室という新しい部署までできて、半分中の人、半分外の人という割合でサービス提供側の視点と消費者の視点を往来してホテルでの体験をデザインでもって底上げしようと動いています。

あ、ほら。この上のリンク。OGP設定がされてません。
今、担当の方に「公式サイトのOGP設定しないと地味な機会損失ですよ」と連絡を入れました。だって、これ見てください。

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滋賀の守山にあるセトレです。琵琶湖畔にあるホテル。全客室から眺めることができます。この滋賀以外に、奈良、舞子、姫路、長崎と個性が異なるセトレがあります。すべてにリサーチかねて試泊し、大きなカイゼンと小さなカイゼンの仕分けをしていきました。

今日は小さなカイゼンの話

姑みたいで嫌われそうと思いながらも、全てのセトレでこまめにチェックをします。大きなカイゼンも裏でどしどし動いていますが、今日は小さなカイゼンについて。

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リサーチの中でバシバシ写真をとります。基本的にはきになるところを中心にきろくされていきます。この写真、何かわかりますか?
照明ライトに添えられた電気配管のダクトです。それがなに?ってなると思うんですが、これは直したいことリストに入っています。

なぜかというと

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この視線の先には綺麗な夜景が広がるんです。
エントランス入ってすぐのラウンジ。いくつかのソファ。大ガラスの向こうには綺麗な風景が広がる。その間にあるのがこのライト。高い確率で宿泊者の目に触れます。このダクトをお客様の視点に入らない裏面の方へおくだけでも少しスッキリします。そんなところ、見ないでしょ!って思うかと思いますが人って意外と綺麗なものより、汚れたものに注視しがちなんです。

会議テーブルの上に髪の毛が落ちていたことに気づいた経験がある人いませんか?髪の毛なんてあんな細いのに人って見つけてしまうんです。「違和感」を察知しないと命に危険があった期間が長かったかもしれませんね。これは人の本能なんです。

ね、姑みたいでしょう。たまに嫌になるんですが、この小さなカイゼンの積み重ねが大きな満足感に繋がるんです。ちなみにですが展示などをするときにまず努力するのが配線などのノイズ除去です。できるだけ作品をみてもらいたい。その時、配線などが乱雑だとそっちに目が行くから。丁寧に壁沿いに這わせて床面と同じ色のテープで隠します。

ちょっと嬉しいをデザインする

セトレにチェックインするとディナーの時間、モーニングの時間が記載された紙が鍵と一緒にもらえます。試泊の時に「この優しさ嬉しいなぁ」と思ったんです。とても良いのにプリンターで印刷した紙で配布していて、チープに見える。もったいない。全セトレで共通で使えるようにこんな風に変えよう!とセトレチームに連絡をいれます。

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紙は厚手の温度感あるものに変えよう。ディナーの時間とモーニングの時間は手書きでかけるようにする。天気もいれよう。「天気は今日と明日あった方がいいんじゃないですか?」とすぐにホテルからもアイデアがでる。温度いれたけど、それはあんまり必要ないから、そこを潰して今日と明日の天気を入れよう。どのセトレも風景が120点なので、マジックアワー(日の出/日の入り)を記載してあげよう。それ素敵ですねーと盛り上がる。チェックアウトは全セトレ固定なのであらかじめ印刷でOKです!とか。自社メディアへのQRもここに記載しよう!とか。

デザインやクリエイティブって特殊な職種のものではなくて、「喜んでもらいたい」という思いの表出なんだと伝わると良いなと思っています。
だって、ホテルの現場で働いてる人って、そのプロですから。

ささいなことにも工夫の余地がある。その小さなカイゼンがお客様の旅をちょっとだけ温かいものにする。ついつい大きな変化でカイゼンしていこうと考えがちなんですが、それ以上に小さなカイゼンには意味があります。それは自分たちでもできることだったりするから。ちょっとの工夫の積み重ねで大きな価値に変えていく。それこそ最大のクリエイティブな仕事だと思います。だとしたら、働いてる人、みんなクリエイターと言えるんじゃないかなと僕は思うんです。

気になるところを見つけたら、儲けもん

どういうわけか、僕たちは大人になるにつれて「ダメなところ」を指摘されるのが怖くなります。あー怒られるーと言う感じ。誰だってあるはず。

逆にこのカイゼン領域はルールが一変します。
ダメなところを見つけたら「よくやった!」です。よくぞ見つけた!と褒められます。

だって、ダメなところを直したら、良くなることに変わるんです。超シンプルですが、良いものをより良いものにしても意外と人って気付かない。
ダメだったものが良くなる。それを重ねるとホテルでの宿泊体験全ての底上げになります。たった1枚のカードですら、コミュニケーションが変わります。日の入りや日の出の会話でここの風景は綺麗ですよと対話に繋がる。そこからセトレがある地域の話ができる。

無数にカイゼンすべきところはあります。
それはより良くなる道が見えているということです。もっと良くなれる保証なんです。

今、お客様との接点が多いか・少ないかでカイゼンのプライオリティを決めています。フロントでのコミュニケーションは宿泊体験で必ず発生します。そう言う確実にある接点を最重視して小さなカイゼンを積み重ねていきます。また定期的にカイゼンレポートを書いていこうかなと思いますのでホテルカイゼン奮闘記として応援よろしくお願いします。

セトレは各ホテルのGM(ジェネラルマネージャー)たちがnoteを書いてくれています。普段、見れないホテルの裏側。苦悩とか努力とか、もうなんでも書いてしまえ!と伝えています。サービスってお金を払えば当たり前に提供されるものですが、その裏にはいろんな人の想いがあることが少しでも伝わるとホテルに泊まる楽しみも増えるかなと思います。

旅をするならセトレ泊まって見てくださいねー
気になったところ、松倉に教えてくれたらキンキンに冷えたビールおごります。


いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。