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なんとなく使っている女性軽視用語


友人が自分の夫のことを指して「旦那さま」という言葉をつかったときのこと。その友人は自分の母親から「わたしはあなたを女中に出した覚えはない。旦那様とは何事か」と叱られた。あっぱれなお母さんだ。

それでは何と呼べばいいのか。日本語には「つれあい」というちょっとほのぼのした言葉がある。人生という旅の「つれあい」だ。そして男も女も使える。

明治時代の作家が「妻君」という言い方をしていたのもよい。なんだかちょっと頭が上がらない感じがして微笑ましい。

ところが女性に対しての侮辱であるような言い方は多い。たとえば「女の腐ったようなヤツ」や「女々しいヤツ」。不甲斐ない男、根性のない男に対して使われる女性軽視用語だ。

英語では女性器の呼び名であるカント、またはプッシーという言葉が使われる。非常な低俗な表現として、そのような語彙を使う人間は軽蔑されるのが常だが、男性優位のウォールストリート市場あたりでは、男たちが半分冗談で、女性のいない場所で使っている。

アメリカの元大統領トランプ氏がこの言葉を使ったという噂が持ち上がり、大きな問題となった。ニューヨークシティなどの民主派の多い地区では、トランプ氏は女性蔑視のスタンプが貼られている。

ちなみに女性蔑視者は英語で"male chauvinist pig"と呼ばれる。"pig"(豚)がついていて、なんだか豚もかわいそうである

日本では女子力(じょしりょく)という言葉が一般的になって久しいが、「オンナ子供は黙っていろ」などと昔よく使われた、「女と子供をひとまとめにした」表現を彷彿とさせるし、男子力という言い方はしないのに対して、こちらは女性に対する偏見を助長するとして問題視されている。

「女子力が高い」は独立心が旺盛で仕事ができる素養ではなく、料理がうまい、ファッションセンスがある、などの「良妻賢母」の予備軍のようなニュアンスが込められていることが多い

英語では "girl power" という表現があるけれど、これも同様に問題視されることが多い。代わりに、性別に関係なくポジティブな言葉を使うことが推奨されている。

男女共同参画(だんじょきょうどうさんかく)という言い方もある。男女平等を目指す政策や活動に使われる言葉だけれど、男女の関係において男性が主体となり、女性が補完する存在として位置づけられているとして、問題視されていいる。

そんなつもりはなくても、この社会に漂う差別的な空気につい染まってしまって、誰かの妻のことを「奥さん」とうっかり呼んでしまうこともあるだろう。

男性を中心とする視点に基づいている言葉は意外と多い。
言葉の使い方にも意識の高さが求められている。




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