見出し画像

不実な雨と小さな同意 《詩》

「不実な雨と小さな同意」

低く暗い雲が

空を覆い垂れ込めていた

憂鬱そうに傘をさして歩く人


彼女は僕の唇に人差し指を置いて
全てを閉じ込めた 

不実な恋人がそうする様に


彼女は静かに目を閉じて…

そう言った


僕は小さな声でうなずいた

空っぽの空間に

何かが
流れ込んで来るのを感じていた

些細な現実と不必要な寄り道と

その遠く先に見える降り出した雨

いくら探しても
見つからなかったもの

雨は全ての始まりを意味していた

暖かく湿り気を帯びた彼女の声


僕は同意する様に 

もう一度小さくうなずいた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?