「AI(愛)は掌に」 第十話
8月に入り、太陽もカンカンと照りつけてくる。
大学も夏休みに入った頃、久楽は夏季限定の短期アルバイトに勤しんでいた。
一日だけの派遣で、毎回仕事をする現場が違う仕事らしく、久楽は新鮮な気持ちで仕事に励んでいた。
久楽の今日の仕事は某有名アーティストのライブ会場の設営であった。
指示に従って、機材を運んだり、運んだり、運んだり…延々と運ぶ作業である。
「設営の仕事なんだからアーティストに会える訳ないよな…」と気付いたのは、仕事を始めて30分後のことだった。
ウキウキ気分も