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卒業制作の現状と壁 【前編】

私は現在、大学4年で卒業制作に取り組んでいる。しかし、風呂敷を広げすぎて、自分でも何をやったらいいかわからなくなってしまったので、一度文書に起こして整理してみようと思う。

目次【前編】
0 : 何をつくるのか?
1-1 : 制作のきっかけ
1-2 : コーヒーかすは万能!
1-3 : アップサイクルとは
2-1 : 現状調査と差別化
2-2 : 提案の目的
2-3 : ビジョンとブランドミッション

0 : 何をつくるのか?

まずは何を作るのかから話していく。端的に言えば、コーヒーかすのアップサイクルを利用したプラットフォームビジネスの提案である。各地のコーヒースタンドと提携してコーヒーかすを買い取り、消臭効果や美容効果を活かしたアップサイクル製品を作り、それをECサイトで販売するというコーヒー事業者と消費者が共に参加できるプラットフォームの構築が目標である。

1-1 : 制作のきっかけ

「マーケットにおけるデザイナーの立ち位置を肌で感じたい!」
「デザインが市場に与える影響について知りたい!」との想いから卒業制作という場を借りて企画から研究、設計、製造、販売のプロセスを1人で踏んでみようと考えた。

その考えに至るきっかけは、noteではお馴染み、チャーリーさんのビジネスモデル図解の記事を見たところから始まった。就活で「デザインって何だろう…」と迷走していた時期でもあったこともあり、こんな形でもデザインってビジネスに関与できるんだと知ったときの衝撃は大きかった。

また、時期を同じくしてレシート買取アプリ「ONE 」がリリースされ、話題となっていた。

今、世の中で流行っているサービスって価値の非対称性がポイントになっている事が多いと感じていて。例えばフリマアプリとかがそうだと思うんですが、ある人にとっては価値がないものでもそれが誰かにとってはすごく価値があったりする。<中略> 価値がないものを価値があるものに変える。これは面白いなと。(MY FUTURE CAMPUS 脱“高校生”起業家。 スマホアプリ「ONE」で世間を驚かせた起業家の素顔より引用)

記事の中で語られている「価値の非対称性」という言葉は非常に印象に残った。物が溢れていると言われている現代で、個々の価値感の高低差を利用してビジネスにするという着眼点は非常に面白いなと感じた。

そんなきっかけで、大好きなコーヒーを軸に新たなビジネスが作ってみたいとの想いから私の卒業制作は始まった。

1-2 : コーヒーかすは万能!

私はコーヒーが大好きである。コーヒースタンドでのアルバイト経験からコーヒーの魅力に取り憑かれてしまった。家で友人向けにカフェを始めたり、コーヒースペシャリスト検定を取得するほどのハマり具合である。
ある日のバイト中、ドリップした後のコーヒーかすをゴミ箱に捨てている光景が目に留まった。
コーヒーかすには消臭や除湿効果があり、堆肥として利用することもできる。また、美容効果もあったり、燃焼させることで蚊取り線香の役割も果たすことができる非常にポテンシャルの高い素材である。
しかし、調べると多くのコーヒースタンドやカフェがコーヒーかすを捨てていることを知り、この素材の機能を活かして製品を作ろうと考えた。

1-3 : アップサイクルとは

制作の過程で「アップサイクル」という言葉を知った。

「アップサイクル」とは、サスティナブル(持続可能)なものづくりの新たな方法論のひとつである。従来から行なわれてきたリサイクル(再循環)とは異なり、単なる素材の原料化、その再利用ではなく、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すことを、最終的な目的とする。(アップサイクル | 現代美術用語辞典ver.2.0 - Artscapeより引用)

つまり、廃材を同じ価値のものに作り変えるのではなく、より価値のあるものに作り変えるサイクルのことを「アップサイクル」と言う。
今回は、コーヒーかすのリサイクルとは言わず、アップサイクルと位置付て製品作りに挑戦することにした。

2-1 : 現状調査と差別化

制作にあたり、まずはコーヒーかすが利用されている現状調査を行った。最初に目に留まったのがKaffeeformのカップ&ソーサーである。コーヒーかすから作られたカップ&ソーサーは見た目もかっこよくて素晴らしい製品であった。すごいなぁと思ったが、よく考えるとKaffeeformのプロダクトの面白さの根源は「コーヒーかすから作られたコーヒーカップ」という着眼点であり、私が求めているコーヒーかすの機能を活かした製品ではないことに気づいた。
そこで、コーヒーかすの回収や乾燥などのロールモデルとしてKaffeeformを掲げ、ステークホルダーとの関係性と製品と販売方法で差別化を図ることにした。

また、UCC上島珈琲株式会社やスターバックスコーヒージャパン株式会社など大量のコーヒーを扱う企業では、既に堆肥やバイオ燃料としてコーヒーかすを利用している事例が見受けられた。その中でもセブンイレブンジャパンでは、セブンカフェで出たコーヒーかすから消臭成分を抽出し、トイレ用の消臭剤を作ることでアップサイクルに取り組んでいることがわかった。
アップサイクルに着手している企業はどの企業も大企業であった。それ故に1社内で完結してしまっており、外部のコーヒー事業者や消費者がそのサイクルに参加することは出来ないように見受けられた。また、別角度ではFREITAGをはじめとするアップサイクルブランドの事例を調査したが、そのサイクルの中に消費者はいないことが多かった。
そこで、今回は多くのコーヒー事業者と消費者が共に参加できるプラットフォームを提案する。

2-2 : 提案の目的

本提案の目標は、消費者にコーヒーかすの機能を知ってもらい、美味しいだけじゃないコーヒーの魅力に気づいてもらうことである。
海外の農園で育ったコーヒーノキから果実を収穫し、コーヒー豆となる種子を取り出し、運ばれ、焙煎され、挽かれ、そして抽出される1連のストーリーを経て私たちは美味しいコーヒーを飲むことができる。
だが、丹精込めて作られたコーヒー豆も抽出が終わればそのストーリーの輪から外されてしまう。それでは生産者の想いを汲み取ると、非常にもったいないことをしているのではないかと考えたため、アップサイクルに着手することにした。

とはいえ、コーヒーかすをただ単に回収すると言ったところで「ただのゴミじゃん」と思われてしまう。そこで、私はC-LOVERS(クローバーズ)というアップサイクルブランドを立ち上げ、コーヒーかすの有用性を世界に広く伝えようと考えた。

広く伝える手段として、コーヒーかすの消臭機能や美容効果など利用したプロダクトを作ることで、見る、嗅ぐ、触れるなどの「飲む」以外の切り口でコーヒーかすの機能からコーヒーの魅力に気づいてもらおうと考えている。

コーヒーの機能に着目した製品からコーヒーの魅力に気づくことで、いいコーヒーを知って、いいお店を知って、いい人と出会ってほしい。

2-3 : ビジョンとブランドミッション

C-LOVERSは、コーヒーの情報を発信し、コーヒーかすのアップサイクルを推進し、そのサイクルを持続させることで、生産者、事業者、消費者それぞれの生活の質が向上し、その輪が広がることでコーヒーを愛する人を1人でも増やしたいと考えている。


長くなってしまったので、とりあえず前置きで終了。後編でビジネスモデル、素材研究、実際のデザイン案などの話をしようと思っている。変更点が多々あるかもしれない。

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