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デニムを育てるとは。(無料記事)

こんばんは!

皆さんはデニムを何本持っていますか?

そのうち加工されたものは何本ありますか?

簡単にユーズド感を味わえる加工デニムは今やファッションアイテムとして揺るがない地位を築き、年々多様性も深まってきました。

しかしながら自分の足の形や生活に根ざした色落ちではないので、ヒゲやハチノスなんかの位置やアタリの長短はやっぱり多少ズレますよね。

意外と知らない方が多いですが、実は日本は世界でもトップクラスのデニム産地なんです。

場所は岡山の児島という地でディオールやサンローラン、バルマン、セリーヌなど多数のビックメゾンも岡山工場にて契約し、生産しています。

僕が所持している最高額のデニムは約30万円なんですが、これも岡山にて生産、加工したものです。


新品の状態から数十年履いたようなリアルな加工で、リペアもしているので持ってみるとズッシリと重いです。

この重さ、厚さもデニムとしてのポテンシャルを高める一つの材料になります。


こちらは今期のディオールのセットアップとシャツ、キャップ。

ユーズド加工をして様々な色のカラーステッチが施されたキムジョーンズらしいポップでキャッチーなデザイン。

お手持ちの加工デニムと比べていかがですか?

で、ここまで加工デニムについて紹介しましたが自分で育てるという選択肢もあるのです。

僕が1年半〜2年くらい育てたエディスリマン期のディオールのデニムです。(写真のコントラストを少しいじってます。)

黒に近い濃紺色でカチカチのデニム、見た事あるでしょうか?

これはフランスのAPCというブランドのリジッド(糊付き未加工)デニムです。

ユニセックスで価格は2万弱、シルエットは細身からストレートまで3種類の展開。

他にもドゥニームやリゾルトを筆頭に国産のブランドもあります。

他に有名なのはヌーディージーンズなんかでしょうか。

これらを半年〜1年も履くとしっかり自分の体型に沿った色落ちが楽しめます。

そして面白いのが自分のライフスタイルを投影する事ですね。

僕はよく足を組むので腿の裏側がガッツリ色落ちしています。

破れたらリペアして長く愛用出来るのは愛着がわいて、思い出も刻まれて良いものですよ。

APCの色落ちサンプルです。

こういった色になるまでのざっくりした内訳を説明してまいります。

まず購入後の半年間はひたすら履く、そして初洗濯。


夏は汗をかいてしまうので秋口から翌年の春の終わりにかけて着用を始めるのがお勧めです。

半年というのは週の半分くらいは履ける方で、お休みの日くらいしか履けないという方は1年、毎日履けるような人の場合は3ヶ月程度です。

そして半年履いたら洗濯ではなく糊落としを兼ねたソーク。

ちなみにソークというのは洗濯機で洗うのではなく、お風呂やバケツに水と少量の洗剤を入れてつけ置きする事を指します。

アメリカのデニムヴィクティム達は洗濯による色褪せや生地の摩耗を避けるために洗濯よりもソークを優先します。

それにより清潔感と深い濃淡差を両立する事が可能になります。

初回時は糊落としと汚れを落とす事の二つが目的なので50度ほどの熱湯に30分ほどつけ置きします。

お湯が黄色くなるのは汚れではなく糊が溶けた事によるものです。

糊が落ちたら冷たい水に替えて、生地を裏返して洗剤をほんの少量入れて混ぜた中に沈めます。

エマールやアクロンなどの界面活性剤が入っていないものが理想。

デニム用洗剤なんてニッチなものも多数ありますが、正直自己満だと思っていますw

そしてまた30分ほどつけ置きしてから水で2〜3回ほど綺麗にすすぎ、形を綺麗に整えて洗濯機で5分ほど脱水、シワをしっかり伸ばして裏返しのまま陰干しします。

洗濯やソーク時に熱湯と水を使い分け、裏返す理由。


まず糊は熱湯で溶けますがインディゴの染料を浮かせてしまいます。

なので基本的には冷水での洗濯が望ましく、裏返して干さないと日焼けしてしまいます。

当然着用中には裏返せないので日焼けは不可避ですが、色落ちサンプルの左側のようなインディゴと白糸の濃淡を楽しみたいならば必ず裏返した方がいいです。

またよくいい色落ちを目指すなら洗濯はしないと言う人がいますが、あれは間違いで着用を重ねると皮脂と菌が生地を脆くします。

冬は汗をかきませんし夏は嫌でも汗をかきます。

なので季節にもよるのですが冬なら20〜30回、夏は3〜5回も履いたら必ず洗うべきです。

というか洗いたいと思ったら迷わず洗いましょう!

