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乳がん・発見から治療を振り返って

左胸に小さなしこりを見つけてから丁度一年が経った今日、改めて乳がん治療について振り返ってみようと思います。ママが乳がんで闘病し、天に召されたわけですが、ママを通しては分からなかった、自分が治療してみて初めて分かったことを一事例として記録する心境になりました。やるべきすべての治療を終え、その間、家族はじめ主治医、友人、知人、沢山の人との対話により、私の人生後半の目標が定まってきて、お陰様でもう再発はないように感じるに至りました。以下、備忘録を兼ねて記録します。

まず、しこりを見つけたらすべきこと。それは針の検査。針の検査は、痛いです。針というより、むしろ銃のような道具でパーンと胸を打ち抜きます。しかも最低でも3回。下手な先生にあたり、6回打たれた人もいます。痛いと思って受けた方がビックリしないで済むと思います。

針の検査結果は待つこと一週間。私はその一週間の間に、ガンであることを前提に、手術や治療をお願いする病院を比較検討しました。

針の検査で、乳ガンと診断されると、自分のガンがどういうタイプに属するか知らされます。次にすることは、MRI検査で胸を、CT検査で全身をチェックします。これは胸にできたガンの正確なサイズと、他の臓器に転移があるかを確認するためです。転移がある場合は、胸の手術はせずに、抗がん剤治療に入ります。ママは肝臓に転移していたので、このパターンで、最後まで胸の手術はしませんでした。

術前CT PET検査や、手術で採取したがん細胞から読みとる基準は以下の6項目。

・ホルモン受容体:陽性 or  陰性
・HER2受容体   :陽性 or  陰性
・Ki67(細胞増殖能)____ %
・組織的グレード:1 2 3
・リンパ節転移 :あり or  なし
 →手術の際リンパ節を取り転移有無を確認
・遠隔転移(肺、肝、骨):あり or なし
 →CT PET検査で確認

私のガンのタイプ
・ホルモン受容体:陽性
・HER2受容体   :陰性
・Ki67(細胞増殖能)90 %
・組織的グレード:3
・リンパ節転移 :なし
・遠隔転移(肺、肝、骨):なし

私の場合は、転移が認められなかったので、手術をしてから、抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン治療という流れで、主治医が治療計画を立ててくれました。

運よくセカンドオピニオン、サードオピニオンも聞くことが出来ましたが、いずれの先生も、手術、抗がん剤、放射線、ホルモン治療のフルコースをするように指導されたので、比較的迷いなく手術・治療することができました。(癌の種類によっては順番や治療方法は異なります。)

また、自分の病気についてよく理解するために、ピンクリボンアドバイザーの勉強をしました。乳がんという病気の全体像を理解するのに、非常に役に立ちました。
https://breastcare.jp/be-pinkribbon-addvisor/

☆自覚から完治したと感じるまでの流れ☆

私の海外中国北京でのガンの発見から完治したと自分が感じるまでの治療を時系列に記録します。

3月9日   自分でしこりを発見@北京
3月13日 クリニックで診察、
     針の検査をすすめられる@北京
3月16日 針の検査を受ける@北京
3月20日 『海外』『乳がん』でググる。検索結果
     一番上に出てきた病院相談窓口にメール
3月21日 将来の主治医から直接メールで
     直ぐに受入可能の旨知らされる
3月24日 針の検査結果、悪性と分かる
 ・中国人医師から北京で手術治療する場合の流れ
  について説明を受ける
 ・北京のクリニック医師が日本人の乳がん専門医と
  電話を繋いでくれ、治療について説明を受ける
 ・北京のクリニック医師が東京の受入病院の主治医
  に検査結果を伝えてくれる。
 ・日本で治療することに決め、紹介状や検査結果の
  プレパラートを用意。
3月25日 渡航前PCR検査
3月26日 北京ー東京へ移動
3月27日 主治医の初診、MRI検査
3月29日 PET CT検査
3月30日 検査結果と手術前レク
3月31日 東京ー北京へ移動
4月8日  北京ー東京へ移動
4月9日  入院(海外から入国した為に全て隔離対応)
4月10日 手術(部分切除、胸サイズ変化なし)
4月12日 退院
4月18日 手術後1週間診察
4月19日 東京ー北京へ移動
5月8日   北京ー東京
5月9日   手術後1か月診察
5月11日 抗がん剤レク
5月13日 東京ー北京へ移動
5月29日 北京ー東京へ移動
5月31日 ウィークリー・パクリタキセル1/12
6月7日   ウィークリー・パクリタキセル2/12
6月14日 ウィークリー・パクリタキセル3/12
6月21日 ウィークリー・パクリタキセル4/12
6月28日 ウィークリー・パクリタキセル5/12
7月5日    ウィークリー・パクリタキセル6/12
7月7日    東京ー北京へ移動
7月18日     北京ー東京へ移動(本帰国)
7月19日  ウィークリー・パクリタキセル7/12
7月26日 ウィークリー・パクリタキセル8/12
※この辺りから引越し疲れ相まって夏バテ気味に
8月2日 ウィークリー・パクリタキセル9/12
8月9日 ウィークリー・パクリタキセル10/12
※髪の毛が抜け始める
8月16日 ウィークリー・パクリタキセル11/12
8月23日 ウィークリー・パクリタキセル12/12
8月30日 AC療法1/4
8月31日 ジーラスタ(白血球を上げる薬)
9月13日 AC療法2/4
9月14日 ジーラスタ
※髪の毛がどんどん抜ける
※顔の浮腫み、まつ毛の脱毛に悩まされる
9月27日 AC療法3/4
9月28日 ジーラスタ
10月11日 AC療法4/4
10月12日 ジーラスタ、遺伝子検査
     (遺伝性のガンか確認する目的)
     抗がん剤終了
10月15日 ママの一周忌法要
     (カツラ無しで何とか乗り切る)
10月25日 ホルモン治療開始、遺伝子検査結果陰性
11月2日  放射線治療前、CT撮影
11月9日  放射線治療予行練習1/2
11月10日   放射線治療予行練習2/2
11月13日   放射線治療1/16
※胸が温かい感じがはじまる
11月14日 放射線治療2/16
11月15日 放射線治療3/16
11月16日 放射線治療4/16
11月17日 放射線治療5/16
11月20日 放射線治療6/16
11月21日 放射線治療7/16
11月22日 放射線治療8/16
※照射部がほんのりピンク色に、摩擦に敏感になる
※UNIQLOワイヤレスブラ(ウルトラリラックス一択)
https://www.uniqlo.com/jp/ja/products/E451263-000/00?colorDisplayCode=35&sizeDisplayCode=007
11月24日 放射線治療9/16 主治医診察
11月27日 放射線治療10/16
11月28日 放射線治療11/16
11月29日 放射線治療12/16
11月30日 放射線治療13/16
12月1日    放射線治療14/16
12月4日   放射線治療15/16
12月5日   放射線治療16/16 
1月12日   主治医診察
※いつの間にか放射線治療の跡は完全に消え、ブラも全て痛みなく着用できるようになった。
3月8日   マンモグラフィー、胸のレントゲン 
     術後1年検査を1か月前倒
     完治

