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月刊イランだより(仮)〜素晴らしきイランの国内生産能力〜

 イランに越してきて早1ヶ月、やっとSIMカードやデビットカードなども手に入り、生活が整ってきた。こんにちここで話したいのはイランの国内生産能力の素晴らしさである。

 イラン赴任が決まった時、イランでの生活が全く想像できなかった私は、前任者と連絡を取り、「経済制裁で何も手に入らないから、出来る限り色々なものを日本から持ってきたほうがいい」と言われていた。その時同時に言っていた「日本からイランに帰るたび国内生産でよく頑張ってるなあと感心するよ」というセリフの矛盾の意味をわからずに、大量の荷物を積んでイランに来てしまった。イランに到着してスーパーに行くや否や、すぐさまその矛盾の意味に気付かされることになる。

 イラン、中東、と聞くと乾燥した砂漠を思う人も多いだろう。実はイランと日本はほぼ同緯度にあり、日本と同様に四季がある。日本と異なるのは、湿度がなく、非常に過ごしやすいこと、ほとんど雨が降らないことである。冬は雪が降りゲレンデスポーツが楽しめ、夏は暑さから逃げてすこし標高を登った屋根のあるコート(それでも女性は全身布で覆うので死ぬほど暑い)なんかでテニスやゴルフが楽しめる。標高が高いので球がよく飛ぶとも言われており、イランで記録を伸ばした後に日本でゴルフをすれば、「イランだともっと飛ぶのになあ😎」なんてセリフが言えるのだ。
 スーパーには豊富な種類の野菜や果物が並んでいる。世界的にブームとなっているスーパーフードのなつめやし(デーツ)やクスクス、日本だと高く付く生のいちじくやピスタチオなども安価に購入することができる。見たこともない形の桃や、見たこともない色のいちじくなどが店頭に並び、どれも最高に美味しい。実家が梨農家で、美意識が高く毎日サラダと果物を出してくれた母のもとで育った私にはイランのスーパーがテーマパークのように思えた。多種多様なヨーグルトやチーズ、オリーブがはかり売れされていて、これもまた安価で美味しい。
食材は豊富で美味しいのに、外食のラインナップはケバブかピザかハンバーガー。イラン最大の謎である。
 イランの謎はまだ尽きない。経済制裁によりここにいるはずのないアイツがドリンクコーナーの棚に鎮座していた。米国最大の発明品、天下のコカコーラ様である。それもなんと「original」という文字を背負っているのだ。更にはスプライトやファンタ、セブンアップ、輸入品棚にはなんとスタバドリンクも並んでいる。コーラの「original」の意味は後述するとして、何故貴方様はそこにおられるのか。
経済制裁を受けて他国企業が撤退してからも、イランで実際に製造を担っていた工場は残る。どうやら「ザムザム」というイランコーラを製造している会社は革命後に放棄されたコカ・コーラの製造工場をそのまま引き継いでスタートした会社らしい。要するに中身は全くのコカコーラ。しかし一点、恐ろしい違いがある。それがこの「original」に秘められている。なんと砂糖の代わりに、人工甘味料のハシリ、「サッカリン」なるものが入れられているのだ。後は、ゲップの量が2倍になるくらいだが、これは恐らく成分の違いではなく標高の高さによるものだろう。

 Made in japanのクオリティにはほど遠いが、食品以外にもバラエティに富んだ国内製品の服や雑貨が並んでいるし、「著作権」という概念がないらしいこの国では日本でよく見たここいるはずのないブランド店が並んでおり、極め付けには我らがUNIQLO様の化粧品なんかも売っている。なんて素晴らしきイランの国内生産能力であろうか。

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