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主人公の人懐っこく隠しきれない善人ぶりが主演・坂本昌行のキャラと絶妙にマッチ、花乃まりあの美しい歌声にもうっとり…★劇評★【ミュージカル=ザ・ミュージック・マン(2023)】

 人が人をだますとき、そのために使われる嘘がまっとうで希望を抱かせるものであればあるほど、だまされる方はたとえ嘘だとうすうす分かっていても、憎み切れなくなってしまうことがある。それでも詐欺は詐欺なので罰されなければいけないが。かつて20世紀初頭の米国には、都会から遠く離れた小さな町に乗り込んでは、「マーチングバンドをつくって青少年の健全な育成をしよう」と売り込み、楽器や教則本からバンドの制服までまとめて買わせる男たちがいた。馬車の時代から続くセールスマンたちの「訪問販売」が基本で、まっとうな業者の中に紛れて、代金を得たら、商品も渡さず逃げてしまう「詐欺師」もいたようだ。そんな中に楽器も弾けないのに自らを「教授」と名乗り、ひと際胡散臭い男がいた。そんな男と、売り込みを受けた街の人々との、真偽がごちゃまぜになった「交流」と、だます方、だまされる方双方に訪れた予期せぬ「変化」を描いた名作ミュージカル「ザ・ミュージック・マン」が、ミュージカルの申し子、坂本昌行の主演で日本では13年ぶりに上演されている。坂本の人懐っこい一面と隠し切れない善人ぶりが主人公ハロルドのキャラクターと完全合体して物語に抜群の真実味を与える上に、ヒロイン、花乃まりあの美しい歌声にはうっとり。ますます活躍の場を広げる六角精児や純烈を脱退したばかりの小田井涼平らキャスティングも話題性十分で、感動の波を劇場にひろげ続けている。(写真はミュージカル「ザ・ミュージック・マン」とは関係ありません。単なるイメージです)

 ミュージカル「ザ・ミュージック・マン」は2023年5月6~7日に名古屋市の御園座で、5月13~15日に大阪市の梅田芸術劇場メインホールで、5月21~22日に静岡市の静岡市清水文化会館マリナート大ホールで、5月26~28日に福岡市の博多座で上演される。それに先立って4月11日~5月1日に東京・日比谷の日生劇場で上演された東京公演はすべて終了しています。

★序文は阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも無料でお読みいただけます。舞台写真はブログでのみ掲載しております。ご了承ください。

★無料のブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(100円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。坂本昌行さん、花乃まりあさん、藤岡正明さん、小田井涼平さん。六角精児さん。森久美子さんら俳優陣の演技に関する批評や、ダニエル・ゴールドスタインさんの演出や舞台表現に対する評価などが掲載されています。場合によってはスタッフワークに対する評価に言及する可能性もあります。

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★ミュージカル「ザ・ミュージック・マン(2023)」公演情報

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