以上、セルフチェックによる自覚から、治療完了(ホルモン治療と経過観察中)を一気に振り返ってみて、一番辛かったのは、髪の毛だけでなく、まつ毛や眉毛が抜け、顔が浮腫むなどの外見(アピアランス)の変化でした。禿げて、まつ毛がないと、急に30歳ぐらい老け込みます。また、目に風やゴミが入りやすくなり困りました。

幸運なことに、私の場合は、吐き気や下痢といった体調不良はありませんでしたが、食べづわりのような症状だけあり、その場合には、オーツミルクラテや、豆乳、キュウリとお味噌、ゆでた鶏むね肉等、お腹に溜まるものを取って、体重増加を防ぎました。体重は終始一定にキープしました。

☆私が取り組んだアピアランス・ケア☆

髪の毛
・抗がん剤治療中は白髪染めが出来なくなるので、ビゲンの洗い流せる白髪染めスプレーと、資生堂の洗い流せる白髪染めファンデーションを併用
・頭皮冷却で脱毛を極力防いだ
・抜け始めてからは髪をシニヨンにまとめた
・10月下旬には頭皮が見えるようになり、ベリーショートに。
・帽子とカツラを併用。購入したカツラは茶髪ボブ、ブルーボブ、黒ショート、茶髪ロングの四種類・ブルーボブのカツラが一番自然で、評判が良かった。

・1月16日 美容院で髪を染め、カツラ卒業
・3月9日現在、ショートヘアもだいぶ馴染んできた。

まつ毛
・抜け始めた9月上旬から11月上旬まではツケまつ毛
・抗がん剤治療終了してから、2週間ぐらいでまつ毛は生え始めたので、ラッシュ・アディクトでひたすら育毛
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・11月下旬には短いまつ毛が生え揃う
・12月11日にまつエクを開始、以降、育毛しながら、まつエク
・3月9日現在、まつエク無しでも大丈夫なぐらい、長いまつ毛が生え揃う。


・抗がん剤による着色が気になるので、ジェルネイルでカバー。

以上、思いつくまま、カレンダーを参考に一年を振り返りました。多分、今の私は、誰に会っても治療したことを話さなくても大丈夫なくらい、普通の中年女性です。

最初に診て頂いた、北京のクリニックの先生に言われた言葉を記録しておきます。

『今は嵐の中だと思って、じっと耐えてください。視点を高くしてください。手術で胸に傷は残るかも知れないけど、ちょっと隠せば大丈夫です。抗がん剤で、具合が悪くても、寝ていれば大丈夫、髪は治療が終わればすぐに生えてきます。放射線は光を当てるだけです。ホルモン治療は薬を飲むだけです。何も調べず、聞かず、標準治療を粛々と受けてください。』

私たち家族は、この嵐の海を、波乗りサーフィンのように、各自なりに楽しみながら無事に乗り切り、娘は目を見張るほど成長し、夫も父親として一皮むけ、娘と2人で過ごした北京での生活が父娘の絆をより深いものにしてくれました。私も、今まで家族にだけ注いできたパワーを自分に集中して傾ける時間を頂き、人生後半の過ごし方の見通しが付きました。何よりも、早期発見を促してくれた、ママへの感謝がいつも胸の中にあります。ママがいない寂しさとママへの感謝が極まってKindle本も書いたぐらいです。
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以上、私の記録は色々な幸運が重なり、乳がん患者の中でも、相当に軽度な治療記録の可能性が高いです。ご結婚やご出産前に乳がんと診断された方に寄り添うような内容ではないかも知れません。でも、このnoteがこれから治療を受ける方にとって、何らかの励みになればと思います。病気になることは人生の醍醐味の一つです。色んなことを気づかせてくれ、軌道修正のきっかけとなります。とは言え、早期発見が1番なので、セルフチェックの習慣化をおすすめします。

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