アレクサンドル・アファナーシェフ、イヴァン・ビリビン『うるわしのワシリーサ』1965年復刻版
今回は、ロシアの巨匠イヴァン・ビリビンが挿絵を手掛けた『うるわしのワシリーサ』1965年復刻版の全ページを撮影したので公開する。本作はロシア民話研究者アレクサンドル・アファナーシェフによって編纂されたロシア民話のひとつである。
ビリビンが挿絵を手掛けた『うるわしのワシリーサ』は1899年に出版された。出版から60年以上が経過し、1965年にゴズナク博物館収蔵の初版を基に復刻版が印刷された。この復刻版も今では60年ほど前の稀覯本となっている。内容としては短く、僅か十数ページのボリュームの極薄の書籍だが、ビリビンの美麗な挿絵と相まって、本作は読者に強烈な印象を残す。
物語のあらすじは、以下のような内容である。母を早くに亡くした少女ワシリーサは、継母とその連れ子たちからひどい虐めを受けていた。だが、ワシリーサは実母が残した形見の人形と共に窮地を乗り越え、最終的には機織りの才能が目に留まって王に見初められ、王妃になる。シンデレラによく似たストーリー展開で、無名の少女が一国の王の目に留まり、王妃に成り上がるという典型的な逆転エピソードである。
1899年初版が最も挿絵の鮮明さに優れ息を呑むほどだが、1965年復刻版も負けじと再現性は高い。以降の版では、急速に質が低下する。現存するものはコンディションに優れないものが多く、ここまで優れた状態を保っているものには滅多に出会えない。年々、市場にも姿を見せなくなってきており、価格も驚くほど高騰してきている。
Shelk🦋
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