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【エッセイ】こどもの新陳代謝がドラクエ

初めて泊まった宿屋で一晩眠ったら、HPもMPも全回復なんていう夢のような時代はにんげん、乳児期くらいまでなのではないか。

大人が朝起きてベビーベッドを覗き込むと、既に起きてましたよという元気いっぱいの我が子の顔に、どうも自分の手の爪で顔を引っかいてしまったらしく、目と鼻をつなぐように赤い引っかき傷がある。2日に一回爪を削っているのだが、すぐにこんなことになる。今日、顔を正面から写した写真をジジババも見れるアプリに投稿すると、ごちゃごちゃ言われるからやだなーという気持ちになる。

早起きの我が子、朝のミルクをごくごく飲んだら、二度寝する。1時間ほどしてまた起きて、プレイマットの上でごろごろごろごろ、同じ方向に寝返りと寝返り返りをくりかえして端まで移動しては私に真ん中に戻されて。そのうちとろとろ微睡んでいるのを静かに放っておくと都合よく寝てしまう。
ひん、ひん……っと泣き声のような鳴き声のような声をたてて目を覚ましたら、またミルク。西日がぎらぎら眩しい15時16時ごろ、可愛いお顔を眺めると朝ついたばかりの生傷っぽかった傷がなんだか薄くなっている。
お昼寝二回でこの回復力。素晴らしい新陳代謝。ドラクエの宿屋で朝を迎える効果音が聞こえてくる。

なお、夜中にちょこちょこ起きて子供の様子を確認している大人のほうは、HPが満タンまで回復しないステータス異常を患って4ヶ月が経った。

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