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ふたつの夜 《詩》

「ふたつの夜」

時間は止まり

世界は其処で終結した 

地球はゆっくりと回転を止める

光と音が徐々に消え去る


僕達は間違い無く
ひとつの狂気の中に存在している

其処には

慈愛を与える余地の無い者との 

境界線がはっきりと見えた


暴力は目に見えるものだけでは無い 

血が流れる事だけが傷では無い

僕等は

細い一本の線の上を歩いている

頭の中にある物語を文字に起こした

足を引っ張り合う様な

文壇には属さず 

ただ独りで書き続けていた


幾つもの問題提起が掲げられ
其れに対する解決は無い

ひとつひとつの覚醒が

新たな座標軸を定め

深く奥に潜めた闇を見つめる


そして作り上げられた

都合の良い記憶が

置き換えられて行く

僕達は其れが
全て嘘だと言う事を知っている


見知らぬふたつの夜が

鏡の中を通り過ぎてゆく

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