【Iパス本を写真12枚でレビュー】ITパスポート最速合格術
「最速合格術」はITパスポート本として、アプローチがかなり特殊です。
たこ焼き屋の課題をITで解決する「ストーリー」を軸に、次々に用語が登場します。
他の本は、用語をジャンルごとにまとめて知識体系の構築を目的としています。しかし、最速本はストーリーベースで用語が登場するので大きく違います。
新用語・用語集・計算問題が独立した章なのも最速本だけ。
構成は、新用語・ストラテジ・マネジメント・テクノロジー・用語集・計算問題で、頻出順・重要順・挫折しない順に学習を最速で進められる本です。
とはいえ、個性が強く、全ての人にお薦めできない面も。
最速本では、テキスト1周8時間×3周・1日1時間×30日、つまり30時間程度の学習で充分合格すると明言しています(p18と20)。
「最小限の時間と知識量で、とにかく合格だけしておきたい!」と急いでいる方、「一度落ちて違うアプローチが欲しい!」と違う勉強法を試してみたい方にフィットする本です。
このNoteでは12枚の写真で、独自点と注意点をレビューして、どんな人にお薦めで、どんな使い方ができるかを解説しました。少しでも参考になったら嬉しいです。
※予算の関係で2019年第四版を中古購入しました。
※アマゾンアソシエイトを使っています。仕事として忖度なくレビューしましたのでご理解ください。
p.s. 作者さんからお返事も頂きました。辛口批評もあるので怒られないかドキドキしましたが、大丈夫でした(ω・▼)ほっ
最速本だけの独自特徴
最速本の目立った特徴を、4つまとめました。
他の本と比べて工夫された章立て
他の本にはない「ストーリーベース」
後半もたこ焼き屋で頑張って解説
他の本にない「合格必須の用語集」
私の学生さんには基礎をしっかり固めて欲しいので、正直、最速本を薦めません。その後の2~3年の学生生活で基本情報技術者などの高レベル資格も狙って欲しいので。
しかし、一度落ちた学生さん・卒業間近の学生さん・30時間で合格だけしたい方、他の本で挫折した方には、力強くお薦めできます。
今までの勉強法・他の本のアプローチでは合格に繋がらなかったので、別のアプローチとして有効な本だからです。
工夫された章立て
章構成は以下の通り。
新技術用語
ストラテジ
マネジメント
テクノロジー
用語集
計算問題
最近、ストラテジーを最初、テクノロジーを後に配置する本が増えています。最初からテクノロジーの技術用語や計算だと挫折してしまいますからね。
更に最新用語・用語集・計算問題の章があるのも、他の本にはない特徴。
出題頻度・学習しやすさを考えて、配置していると分かります。
他の資格本は、網羅的な知識体系が目的なので「どこが頻出なのか重要なのか」を読者が判断する場面が多々あります。
最速本では、学習順や優先度を決めてくれているので、時短になるので最速。試験攻略のアプローチが違うんです。
たしかにIパスの問題を分析すると、AIは8問・IoTは6問 は毎回出ます。しかし、他の本では従来の内容におまけ程度に解説してるだけ。最速本は章にするぐらい力入ってます。
ストーリー立てで登場する用語
最速本は「ストーリーベース」で学習できるのが最大の特徴。
「たこ焼き屋」の経営課題を、ITで解決していくストーリーで、学習していけます。流れるように次から次に用語が登場して、すんなりとインプットできます。
特に第一章の最新技術、第二章のストラテジはお薦め。
たこ焼き屋チェーンの電話対応が大変
スマホアプリでネット注文を取ろう
アプリを動かすには「クラウドサーバ」を使おう
クラウドから配送者へ注文情報を送ろう
このような変革を「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と云う
DXで最近話題なのは「シェアリングエコノミー」があるよ
このような流れでストーリーが展開されつつ、登場した用語を具体的イメージと一緒にインプットできます。
読み物として面白く、掴みはOK。
分かりやすいイメージを持って学習を始められました。
後半も、たこ焼き屋で頑張ってる
最新技術とストラテジーでは、たこ焼き屋ならではの課題で、話が自然に流れていきました。
後半戦の3章マネジメントではアプリの開発手法、4章テクノロジーではネットショップの技術。なかなかストーリー化が難しい所ですが、まだまだたこ焼き屋視点。頑張ってくれてます。
