見出し画像

2021年3月の色々(梅田哲也イン別府「0滞」/びじゅチューン!展/the telephones/lyrical school)

3.13 梅田哲也 イン 別府「0滞」

画像1

画像2

大分県別府市にて、毎年1組のアーティストを招いて街を用いた個展を開く「in BEPPU」という芸術祭。2020年度は梅田哲也氏を招いての開催。梅田氏の名前は夏頃に舞台「プレイタイム」の演出家として聞いてはいたけどどんな作風なのかは全く知らず。で、調べても音楽やら造形やら写真やら演劇やら、何でもやっていてよく分からない。けれども森山未來と満島ひかりを迎えた映画の上映もあるようだし、分かんないなら行ってみるか!となった。

画像3

画像4

画像5

この芸術祭の基本となるのは街の周遊。別府市内の指定された場所に向かい、発信される電波を専用ラジオで傍受して音声によって異なる時間軸の景色を立ち上げる、というもの。例えばただの廃墟に見えるこのプールも、戦前は九州一の大きさを誇る遊園地だったのです。例えばただの神社に向かう路地もかつては海岸線だったというのです。そんな想像力を掻き立てる音がラジオから聞こえて来る。目を瞑るとその時代に触れられそうになる。

画像6

画像7

画像8

その場所に集積してきた記憶の風景が不意に音として干渉してくる不思議な心地を抱えたまま最後は映画館ブルーバードに辿り着く。森山未來と満島ひかりが湯けむりを通して別府の時空を繋ぎ合わせるような映画を鑑賞し、ここまでの経験までもがその空間にはめこめれていくよう。ラストカットはエヴァンゲリオン旧劇場版的に、観ている我々がスクリーンに映し出される。作品、ひいてはこの別府の街に飲み込まれるような未知なる興奮を覚えた。

画像9

画像10


3.14 びじゅチューン!×OPAM「なりきり美術館」@大分県立美術館

画像11

画像12

NHK Eテレで放送中、世界の美術作品を独自の解釈で紹介する番組の企画展。アーティスト・井上涼氏が手がける歌とアニメーションを立体化したような作品と、それに関係した美術作品を同時に楽しめるというこれぞ楽しい教養と呼ぶべき充実の展覧会だった。直島探訪以来、現代アートには興味を持ち続けてきたけれどもいわゆる有名作品には深く触れずに来てしまったので、こういう入り口があるのがありがたい。何事も文脈を知りたいと思う人間なので。

画像13

画像14

子供番組で流れるタイプの作品からは大きく逸れたオルタナティブかつ珍妙な趣を持った井上涼氏の作るポップソングとアニメーションはループ感とぐねぐねとしたモーションが病みつきになるし、その世界へと入り込めるような展示物が多かったのがとても良かった。松林と霧を見てステージに現れるアイドルに見えたり、富嶽三十六景を見て波と富士山の恋に見えたり、その突拍子もなさは笑ってしまうのだけど、そういうのもアリにしちゃうクリエイション力。

僕が大変感銘を受けた作品は代表作である「風神雷神図屏風デート」。風神と雷神がデートするという題通りの作品だけど、1分30秒に込められた思いは実に豊か。屏風絵からこの2人が秘密にしなくていい世界を描き出そうとするイマジネーション。今回は展示されてなかったけど「納涼デート」もすごく心震えた作品。あたりまえとして同性カップルが描かれ、あたりまえとして肌の色の違う子どもがそこにいる。ポップでありながらも強い祈りが刻まれてる。

画像15

画像16

画像17


3.21 the telephones 15th Anniversary”Tour We Go”「豚骨DISCO!!!」@福岡DRUM Be-1

画像18

5年ぶりのニューアルバム『NEW!』と結成15周年を記念した全国ツアー福岡公演。福岡でのワンマンは7年ぶりで、ご時世に合わせて座席ありだった。テレフォンズといえば2010年代夏フェスブーム黎明期の牽引者であり揉みくちゃライブの代表格だと思っていたのだが、、結果としてとても良かった。各々が好き勝手に踊れる同調圧力のない世界。リスナーが大人になったというのもあるのだろうけど、この空間の自由なパーティー感は今回ならでは。

『NEW!』の楽曲もやりつつ、しっかりと15年の重厚さを感じさせるセットリストが素晴らしかった。90分もなかったけどこのサイズが心地よく踊りきるのに相応しい。ディスコと言いながらリズムはメタルでギターはハードロックという妙なダンスロックバンドだったけど、「New Phase」や「Clumsy」は横ノリかつテクノやファンク成分を感じる曲で、ここにきてシンプルにディスコティックな曲を希求し始めたのも興味深い。良い経年変化だと思う。

1stアルバム『JAPAN』からの「FREE THROW」が素晴らしかった。これ以降、激しめの曲の配分が増えていくのだけども初期からずっとこういうメロディアスで温かな曲はあったわけで、そんな過去がちゃんと今のモードとしてジャストだったのが彼らの強さなのだろう。ブレなさで言えば今回は岡本伸明(Key)の奇行にも感じた。しっかりとステージが見えるので彼の突拍子もない動きをまじまじと目撃し、改めて彼の存在は我々の高揚の化身なんだな、と。脳内麻薬が作り出した景色のような、危ない魅力に満ちている。


3.27 lyrical school oneman live tour 2021@福岡DRUM LOGOS

画像19

1番好きなヒップホップクルー、リリスクによるワンマンツアー。福岡公演は1年4ヶ月ぶり。2020年の自粛期間もいち早くリモートライブという形式でしっかりと射止めてくれていたので、ようやくリアルで観ることができる!という感慨はたっぷりとあった。1曲目「Tokyo Burning」で5人が並んだ時の待望感ったらなかった。1サビのアジテートまではバックライトに照らされたまま直立不動で歌う姿も、こちらの高揚感に火をつけるのに一役買っていた。

今回、前半は「Enough is school」や「Play It Cool」といったズシズシと来る楽曲や「消える惑星」や「シャープペンシル」といったメロディアスな楽曲を中心に、じっくりと魅了。リリースを控えた新アルバムからの新曲「Bright Ride」はrisanoとyuuによる眩い歌メロが輝き、「FIVE SHOOTERS」のストレートな鼓舞も堪らない。特に印象的だったのは「Time Machine」。インダストリアルなトラックに、ブレス多めなhimeといつもの歌唱を封じたhinakoの気だるいボーカルが乗る超絶新機軸。

換気を挟んでの後半はパーティーチューンを連発。このご時世を逆手に取った良い構成!圧倒的に華のあるステージングだった。終盤、「Fantasy」の最後で幕が閉まり始めて、おぉ、アンコール予防の演出か?と思ったらガチハプニングだったらしく、hinakoだけ幕の前に取り残されたのは流石に面白すぎて大笑いしてしまった。あんなにキリッと歌うminanが「LAST DANCE」のAメロ笑って歌い切れてなかったり、色々と混沌としてた。それをしっかり楽しむ余裕含め、信頼できるグループだなぁ、と。

#音楽 #日記 #ライブ #ライブ日記   #ライブレポート #ライブレポ #イベントレポ #美術展 #アート #現代アート #梅田哲也 #びじゅチューン #井上涼 #lyricalschool #thetelephones #ロックバンド #アイドル #JPOP #HipHop


この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?