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"歴史" 系 note まとめ

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2023年11月の記事一覧

世界史と英語を同時に学べる問題をつくってみた

 私の専門は歴史ですが、暗記ばかりではなく柔軟に教えられたらいいな…と常々思っています。  画像資料をもとにして、科目横断型のこんな問題をつくってみました。 問題編 図は、1917年にアメリカで制作されたポスターである。あとの問いに答えなさい。 (1)「ああ! もし男だったら、海軍に入るの に!」という意味になるよう,空欄X,Yにあてはまる語の組み合わせを選べ。  ア X- I am   Y- I'll join    イ X- I am  Y- I'd joi

世界史記述の勉強法【「共通テスト」から「一橋大世界史奇問」まで】

今、日本の歴史教育は変革を迫られている。 「歴史総合」の誕生は、「もっとグローバルに日本史と世界史の垣根を越えて世界へ羽ばたく日本人を増やす」という政府の意図を感じるし、江戸時代に鎖国していた日本とは違い、現代は情報革命によって世界中が「近く」なった。もはや、世界はすぐそこであり、イスラームや中国共産党、アフリカはかつてないほどに身近になった。スマホの画面の向こうには小さな地球が広がっていて、意思があればすぐに地球の反対にまで手を伸ばせる。 ゆえに「日本人」という自意識を

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ダレイオス1世 ~鳩の世界史教室~

🕊「こんにちは、鳩の世界史教室へようこそ。  歴史の偉人たちを、世界史のイロハとともにお話しします。聞き手は羊くんです。よろしくおねがいします」 🐑「鳩先生、おねがいします。  世界史は得意ではないけど、授業を受けるのは好きです」 🕊「おぉ!講義は楽しいけれど、テストの点に結びついてない系…かな」 🐑「そうなんです。とくに教科書が苦手、眠くなっちゃうんですよね。最近で枕元に置いて寝る前に読んでます」 🕊「睡眠導入剤…!  みんな教科書が苦手ですねぇ。わりといいこと書い

第11回 メディア王族マウントバッテンの野心|本田毅彦(京都女子大学教授)

 現イギリス国王チャールズ三世に強い影響を与えた人物の一人として、ルイス・マウントバッテン卿(1900年生れ、1979年歿)がいる。マウントバッテンは、そもそも、チャールズ三世の両親(エリザベス二世と、フィリップ公[マウントバッテンの甥])の結婚をアレンジした、と考えられている。また、王太子時代のチャールズ三世の「メンター(指導者、助言者)」の役割を果たした、ともされる。さらに、チャールズ三世とダイアナ妃の結婚に関しても、マウントバッテンの助言が大きかった。近年、エリザベス二

音楽関連書紹介「世界史リブレット 植物と市民の文化」(川島昭夫著 山川出版社)

※インターネットラジオOTTAVAで11/10(金)にご紹介した本の覚書です。 イギリスのガーデニングが、イギリス音楽のみならずイギリスの芸術全般とどう関係があるのかずっと気になっていた。本書では、世界帝国となったイギリスが、海外からの膨大な植物を集めることによって、その生活文化や美学をどう変容させていったかを伝えてくれる。 本書は冒頭から単刀直入に本質に入ってくる。 「イギリスのガーデニングの特徴は、多種多様の植物の形、色、大きさ、それらを巧みに交えて配しながら、空間に

伊豆のわさび田はなぜ石を敷き詰めるのか? 江戸時代はそうではなかったのに。

このシリーズをここまで読み進めてくださっている方は、わさびに関心の深いかたばかりかと思うので今更説明の必要は無いかも知れないが、「わさび栽培法の確立が握りずし誕生を可能にした」の回で記したように、江戸でにぎり寿司が考案されてわさびが庶民の生活に普及する前段階として、わさびの栽培方法が伊豆半島に伝わり江戸へ出荷されたことがあった。  伊豆半島は今でもわさびの一大産地であり、一度は訪ねて見たいと思っていたが、公共交通機関では山間部の交通が不便でなかなか足を伸ばせないでいた。今回、

鄭和(ていわ)は、なぜ何度もよみがえるのか? "今"と"過去"をつなぐ世界史(13)

"今"と"過去"をつなぐ世界史(13) 1200年〜1500年の世界 死せる孔明、生ける仲達を走らすというように、英雄は何度もよみがえる。明代の宦官にして武将として知られる鄭和(ていわ)もその一人だが、よみがえりの形は、かならずしも生前のすがたそのものとは限らない。 史上の鄭和は、時の皇帝・永楽帝に見出され、大船団を率いて東南アジア、インド、セイロン島からアラビア半島、アフリカにまで7度にもわたり航海を成し遂げた人物である。 ムスリム(イスラム教徒)であった彼ならば、イ

地名の語源や成り立ちから、歴史と文化が見えてくる。新書シリーズ最新作。

身近な地名が面白い! 「難読地名「仲村渠(なかんだかり)」の語源は?」「なぜ西のつく地名が多いのか?」「基地で消えた地名」「川でないのに川がつく地名の謎」ほか。

歴史の扉 No.17 「K-POP」の世界史

コロナ禍1年目、波が一瞬収束したそのタイミングで、たのしい遠足だというのに、生徒たちは「バス車内は静かに」との注意を行儀よく内面化していた。その座席から、つつましくささやく「Dynamite」が聞こえたとき、コロナ禍の鬱々がぱっと晴れるような心持ちがした。2020年、BTSの楽曲「Dynamite」が、アメリカ・ビルボードの総合チャート「ホット100」で初登場1位となった、ちょうどそのころである。いまだに高校生の間でもなかなかの人気であるが、世代の差もあって、それ以前のK-P