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書評ブログ vol.35「大河の一滴」を読んで

無類の本好きのわたし。どうせなら読んだままにせず思いっきり主観の入った書評を書いてみたいと思い立ちました。この記事がきっかけとなり、実際に読んでくださる方がいたらとても嬉しいです。

≪読み終わった本≫

大河の一滴』 五木寛之

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この「大河の一滴」という本は初版がH11.3.25なのですが、なんと20年たった今も読み継がれている大ロングセラー。帯にもありますが一年前とはガラッと変わってしまった日常に不安を抱く人や自分の生きている足元をもう一度見つめなおしてみたいと考える人たちからさらに多くの支持を得ているようです。

私がこの本を読むことになったのは、日本テレビの人気番組「世界一受けたい授業」で取り上げられたのがきっかけです。

じつはこれが五木寛之さんの作品を読むのが初めてだったのですが、読み終わった本のページは付箋だらけ(笑)
それほど、考えさせられたり覚えておきたい言葉ばかりだったのです。
本に書かれていた言葉をご紹介しつつ私の感じたことを書いていきます。

マイナス思考ってワルくない!?

プラス思考最上主義?のようなことが書かれた本が多くありますが、著者の五木さんは「プラス思考だけでは救われない世界がある」と言っています。

現実にはプラス思考だけでは救われない世界があります。マイナス思考のどん底の中からしか本当のプラス思考はつかめない

そういわれてなんだか気が楽になりました。だっていいことばかり考えるのってずっと優等生でいるみたいな感じがして正直疲れる・・・(^^ゞ
いい子ちゃんよりも、適度に(←ここが重要)毒吐いて、気がのらない日は少しくらいブス~っとすることのある人のほうがなんだか人間らしくていいかも。もちろんいつもそんな人だと周りにいる人を不快にさせちゃうからイケないけれど。

それから悲しかったり寂しかったりするときには思いっきりその感情を味わい受け入れることが大切だと書かれています。

喜ぶことと同じように、本当に悲しむことが大事なのです。本当に悲しむというのはどういうことか。自分のために悲しむだけでなく、他人のために悲しみ、涙を流すことでもあります。(中略)本当に人間にとって重要なことを深刻に悩むことによっても人間の自然治癒力とか命は活性化していく

それから、本の中では親鸞が弟子に言った言葉が紹介されています。

そのさびしさから逃げるな。そのさびしさをごまかすな。(中略)きちんとそのさびしさと正面から向き合って、そのさびしさをしっかりと見つめるがよい。そのさびしさこそは運命がおまえを育てようとしているのだから

そういえば私がはるか昔、大失恋をした時の話。
毎日毎日、仕事をしていても運転中でも自然と涙があふれ、休日も家に閉じこもっていた日々がありました。まさにどっぷりと悲しみに浸っていたのですが、それも1か月もすると(←立ち直りが早すぎますかね?笑)その状態に飽きてきて、「こうなったらもっといい女になって見返してやる~」と不思議なエネルギーがわいてきました。

そこからは外見を磨いたり、たくさん本を読んだり人とたくさんあったりして自分磨きに精を出す日々。

そうしたらある日、ある人に「なんだかどんどん綺麗になっていくね」と言われたのです。(←あ~、懐かしい。そんなときもあったなぁ…)

もちろん、五木寛之さんはわたしのこんなちっちゃなことを言いたかったわけではないでしょうが、つまり、悲しい時や寂しい時はむりに自分を奮い立たせなくっても(プラス思考しなくても)、本当に悲しんだり寂しんだりしたほうが良いということ。

オンラインでは得られないもの

別の記事「【番外編】人と人が集うということ。」でも書きましたが、人との接触を極力避けなくてはいけない今の世の中、授業までもがオンラインで行われるところも出てきました。それは世界中どこにいても学ぶことができるし、繋がることができるという、とってもいいことなのですが、ひとが人と対面で会うというのはやっぱりオンラインでは得られないものがあると気づかされました。

人間と人間が向き合い、お互いに息づかいのきこえるような距離でもってなにかを学び、なにかを伝え、そして何かが伝えられる。(中略)言葉の内容と同時に、その言葉を発する人間の表情とか肉声、あるいは息づかい、間のとりかた、そういうこと全部を通じて、何かが人間に伝わってくるもの

べつに霊感とか強いわけではないけれど、直接対面している相手から ”気” みたいなものを感じ、直感で「あっ、なんか感じのいいひと(みたいな感じがする)」とか逆に「なんか、近寄りがたいかも」と思うことがありますが、それが五木さんの仰りたいことなのかもしれません。

(最後に)わたしが「大河の一滴」で何を思ったか。

なんといっても、ものの見方を教えてもらった1冊となりました。

プラス思考になれるのはマイナス思考の中からしか生まれない

自分の感情に素直になる。自分は何をしたいのか。または何が不満なのか。
それに注意してみる。そして自分で納得のいく生き方をしながら、私には何の役割があってこの世に生まれてきたんだろう?そんなことも一度考えてみようかなと思いました。

おわり。

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