柴塾塾長

自立した学び手の育成を目的にした学習塾です。テストの点数だけでなく、学ぶ楽しさ、成長の…

柴塾塾長

自立した学び手の育成を目的にした学習塾です。テストの点数だけでなく、学ぶ楽しさ、成長の喜びを知るための支援、産業界と教育の世界をつなげるサポートをしたいと考えています。https://www.shiba-juku.com

最近の記事

ジブリ映画「君たちはどう生きるか」異世界についての一考察

映画館で観るつもりはなかったのですが、賛否両論があるというので、がぜん観る気になり、先週ジブリ映画「君たちはどう生きるか」を観てきました。 私としては、事前情報がない分、自分なりの解釈ができる点が自由で、ワクワクしました。「先入観を持たずに観てほしい、そのため宣伝をほとんどしない」というジブリの方針が理解できました。 以下ネタバレを含みます。ご覧になっていない方は、事前情報なしに一度映画館に足を運ばれることをオススメします。 さて、酷評も多かったこの映画。 確かに一回

    • 自然農法と教育の共通点

      菌ちゃん農法とは 先日参加させていただいた講演の内容についてご紹介したいと思います。 実は、うちでは畑を借りて奥さんを中心に野菜作りをしています。 農薬や化学肥料を使わずに安全でおいしい野菜を育てたいという想いがありました。 でも3年ほど本を読みながらやってきたのですが、なかなかうまく育たず、どうしたものかと思っていた時に知ったのが「菌ちゃん農法」です。 菌ちゃん先生、の愛称で親しまれている吉田俊道さんは、長崎の佐世保で菌ちゃんファームをされています。 今回たまた

      • マンガは読ませないほうがいいでしょうか?

        マンガはエンタメであり、勉強には関係ないものであり、出来るだけ読まないほうがいいというイメージがあると思います。マンガなんかより「本を読まなければダメだ」という意見の方も多いでしょう。 確かに、マンガばかり読んでいて全く勉強しない、目が悪くなる、過激で暴虐的描写のあるマンガの存在などのデメリットもあります。 いったいマンガとどのように付き合わせればいいでしょうか? 私はマンガ擁護派です。 いいマンガを選び、制限時間を守り、暗いところで読まないなど気をつけるべきことはあ

        • やる気のスイッチはどこにある?

          「誰かうちの子のやる気のスイッチを入れてほしい」というのは多くの親御さんの切実な願いなのかもしれません。 「スイッチが入らないままだったら、うちの子の将来はどうなってしまうんだろう。」 「もしスイッチが入ったとしても、受験に間に合わなかったらどうしよう。」 「うちの子にはそもそもスイッチがなかったらどうする?」 というように不安に感じる方もいるかもしれません。 結果的に、厳しく接しても、詰め込みでもなんでもいいので成績をあげてほしいということになるのではないでしょう

        ジブリ映画「君たちはどう生きるか」異世界についての一考察

          勉強ができないと自己肯定感が低くなるでしょうか?

          「小学校1年生ですが、勉強ができないと自己肯定感が低くなるのではないかと心配しています。塾に行かせたほうがいいでしょうか?」 というような自己肯定感に関するご質問をたまにいただきます。 今回は私の経験や学んできたことを踏まえ、少し整理し、私なりの考えを述べたいと思います。 自己肯定感とは? 「自己肯定感はとても大切」ということをいろいろなところで聞くようになりました。しかし少し違和感を感じています。 そもそも自己肯定感とはなんでしょうか? そしてなぜここまで大切だ

          勉強ができないと自己肯定感が低くなるでしょうか?

          「やわらかい能力」と「カタい能力」

          今、半沢直樹が大人気ですね。 「勧善懲悪」「倍返し」「勝つか負けるか」 私も好きで原作を全て読みました。わかりやすく、悪いことをした人がやりこめられるところはスカっとします。私も若い頃には憧れていたスタイルです。 一方、最近は、タモリさんていいなぁ、と思うようになりました。肩の力が抜けていて、器が大きく後輩から人望もある。でも教養も高い。 半沢直樹のバリバリやる仕事力だけでなく、スポーツの技や、考える力、知識力、集中力、学力などは、質感として硬いイメージです。正解・不

          「やわらかい能力」と「カタい能力」

          詰め込み教育は知識偏重だから問題というわけではない

          詰め込み教育は知識偏重が問題だ、思考力が阻害される、一方、ゆとり教育は必要な知識が得られず学力が落ちる、というような議論があります。 詰め込み教育に関することだけでなく、多くの議論をみていて疑問に感じるのは、  「勝つか負けるか?」  「正解か不正解か?」  「善か悪か?」  「外出自粛か死か?」 など、AかBかという二項対立の議論が多い点です。 鋭い論を展開するためには有効かもしれませんが、でも残念ながら、この世界はそれほど単純ではないことはご存知のとおりです

