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卒業制作の現状と壁【後編】

先日公開した前編に引き続きよりサービスと製品のことについて深掘りして触れていく。※迷いながら書いているので、少し長くなっています。ご了承ください。

目次【後編】
3 : C-LOVERSに込めた意味
4-1 : C-LOVERSのビジネスモデル
4-2 : ポータルサイトからECサイトへ
5-1 : 素材研究と製品展開
5-2 : 発泡ウレタンとコーヒーかす
5-3 : シリコンとコーヒーかす
5-4 : 木粉粘土とコーヒーかす
5-5 : こんにゃくとコーヒーかす
6 : まとめ

3 : C-LOVERSに込めた意味

まずC-LOVERSはクローバーズと読む。
植物のクローバーの花言葉に"私を忘れないで"というフレーズがあり、普段捨てられており、忘れられがちなコーヒーかすにも使い道はある!ということを忘れないでほしいとの想いがある。四葉のクローバーは幸運の象徴でもあるので、C-LOVERSのサービスやプロダクトと出会ったひとに幸せになってもらいたいとの想いも込められている。
そして、C-LOVERSにハイフンが入っているのは、Coffee LOVERSの短縮系を表しており、"サービスやプロダクトをコーヒーを愛する全ての人に届けたい"というメッセージを込め、ブランドネームとした。
自分がコーヒーに出会って生活が豊かになり、人生が変わった経験から、コーヒーで世界中の人々に笑顔を届けたい。

4-1 : C-LOVERSのビジネスモデル

前編の中でも触れたようにC-LOVERSは、価値の非対称性を利用した新たな価値として「消費者とコーヒー事業者が共に参加できるコーヒーかすのアップサイクルプラットフォーム」を創出することを目的としている。そのため、長期目標として実際に家庭から出たコーヒーかすを回収するシステムを提案する。家庭から出たコーヒーかすを提携店舗に持ってきてもらうと特典としてC-LOVERSの製品やコーヒー豆と交換できるというシステムである。
_個人からコーヒーかすを回収するためには、カビないように保管し、手軽に運搬してもらうことが必要である。Kaffeeformでは真空パックに入れることで運搬しているが、個人から店舗までを真空パックで運んでもらうのは少々手間なので、どうしようか悩んでいる。

4-2 : ポータルサイトからECサイトへ

C-LOVERSではWEBサイトのスタイルを
①コーヒーに関するメディア事業
②コーヒーのポータルサイト
③ポータルサイト+製品サイト
と変化させていこうと考えている。このステップを踏むことで最終的に、カフェを見つけたいユーザーの製品へのタッチポイントを増やしつつ、製品に興味を持ったユーザーの提携店舗への来店を促すことができる。2軸で支え合うことでメディアとしてのPVを確保しつつ、製品の購買を促すことができるのではないかと考えた。

WEBの変化に合わせて3つのステップで事業の拡大を考えている。
①アップサイクルと発信の土台づくり(短期目標)
②新規ユーザーの伸張と中長期ファンの獲得(中期目標)
③消費者参加型アップサイクルの実施(長期目標)

ここから具体的に説明していく。
まず短期目標として、複数のコーヒー事業者と提携を結ぶことからはじめていく。「コーヒーかすを買い取るという新しい切り口に賛同してくれる事業者を巻き込み、同時にコーヒーのポータルサイトとして、カフェの情報掲載も行う。事業拡大に伴い、広告費を取ることを想定しているが、まずはコーヒーかすを集め、製品を製造することに注力していく。この段階でWEBは第一段階で、ブログのような立ち位置。3年ほど発信に注力する。

次に製品の製造と提携店舗が一定数に達したところで、コーヒーのポータルサイトとして運営を始める。ナレッジ共有、レビュー系記事、豆の産地情報などを中心に記事を増やしていく。フェアトレード、環境保全、アップサイクルなどの記事も公開し、サステナブルなコーヒーを推進する団体になる。イベント出店や生豆の卸の方とコラボ企画をやってみるのもいいかも。五味一成さんの運営するCoffeeMeccaで行われている取り組みに近い。五味さんのnoteは興味深い内容が多かったので、この卒制にも活かしていきたい。

そして、ファン層を増やしていき、提携店舗との関係性を築いていく。その後、このタイミングでコーヒーかすのアップサイクル製品をC-LOVERSオリジナル店舗と契約コーヒースタンドとWEBで同時に販売していく。これまで培ってきたコーヒーのポータルサイトからアップサイクルブランドという立ち位置にシフトすることで、信頼の上で消費者にアップサイクルに参加してもらうことができるのではないかと考えた。製品を購入することでもアップサイクルに参加してもらえるが、より消費者に主体的な行動をとってもらうためにC-LOVERSの店舗ではラボを併設し、実際に消費者が持ってきたコーヒーかすから製品を作る過程を見てもらおうと考えている。

