見出し画像

#5 ワークライフバランスは誰のため?

「 今ここで、しあわせを繋ぐ意味がある」〜 しあわせ探求庁です!

しあわせは何でできていて、どんな姿をしているのでしょうか? 私たち「しあわせ探求庁」は、デンマーク🇩🇰発祥の「対話」をもとにした手法を用いて「しあわせの地図」を描いていきます。
 メンバー2人が対話し、その記録を元にした記事を毎週水曜日に投稿、はじめの部分は2人によるトークでお届けします。下のボックスの右下にある再生ボタンを押して、放送をお聞きいただけると光栄です✨

🇩🇪収録時佐々木はドイツ在住だったため、ドイツに関する内容になっております


〜 以下の記事は、上の stand.fm 放送の続きです 〜

デンマーク幸福度向上の要因


先ほど「ワークライフバランス」は幸福度に関わるキーワードだとおっしゃっていましたが、美織さんがデンマークに滞在していて幸福度について感じたことはありましたか?

デンマークでの1年間の滞在のうち、4ヶ月は現地のホストファミリーのお家でお世話になったんです。その前に滞在した学校で、デンマークのいいところばかり聞いていたのでデンマークのリアルな声を聞いてみたくて。そしたらやっぱりみんながみんな幸せだって言っているわけじゃなかった。「本当に幸せだと思う?笑」って聞き返されたこともありました(笑)

そんなことがあったんですね。確かに客観的に外から見る国の姿と、実際に中に入って見るのとでは違う発見があるものですよね。

そうなんですよ。学校で習って得たイメージとは違う部分もあり、ショックでした。だけど、そんな人たちでさえもデンマークのいいところとして多くの人が共通していたのは、「ワークライフバランスが保たれているところ」だったんですよね。

なるほど。美織さんは実際にデンマークでアルバイトをしていたとのことですが、どうでしたか?

ワークライフバランスについて一番印象的だったことは、サービス業であってもバケーションのために2週間しっかりお休みがあった点ですね。私は日本で7年ほどサービス業に携わってきたのですが、飲食店でこれほど長い休みを取るなんて信じられませんでした。しかも、金銭面に関してはアルバイトという立場でも、口座にバケーションのための臨時収入が数万円入っていたんです。すごくないですか?内心ガッツポーズでした(笑)
デンマークでは法的に1年に6週間有給休暇を取ることが義務付けられているんですよね。

そうなんですね。確かに、ヨーロッパの夏季はどの企業もバケーション期に入るので、1ヶ月休むっていうのもよくありますもんね。僕もドイツに来た時「いい研究のためには、夕方以降と週末は研究活動をしないこと」と上司に言われたのが印象的でした。やはりしっかり休みを取ることは、結局良い仕事を生むと思います。

私もそう思いますね。2024年に発表されたGDP(国内総生産)ランキングでもドイツが日本を超えて、ドイツが3位、日本が4位になったことも話題になりましたよね。一人当たりのGDPで見ると、デンマークが9位で日本は37位です。厚生労働省のデータからも、時間的に見ればOECDの中で日本はとんでもなく長い時間働いているのに不思議です。

本当にかっこいい上司って


日本での職場のイメージは「残業をして終電で帰る」というのを未だに聞きますが、ヨーロッパではそれが「仕事ができない人」だと見なされると言いますよね。会社によると思いますが、実際友人に聞くと「人手不足で本当に終わらない」とも聞きます。あとは「上司がまだ残っているから残っておく」「頑張ってる人(残って仕事をしている人)は偉い」という考えはすごく日本らしいですよね。そんな中で、私のアルバイト先だった英会話スクールの上司はほとんど毎日定時に上がってしっかり成績を残されていて「かっこえぇ〜。」って思ってました。

残業する理由に関しては、様々だとは思いますが、僕が以前実際に働いていた会社では、「残業代で稼ぐ」という考えを持っている人が多くいました。「仕事は終わっているけど、あと30分居れば残業代がこれだけでるから、漫画読んで帰ろうかな」とか、「子どもも生まれたし、時間を売ってお金にしないと」って。