例えばリスク回避。「生ダコが病原菌感染しているリスク」を回避するには、「一切生ダコを利用しない(p183)」。「なるほどね」と声を出しつつ、笑っちゃいした。
若干「別にたこ焼き屋で考える必要なくね?」と、気持ちが離れる瞬間もありますが、序盤の新技術とストラテジーの章で心を掴まれ、すっかり勉強モードになってるので、読み進められます。
また、他の本で、初手テクノロジ、初手会計計算で「ううっ」となった方。最速本は最初の掴みが秀逸です。最速本なら分かりやすいイメージを持って、学習にすんなり入ることができます。
2冊目の本としてお薦めできます。「あの技術/用語はこんな使われ方をするんだ」と実感が沸くからです。
独自の章 用語集は充実している
1~4章(新用語・ストラテジ・マネジメント・テクノロジー)の後の5章は用語集。170語以上が、カテゴリ別・パターン別・アルファベット別にまとめられてます。このような切り口は、最速本だけ。
とはいえ、正直、今まで触れられなかった用語が、最後にぶわーと来た印象を受けるかも。「たこ焼き屋の例では回収仕切れなかったのかなぁ」と。
また、表が大変見にくいです。解説文が文字だらけで、表にした意味もあまりありません。
用語が赤文字でないため赤フィルタもできず、キーワードが太字になってないので注目点も分かりません。
よって、用語の解説文を丸暗記してしまう方は要注意。キーワードなどで情報圧縮しましょう。>>キーワード連結で覚えるNote<<
とはいえ、用語集がある本は珍しく、視点も独自で面白いです。私も>>4用語に注目するNote<< や >>英単語で覚えるNote<< などの、独自ノウハウを提案しているので共感が持てました。
用語集の5章は、問題演習の復習、試験の直前の最終確認に使えます。
最終形は、あくまで必要最低限・頻出順
最速本で学習した後の状態は、キレイな知識体系にはなりません。
最速本では、あくまで最新用語と頻出用語に注力しているので、以下の特性があります。
合格に必要最低限の用語
網羅性に不安が残る
順番もバラバラ
ここでは「基礎をがっちり固めたい」「網羅的に学びたい」方が不安に思う2点(網羅性と知識体系)を解説しますね。実は私もこのタイプ。
必要最低限なので網羅性に不安が残る
まず用語を網羅しているのか不安になりました。
例えばニッチ戦略(p55)はあっても、リーダ・チャレンジャ・フォロワは載ってません。索引にもありません。注釈はそもそもありません。
「4用語は揃って出題される最重要用語」と私は考えていて、基本情報技術者まで狙うなら、今のうちに学習しておきたいです。>>4用語に注目する<<
とはいえ、確かにITパスポーで出題され問われたのは、ニッチャ戦略だけ。キタミ本なんてそもそも掲載すらされていません(令和元年版)。
「出題頻度からバッサリ削っているんだな」と理解できました。
なお、索引は800語を超えていて、他の本と同じ。ITパスポート合格に必要十分な情報量は揃えていると判断できました。
頻出順なので知識体系に不安が残る
用語の登場がバラバラ。知識体系はキレイには構築されません。
例えば、IoTの通信関係の掲載ページ。
p251 bluetooth
p279 BLE
p34 LWPA
p37 5G
例えると、歴史の授業で古い順にするのではなく、テストに出やすい順に授業されるようなもの。私は、がっつり知識体系を構築したい派なので、一冊目には選ばなそうです。
「学習したことがすぐに役に立って欲しい」「塊ではなく優先順位をつけて少しずつ覚えていきたい」方に向いている本です。
書籍としての手触り
最速本は、書籍の外見や内容量は全く問題なく、品質の高い本です。
しかしストーリーベースの学習本なので、どうしても文字が多い点が、良くも悪くも特徴的。
資格本・専門書というよりは、コラム・小説に近い本なので、初学者の方は特に注意が必要です。
好みがバックリ分かれるポイントなので、「自分はどうかなぁ」と考えてみてくださいね。
インデックスが使いやすい
手持ちの9冊で、私好みのインデックスは3冊だけで、最速本も一つです。
各章の分量に大きな偏りはありません。むしろストラテジー(3章)が手厚いのは珍しいかも。大抵の本は40%がテクノロジーになってますから。
インデックス印が下まであるので、ページジャンプしやすく、とても好み。インデックスの印が小さいと、めくりにくいですからね。
索引は充実している
検索は800語を超えているので。他の本と同じぐらいです。
