見出し画像

【ざっくり】インド市場でNETFLIXが苦戦する理由 - hotstar社について

今回はインド版NETFLIXとしてhotstar社についてまとめたいと思う。
前回は東南アジア途上国版NETFLIXとしてiflix社についてまとめたが、今回はマーケットが大きいインドについて注目してみた。
hotstar社は4年前に創業したインド最大の映像ストリーミング配信会社であり、2019年4月に月間アクティブユーザー数が3億人に達したと発表した。
今回は、そんなインドで最も勢いのある映像ストリーミング配信会社についてまとめた。

<目次>
・hotstar社とは
・サービス
・ビジネス戦略
・展開国
・業績
・さいごに

■hotstar社とは
創業は2015年2月で、現在は月間アクティブユーザー数が3億人
・hotstar社の親会社はStar India(インド巨大メディア企業)であり、Star Indiaの親会社はWalt Disney Company(ディズニー)である。

後で説明するが親会社にディズニーがいるということが、hotstar社の強みになっている。もともとは親会社のStar India社は21世紀フォックスの子会社であったが、21世紀フォックスが2019年3月にディズニーに買収されたことにより、hotstarの親会社がディズニーになった歴史である。

■サービス


サービスプランは2つである。
・Hotstar Premium / 月額4.1ドル(一括年払いは13.9ドル)
広告なしで、アメリカ/国際番組や映画など制限なしに視聴可能。

・Hotstar VIP / 年間5.1ドル
広告付きで、すべてのスポーツ番組にアクセスできるが、アメリカ/国際番組や映画等は視聴することができない。さらに同時には一つの画面でしかみることができない。安いプランであるが、あくまでPremiumが本流であるということがわかる。

(参考:Amazon Prime 月額1.8ドル、NETFLIX 月額7.2ドル)

hotstar社のコンテンツは7つの現地語に対応しており、インドで人気のクリケット、フットボール、カバディをライブストリーミングできる。

■ビジネス戦略
・現地語コンテンツ
hotstar社は親会社がインドの巨大メディア企業ということもあり、オリジナルコンテンツが強く、言語も7つの現地語に対応している。(インドは多民族国家であり言語が多い)
NETFLIXも巨大な作品数を抱えているが、その多くは英語対応のコンテンツであり、特にヒンドゥー語作品の少なさが弱みとなっている。

・料金
料金についてはhotstarが月額4.1ドルに対して、NETFLIXは7.2ドルであり、2倍くらい料金が異なる。

・ディズニーコンテンツ
上記に加えて、hotstarの強さの理由は更にある。ディズニーが親会社ということで、Disney, Fox, HBO(ケーブル局、セックスアンドザシティの作品を製作) を安く独占配信している。
2019年後半開始予定のディズニーのストリーミングサービスDisney+のコンテンツはインドではhotstar経由で提供される予定だ。

その結果、2018年6月のデータによるとインド市場ではhotstar 69.7%、Amazon Prime 5%、NETFLIX 1.4%(2016年1月インド進出)で圧倒的にhotstarが市場を独占していたそうである。

NETFLIXがインドに参入して2年半でシェアが1.4%しかないのは苦戦していることがわかる。これに対抗するためにNETFLIXは、今年5月にモバイル視聴限定で、4ドルのプランを開始した。(今までは一番安いプランが7.2ドルだった)
さらにNETFLIXは「ライース」や「ダンガル」「バーフバリ 伝説誕生」といったボリウッドの一流作品を揃え、映画スターのシャー・ルク・カーンが運営するスタジオと独占契約を締結し、インドでのオリジナルコンテンツに力を入れている。今年4月にはオリジナルコンテンツを10作品作ると発表され話題になっている。

■展開国
インド、アメリカ、カナダ、イギリス

2017年にはインドのスポーツやコンテンツを提供目的として、アメリカ、カナダに進出した。そして2018年にイギリスに進出。

前回調べたiflixと異なるのは既に欧米の先進国に進出をしているところだ。
ちなみに日本にはまだ進出をしていない。

■業績
売上は非開示のためわからないが、推定で2018年3月時点で年間100億円以上ありそうとのことだ。
2018年7月時点で、hotstarのバリュエーションは270億円とのこと。さらにそのタイミングでNETFLIX、Amazon Primeに対抗するために80億円近くを調達している。今年3月にはさらに153億円を調達している。

■最後に
インドのエンタメ・メディア産業は2020年には約4兆円に到達すると言われている。この大きな市場をこのままhotstar(ディズニー)が制すのか、もしくはNETFLIXがひっくり返すか、今後も注目していきたい。


この記事が参加している募集

コンテンツ会議

いつもどうもありがとうございます。Twitterでも情報発信をしています。よければフォローしてくださいませ。https://twitter.com/film_note2