5-1 : 素材研究と製品展開

前編の1-2でも記述したが、製品を作るにあたりコーヒかすの機能について調べた。焙煎によって豆の表面に小さい穴がたくさんあいた多孔質という性質を活かし、消臭や除湿に利用できる。また、シャンプーや洗顔に利用することでコーヒー豆に含まれる油分が髪や肌の保湿に利用できたり、発汗を促すことができる。他にも火をつけると煙が蚊取り線香になったり、土に混ぜて発酵させることで堆肥として使えたり、逆にそのまま利用すると除草剤になったりもする。そんなコーヒーかすの機能に着目して素材研究を行なった。

私はコーヒーかすを製品化する際の問題点は、3つあると考えている。
①機能を活かしたまま固形にしづらい
②保管時に水分が含まれているとすぐカビてしまう
③大量に乾燥することが難しい
③はKaffeeformで製品が作られているため、工場で乾燥させることは問題ではないが、個人が乾燥させるとなると少し難しいのではないかと考えている。

5-2 : 発泡ウレタンとコーヒーかす

コーヒーかすの消臭、除湿効果を活かすために多孔質である発泡ウレタンで包むことで効果を損なわずして固形にすることができた。検討段階でランダムに切り出したのが写真のものである。そのまま靴に入れて消臭したり、お香スタンドにして未使用時の玄関の消臭が出来る。今後は形を洗練させていきたい。

こちらも同じく発泡ウレタンからできたプロダクトである。成型時に垂らしながら固めることでシート状にできたため、コーヒーかすのシートとして使用できないか検討しているところである。左下の靴のインソールは表面をコーヒー染めした布で覆い、履き心地も考えた。しかし、ペンケース、灰皿、ランプシェードなどは機能を活かした製品ではないため、今後どう展開していこうか迷っている。

5-3 : シリコンとコーヒーかす

卒業制作を初めて最初に試したのがシリコンとコーヒーかすを混ぜた素材であった。上の製品と似て、現状あまり機能はない。しかし、一度に多くのコーヒーかすを使用できるため、アップサイクルとしては良い。今回はインソールと合わせて靴底に使用してみた。シリコンの匂いが強いため、匂いも含めてどう利用していくかも問題である。

5-4 : 木粉粘土とコーヒーかす

コーヒーかすはカビやすい。それを解決するために自然素材で防カビ効果のあるヒノキやヒバのおがくずと糊にコーヒーかすを混ぜてカビにくくして成形しようと考えた。
実際に作ると固まった時の見た目は硬いコルクのような印象があり、ヒビが入りやすい点を解決すればカップやドリッパーにも利用できるのではないかと考えている。その場合は、表面を食品用シリコンでコーティングし、強度と安全性を確保する予定である。

また、これを燃焼させると煙が多く出て、蚊取り線香として使えそうだったので、そちらにも利用していきたい。

5-5 : こんにゃくとコーヒーかす

自然素材で固めるというアイデアからこんにゃくで固めてみたりもした。実際作るとまさにコーヒーこんにゃくといった具合で触り心地は非常に面白いが、匂いが完全にこんにゃくだったので、総合評価としては△であった。しかし、凍らせて乾燥させることを繰り返して水分を抜くと凍みこんにゃくができると知り、現在挑戦中である。こんにゃくとコーヒーかすで固めることができれば、口に入れても安心なので赤ちゃんやペットの近くでも使用できる消臭剤が作れるのではないかと考えている。

6 : まとめ

長くなってしまったが、卒業制作でビジネスが作りたい!という漠然としたとこらから始まり、自分の好きなコーヒー産業を今後さらに盛り上げていくために持続可能で生産者から消費者まで皆が幸せになれる流れを作りたかった。その過程でコーヒーかすという優れた素材のアップサイクルに着目し、事業者から買い取ったコーヒーかすから製品を作るループの中に消費者も参加できるようにすることで既存のアップサイクルブランドとの差別化を図った。
ここまで作ってきてブランドを立ち上げることは非常に難しく、大変な制作であることを痛感した。しかし、大好きなコーヒーに毎日向き合ってデザインというフィールドの中でものを作ることは本当に楽しい。1月末の卒制の発表時にアウトプットできるものは、今の自分自身の全力を出し切ったにすぎないのかもしれない。しかし残り2ヶ月、悔いのないように楽しく全力で作品に向き合っていきたい。

今回書いた後編の方のビジネスモデルと製品づくりの段階で少し迷っていたり、困っているので、これを読んで気になったことや、似たような事例、知っていることなどがあればLINEでもFacebookでもTwitterでも直接会って話していただきてもいいので、教えていただきたいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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