わ〜、なんだかモヤモヤします。日本だからこそ起こる発想、、。その30分、子どもはお父さんと過ごしたいはずなのに、その連鎖は幸福度を下げていくんじゃないのかな、、。まだ本業だけならいいですが、最近日本は副業も流行っていますよね。もちろん好きなことや自己成長のためならいいと思いますが、自分自身や大切なものに使う時間が減っていかないようにしたいですね。後はやはり、本業だけでは十分な収入が得られないからという理由も大きいと思います。

僕がドイツに来た時、大学の研究員以外に何か仕事をするつもりはあるか聞かれたんです。もし副業をするなら本業である大学側に申請する義務があるんですが、副業で稼いだ分は、本業のお給料から引かれるっていうシステムになってるんですよ。なので、稼ごうと思って本業以外に頑張って働いても、最終的に得られる収入が変わらないようにできてるんです。お金で時間を買えないシステムになってるんですよね。そもそも、大学の方から本業の方の効率が下がるから副業はやめてほしいと言われました。

えええ〜、それは驚きです。貧富の差が少ない国作りができそうですね。日本での、本業だけじゃ面倒見切れないから副業を勧められる現象とは正反対です。ただ、日本の国民性や経済状況から見ても、ドイツのような制度は成り立たなそうですね。

しあわせのためにお金がかかる日本


日本人ってなんでそんなに働くのが好きなんだろう、、。日本って消費社会なので、娯楽も全部お金で買うようにできてますよね。デンマークにいた時は、娯楽やお金の使い道ってどんな感じでした?

デンマークでは大人にとっても自然が遊び場だったので、海に飛び込んだり、森に散歩に行ったり、そんなことが典型的な余暇の過ごし方でしたね。
 後は、日本でいる時ほど外見にお金をかけることもありませんでした。デンマークにいたら服装もみんなシンプルだし、高級バッグを持っている人も本当に見かけないんです。大学生のお金の使い道のデータを見ると、よくわかると思います。

日本って幸せになるためにお金がかかる国なんでしょうね。だからどんどん時間をお金に変えればいいや、ってなっていく。ワークライフバランスが整っていて、時間をお金に交換しない国っていうのは、そもそも社会生活や人間生活にお金がそれほどかからないようにできているんじゃないですかね。

確かに。私は昨年の夏に日本に帰って来ましたが、日本では友人と会うのも基本的には外に出て、カフェに行ったり飲みに行ったりしてあっという間にお金を使ってしまいます。
 デンマークでは物価が高いのもありますが、家具へのこだわりが高い国民性なので、友人を家に呼んでおしゃべりすることも多くて、あったかい空間が素敵なのはもちろん、節約できるなぁって思ってました(笑)ただ、バケーションをしっかり取る分、そこで一気に使うっていうのも聞いたことがありますけど、、、

けどそのバケーションもサマーハウスを借りて海辺でゆったりっていう過ごし方も多くないですか?やっぱり、手頃な気がします。
 僕は結構日本にいる時から、ホームパーティーをしたり、キャンプ行って焚き火したりっていうのが好きでしたよ。家具にもすごくこだわりがあって。

へ〜!北欧っぽいですね。
 あと、デンマークでキャンプをするにも場所代要らずで、森の中にフリーのキャンプ用スペースみたいなのがよくありました。日本だとキャンプって、グランピングとか完全に用意され尽くされていて楽チン!なのが人気ですよね。私もたまに利用しますが、それってやっぱりもう、仕事でエネルギー使いすぎちゃっててとにかく「遊びは楽に」って思うんでしょうね。

それってどうなのって思います。日本の旅行のキーワードってとにかく「癒し」じゃないですか?みんなそんなに疲れてるのかなって思います。休みのために働いていて、「年一回の海外旅行のために、しんどい仕事を毎日してるんだ」ってかっこよく聞こえるかもしれませんが、全然幸福度の高いことじゃないですよね。

そう言われるとそうですね〜、、。しんどい仕事を頑張って稼いだ後に、目一杯お金を使って遊ぶ楽しみがしあわせの1つっていう考え方もあると思いますが、仕事を頑張りすぎてバランスを崩して、遊びが楽しめないのはもったいないですよね。

ワークライフバランスのバランスってどんな比率?