この時にソークか洗濯か選ぶわけですが、岡山製の生地を使っているなら基本的にはどちらでも良い色落ちをします。

長くインディゴの濃さを残したいならソーク。

とにかく早く色落ちさせたい、面倒くさいのはやだ、完全に綺麗にしたいのなら洗濯機にすると良いです。

アメカジっぽい荒っぽく粗野な色落ちを目指すならガス式の乾燥機にぶち込めば更にいい雰囲気になります。

家庭用乾燥機ではなくコインランドリーなんかにあるパワーが強いガス式で乾燥させるとカリッカリに乾いてパッカリング(裾やポケット周りなどの畝の波打ち)も綺麗に出ます。

これとか凄いですよねー!

たまに覗くアメリカのデニム好きが集まるサイトにアップされていたAPCです。

jeans fade などで検索すると出てきます。

彼らもAPCはお気に入りだそうでサンプル例が多数見れますよ!

大体着用中のデニムの写真と着用年数、洗濯回数、ソーク回数が添えられています。

2y 1wash 2soaksみたいな。

デニムの色落ちや寿命の指標になる生地のオンス。

こんなのも。

ここまでなるまで生地が持つのがAPCのクォリティの高さだなぁと思います。

大体2〜3年くらいで普通の生地はフニャフニャになりますが、これはオンス(生地の厚さ)による違いです。

APCは14.5オンスで厚いか薄いかでいうと少し厚い程度です。

オンスが高いと長く履けますし、シワになった時のテンションが強まるので色落ちもハッキリと出ます。

そして冬に寒くない(結構重要)

一番スゲーと思ったのがこれ、多分毎日着用としても5年以上は履いてますね。

アンダーカバーの85デニムみたいなパンクスっぽい雰囲気がクールです。

僕は18歳頃からエディスリマンのディオールのデニムを5〜6本ほど育ててきましたが、デザイナーがクリスヴァンアッシュに変わって近年は全く販売されなくなり、代替されるものを探していてAPCのものを使用してみましたが価格の割にはとても良質だと感じています。

というのも実はコレ、本来2万円では買えないものなんです。

日本の生地を使っているからフランス本国とほぼ同じ金額で販売されてるわけです。

最初は2万円なんて高い!と思うかもしれませんが1年も履けば安いと感じるはず。


長く愛用する上で超重要なサイズについて。


まずデニムはめちゃくちゃ伸びます!

洗濯すれば目が詰まってまた縮みますが着用を重ねればまた伸びます。

こうして洗濯と着用によってサイズが変わることからシュリンクトゥフィットという概念があるくらい。

新品を購入して履いていたら伸びてしまって履かなくなった!って方の多さはメルカリなんかを見ているとめちゃくちゃいるんだなーと感じます。

トップボタンが閉まらないキツいくらいのサイズを選びましょう!

大きいとテンションがかからないので結果としてヒゲやアタリもあまり綺麗に出ません。

生地が厚いのと糊付きで固いという理由からみんなワンサイズ大きいものを買いがちですが、ワンサイズ小さいくらいで丁度いいです。

動き辛い、キツいのは最初だけです。

どうです?デニム育てるっていいものでしょう?


いやー、デニムって本当にいいものですねえー。(元ネタ分かる?)

正直若いうちは加工デニムを愛用するのも全然アリだと思います!

ただ、もし物足らなくなってきたら是非一度まっさらな状態からゆっくりじっくり育ててみて下さい。

旅行が好きな方は旅行先でついた汚れや傷がその地その地の旅の思い出になります。

仕事中に履けば色落ちや傷みがあなたの職場での貢献度として職務に没頭してきた証になります。

友人や恋人同士で育てるのも共有する喜びがあって一層絆が深まります。

子育て中の方は子供の成長と並行して楽しめる事でしょう。

今ではいろんな生地の洋服が出回っていますが、これほど適当に扱えるタフな生地もないですし、アレルギー持ちの方でも安心して着用が出来ます。

大抵の汚れはゴシゴシ洗えば抜けますし、火にも強くてカビも生えません。

僕はキャンプの時は大抵上下デニムで焚き火をガンガン燃やしてますw

そして何より上質な革製品のように長く深く相棒のように楽しむことが出来ます。

これがきっかけでファッションをより深く楽しめるようになれば幸いです。

今回もありがとうございました!

さよなら、さよなら、さよなら(元ネタ分かる?2回目)



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