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ギュスターヴ・フローベール

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ギュスターヴ・フローベール『感情教育』

ギュスターヴ・フローベール『感情教育』

 今回は19世紀フランスの作家、ギュスターヴ・フローベールの『感情教育』を紹介する。この作家の作品は以前『素朴なひと』という短編を紹介していて、今回で二回目になる。フローベールといえば様々な技法が随所にちりばめられた、散文芸術の金字塔である『ボヴァリー夫人』が最も有名で、僕も大好きなので、次は『ボヴァリー夫人』と思っていたのだが、今回『感情教育』を3年ぶりくらいに読み返してみて、いまは圧倒的にこっ

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ギュスターヴ・フローベール『素朴なひと』(『ボヴァリー夫人』とマリオ・バルガス=リョサ『若い小説家に宛てた手紙』とフリオ・コルタサル『夜、あおむけにされて』からも)

ギュスターヴ・フローベール『素朴なひと』(『ボヴァリー夫人』とマリオ・バルガス=リョサ『若い小説家に宛てた手紙』とフリオ・コルタサル『夜、あおむけにされて』からも)

 今回紹介するのはギュスターヴ・フローベールの三つの短編からなる『三つの物語』から、『素朴なひと』。フローベールは十九世紀フランスを代表する小説家。この小説は、完成した小説としてはフローベール最後のものとなる。フェリシテという家政婦が主人公なのだが、わずか76ページでフェリシテの18歳から死ぬまでをあつかっている。そのため、「そして何年も過ぎた」とか、「三年後には、耳が聞こえなくなっていた。」など

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