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《29》従業員を巻き込む事例(来ハトメ工業㈱)~実生活で理解深める~

業界別のSDGs事例紹介。

今回は少し視点を変えて、「SDGsを従業員も巻き込んで自分ごとにする」という、どの業界でも取り組める事例です。

ご紹介するのは、埼玉県八潮市で金属プレス加工業を営む従業員約30
名の来ハトメ工業㈱


同社が実践しているのは「私のSDGs」というもので、

会社としての取り組みであるべきSDGsをあえて会社から切り離し、

従業員一人ひとりの生活を通じて理解してもらうことに注力されています。

具体的には、まず全員に1年間の各自の「環境・経済・社会に関連する目標」を設定してもらいます。

例えば、

「エコドライブを行う」

「家庭のゴミ量を50 %程度減少させる」

「食事のカロリー制限と運動の継続実施」

「ペットボトルをやめ水筒を使うようにする」

など。

こうして提出された目標をSDGsへひも付けるという作業を事務局が
一括して実施し、

ひも付け後の目標を全員に返却して6カ月間、自身の設定した目標達成を目指して各自取り組みます。

そして、全従業員が自身の目標への達成度を10点満点で自己採点する「ふり返り」を実施し、検証を行います。


この「私のSDGs」は2017年からスタートし、従業員から集まった取り組みの総数は1年目は160だったのが4年目には241となり、年々増えています。

さらに、主に他者との協働が求められる目標17(パートナーシップ)への
取り組みが初年度はゼロであったものの、

2年目には募金や地域活動を目標に取り入れる従業員が出現し、

また、この取り組みを自身の家庭に持ち込んで家族と共に取り組む従業員も出現しています。


このようにSDGsと向き合う従業員の奮闘ぶりを、同社で年1回発行している環境報告書「環境活動(経営)レポート」の従業員紹介ページにて紹介したり、

社内の1年間の環境活動を独自ルールに基づいて採点した「SDGs評価
点」により評価した結果を掲載。

このような取り組みが評価され、19年には環境省主催の「第22回環境コミュニケーション大賞」において環境経営レポート部門大賞(環境大臣賞)を受賞されています。
 

このように、会社として取り組むSDGsを掲げる前に、従業員一人ひとりの目標をSDGsに結びつけて実践するという手法は、

日々の中でSDGsを意識し、自分にとって身近なものにするという意味で効果的です。

全ての従業員が自らの実生活の中でSDGsを使いながらSDGsを理解し、その素晴らしさを体感しているという状態が生まれるため、

将来的に事業活動でSDGsを活用するときも従業員が抵抗なく取り組め
るということにつながる
のではないでしょうか。

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