ただ、ワークライフバランスのそのバランス感も人それぞれなのかもしれないって思います。例えば、私の友人は完全な仕事人間で、時間的に朝早くから夜遅くまで働いていても本当に楽しそうにしてるんです。それはすごく素敵なことだし、あれだけ毎日好きな仕事をしていられるのは幸福度高いだろうなと思います。

僕の考えでは、仕事にやりがいがあって仕事を遅くまでやってるっていうのは違うと思っています。
 ランナーズ・ハイって知っていますか?苦しいという限界を越えると、麻薬が効いたような錯覚に陥るっていうものです。それが仕事でもでるんですよね。仕事にやりがいがあろうがなかろうが、時間が長くなることでハイになっていくっていう過労陶酔感ですね。
 僕も経験があるので、それでワークライフバランスを崩して休みもなしに働くっていうのは自分で自分を騙しているだけだと思います。しかもお金が伴うことによって評価が付いてくるから余計にその状況になりやすいんです。「自分が好きだって言ってるんだからいいじゃない」って言われるのは、やっぱり僕は違和感を覚えます。

なるほど。私が以前勤めていたところは残業がほぼない会社でしたが、それでも辞めたいと思って辞めたのでワークライフバランスの他に理由がありました。もちろん好きな仕事ができて私生活との時間的バランスが取れたらベストだと思いますが、ワークライフバランスが取れていてもしんどい仕事をするなら、ある程度バランスが崩れても好きな仕事をしたいと思います。

正確にはワーク・ライフ・ライフバランスなのでは!


そもそも、ワークライフバランスっていう言葉ってなんか引っかからないですか?僕はすごくモヤモヤするんです。だって、ライフって2つの大きな意味があるじゃないですか、「人生」と「日々の生活」っていう。日々の生活を送るためにしなければいけないこともライフですし、人生で成し遂げたいこともライフなんですよね。言うなれば、ワーク・ライフ・ライフの3つのバランスが大事なんだと思いますね。
 ただ、世間で言うライフは人生の方だと思います。なぜかと言うと、家事とか子どもの面倒などの日常生活っていう方を知らない男性目線でその言葉を作ったからなんですよね。

なるほど、おもしろい視点ですね。
もともとの意味である「人生で成し遂げたいこと」をバランスよくできれば、それこそ幸福度が高いと思いますが、実際は日々の生活の方に取られちゃってる気もしますね。

日本では特にワークの部分が多いから、残りのライフは日々の生活でいっぱいいっぱいになるけれど、ヨーロッパではワークの時間も比較的短いので、日々の生活の方のライフはワークの方に入っているんじゃないかと思いますね。

そういやワークライフバランスという言葉自体について、デンマークで出会った人が「ワークライフバランスじゃなくって、ライフの中にワークがあるべきだ!」と言っていておもしろいなと思いましたね。

それはよくわかります。
 一般的には18世紀の実業家のロバート・オーウェンがワークライフバランスをはじめて提唱したとされているようですが、政治的ないしビジネス的な思惑があったんじゃないかなと思います。当時その人にとっては、ワークライフバランスっていう分類でよかったんでしょうね。

そう言った歴史を遡って考えてみるのもおもしろいですね。私も今一度、私自身が一番幸福に感じるワークライフバランスを整えていきたいと思います。

「 今ここで、しあわせを繋ぐ意味がある」〜 しあわせ探求庁でした🍩
 また来週水曜日にお会いしましょう!
(2024年5月15日)

しあわせ探求庁|Shiawase Agency
  
日本支部:成江 美織
   (miori @しあわせの探究
オランダ支部:佐々木 透
   (ささきとおる🇳🇱50歳からの海外博士挑戦
ご意見・ご感想は記事へのコメント、またはメールでお寄せください

この記事が参加している募集

仕事について話そう

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?