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ミステリーファンならニヤリとするかもしれない短編集『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信) / 読書ログ461

米澤穂信は若者向けのミステリーを書いている作家、という印象が強いのだけど、短編が五編納められた本作は、私が勝手に米澤穂信に持っていた印象からはほど遠い。

どの作品も浮世離れをした人々が織りなす陰鬱で残酷な話ばかりで、それぞれの話しには後味の悪いオチがつく。

なんだけど。なんだけどさ。

どの話を読んでいても、折々に趣味の悪いユーモアが顔を出し、ミステリーファンならニヤリとしてしまいそうな小説や絵画・固有名詞などの小道具たちが登場する。ついつい不謹慎な笑いが出てきてしまう。

ミステリーでもない、ホラーでもない、懐古趣味だが読みやすい文体で、滑稽と悪趣味がまざりあう。そこに頓知が効いた話しが綺麗に乗った見事さが気持ちよい。

どの作品も短編らしい短編という仕上がりでとても面白く読んだ。オススメです。

他の作品も読んでみようと思いました。


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「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。