3列になっているのは珍しいですが、コンパクトです。問題演習後の復習で充分使えます。
とはいえ掲載は、用語集の5章に偏っている印象。用語集の章を直接パラパラ見る方が速いかも。
ページ数は少なめ
最速本は334ページ。400どころか350を切っていて少ないです。
とはいえ、網羅性と完読速度を考えると納得できます。
最速合格がコンセプトなので、ページ数を絞ったと分かります。また、図解を少なく小さく、説明文を最低限に絞る工夫もしています。
網羅性が不安でしたが、索引に800語あるので用語数に問題ありません。文字も小さくないです。
情報量は他の本と同等で、かなりコンパクトにまとめていると理解できました。
「手早くテキストでも学習を終えたい」「具体的イメージを持って、あとは問題演習で高める」方に向いている本です。
価格は1500円。ほんの少しだけ安い印象。単純にページ数が少ないからだと考えます。特段問題はありません。
問題点1 | 目次が正直、機能しない
最大のデメリットを書きますね。
目次が長すぎて、私にはまったく意味がありませんでした。
私は、最初に目次を見て全容を確認するのですが、げっそりしました。
「あの話どれだったかなぁ」で目次を見るよりは、話しの流れを知っておいてパラパラめくった方が速そうです。ただし、【】書きで用語が書かれているので、読んだ後に「ああ、あの話か」と思い出せはできそう。
「あの用語どこだったかなぁ」だったら索引を使えばOKです。
問題点2 | 「文字だらけ」
最速本の図解は大変少なく、あっても簡素。かなりの「文字圧」です。
私は「最大の欠点」だと思っています。図表・図解やイラストは、理解を大きくサポートする重要コンテンツですからね。
1ページ丸々文章。図解なし・箇条書きなし、なんて普通。枠でポイントまとめ・コラムや注釈もないです。
文章の装飾もちょっと簡素すぎます。用語だけは「太字」で強調されてますが、キーワードやポイントは強調なし。赤文字でないので、「赤フィルタで隠す暗記」もできないです。
次に図の簡素さ。もう少し「見て分かる」感にして欲しいと思いませんか?
「あとは読者側で解釈してください」という感じで、ただ貼り付けているようにしか。「さっぱり分からん」でもないですけど、図を見て「種類」は分かっても「意味」は分からないですね。図から図解に高めて頂きたかった。
細かいかもですが、表紙のキャラクターは本文中に一切出てきません。「挿絵のない純文学」のイメージ。
デフォルメ絵とか吹き出しとかで、ちょこちょこ登場すると目が休まったんですが、ページ数を絞りたかったんでしょう。
最速本は、「知識体系を構築する資格本」のアプローチではなく、「たこ焼き屋のストーリーで用語を登場させ、血の通った知識を手早く持って問題演習をしましょう」という独自のアプローチです。
「とにかく早く合格したい」「理論でなく実践で学習したい」「読み物が平気」な方は、購入を考えて大丈夫です。
まとめ | 「とにかく最速合格をしたい」向け
最速本は、「ストーリーで頻出用語から覚えていく、間違いなく最速合格を狙う本」 とは思いました。
ITパスポートは出題が幅広く・新技術に敏感、個別テーマの網羅性をそこまで重視しない傾向があります。たしかに最速でギリギリ合格は狙うなら、効果が期待できる本でした。
私がお薦めできる方は以下。
ITの導入事例を実感しながら学習したい
ITエンジニアとして業務経験と共感しながら学習したい
最新用語と頻出用語に絞って、最低限の学習時間で合格を狙いたい
暗記カードを作って、バラバラに覚えるのが得意
例えば「学校で習ったことを仕事で役に立てたい」と考える「行動と成果が直結して欲しい」方にこそ、フィットする本です。
一方で「系統立てて満遍なく勉強したい」「図解で分かりやすく学びたい」方には正直向いてません。
少なくとも、私は初学の学生さんには薦めません。基礎基盤をがっちり固めて欲しいから。
ただし、一度落ちた学生さんには薦められます。私が学習者なら、2冊目として買うのもアリです。たこ焼き屋ストーリーで、理論が「血の通った知識」になりますからね。
最速本は、たしかに「最速合格」を狙う本でした。「とにかくIパスに合格したい」「短時間で合格したい」方は、amazonレビューなどで購入者さんの考えや手応えを見てご検討ください。
じゃまたー(・ω・▼)ノシ
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