          詰め込み教育は知識偏重だから問題というわけではない

          探究的学びの可能性に改めて気づく

          今年から学習指導要領が改定され、2022年には高校で探究的な学びが全面的に取り入れられます。 そのためか、世の中の変化のためか、今や小学生向けの探究学習が花盛りと感じます。 探究学習は、うまく取り組めれば、読む力、考える力、表現する力など総合的な力が身につくため、非常にいいことと思います。 でも、私としてはちょっとしっくりこない点がありました。それは、テーマを学校や塾が決めることがまだまだ多いようだという点です。一律の学びを提供するという点では、算数などの教科と結局変わ

          探究的学びの可能性に改めて気づく

          勉強をルーチン化するととてもいいことがある

          3ヶ月の休校期間中どのように過ごしていたでしょうか? 暇を持て余していた人もいたかもしれません。 うちの塾では、中学生は朝にオンラインで勉強をしていました。自由参加にもかかわらず、全員がほぼ毎日参加してくれました。 規則正しい生活を送ることと、ちょっとずつでも勉強をすることを目的に始めたこの試み。 最初はモノ珍しかったオンラインでの試みも、明確な目的や目標がなければ、どこかでマンネリ化するものです。 でも、このマンネリ化というのは、いい面もあると思うのです。 それ

          勉強をルーチン化するととてもいいことがある

          遊びながら論理的思考力をみがく方法

          休校により暇を持て余していた子供達。 うちもご多分にもれず、暇を埋めるため映画を観たり、料理をしたり、工作をしたり、少し難しいパズルをやったりしていました。 その中で、4才になる下の子がハマったのがトランプの大貧民(大富豪)というゲーム。 そして、このようなゲームは論理的思考力を鍛えるのにいいのではないか、と思うのです。 最近教育の世界でも「思考力、思考力」と言われています。 今のところ、問題を解いたりしながら、座学の中で思考力を磨くというのが一般的なのかもしれませ

          遊びながら論理的思考力をみがく方法

          失敗を経験できない勉強から脱却しよう!

          若いうちはいろいろ失敗を経験したほうがいいとよく言われます。 この失敗について感じたことがあったので、今回はそのお話です。 例えば、テストでうまくいかなかったとします。 親御さんとしては「まったく気にしていないようで、危機感のなさにこっちのほうがやきもきします。」と思うこともあるでしょう。 そこで本当の意味での「失敗」を経験できない子がいるということに気づいたのです。 つまり、あれこれ指示をしたり、管理をしたりして詰め込みでやらせた場合には、その子の失敗にならないケ

          失敗を経験できない勉強から脱却しよう!

          休校期間中だからこそ、教科書を読もう

          緊急事態宣言の延長が決まる中、 学校があることのありがたさを感じている方も 多いのではないでしょうか? 塾はオンラインで続けているとはいえ、 学校を補佐する形で時間数やカリキュラムを決めているため、 大変さを感じています。 そんな休校期間中ですが、 だからこそ今、チャレンジしてもらいたいことがあります。 それは「教科書を自力で読みとる」ということです。 社会や国語であれば、 教科書を読むというのは行われるかもしれません。 しかし数学などは 授業でも教科書を読むという

          休校期間中だからこそ、教科書を読もう

          この1ヶ月、休校時期に子供たちから教わったこと

          コロナで世の中が騒然としていますね。 小学生のころから大好きな志村けんさんが亡くなり、アイーンから「笑い」というものを学んだ私としては、直接の知り合いでもないのに喪失感が。世の中暗いニュースばかりです。 でも、ここでわれわれは何をするかが問われている気がします。 うちの塾では、3月に入ってからはすべての授業をオンラインにしました。 オンラインというと、録画された授業のビデオを流すスタイルをイメージされる人もいるかもしれませんが、オンライン会議システムを使った双方向のも

          この1ヶ月、休校時期に子供たちから教わったこと

          子供が混乱する大人からのメッセージとは?

          大人から発せられる悪気のない矛盾 最近は、テストでいい点数をとりいい大学に入って、大きな会社に入りさえすれば人生は安泰などと言う人はさすがに少なくなってきていると思いますが、 逆にふだんから、 「大人になってからは、学校の勉強なんて役に立たない。」 「人生では勉強以外のことが大切だ。」 「勉強は受験にしか役に立たない。」 というようなことを言っている人はいることでしょう。 一方で、 「勉強しなさい。」 「宿題やったの?」 とつい言ってしまうこともあると思い

          子供が混乱する大人からのメッセージとは?

          過度な計算練習が思考力を邪魔することがある?!

          小学生の時は80点とか90点とかそこそこできていたのに、中学でつまづく子が一定数います。 一般には、小学校の内容が理解できていないからとか、計算が苦手だからとか、いろいろ言われています。 それで、「もっとたくさん繰り返し計算練習をしなさい」という指導をするケースも多いでしょう。もちろんこれが当てはまる場合もあります。 でも、小学校の内容が理解できていないからでも、計算ができないからでもないのに、理解できないということがあるのですね。 例えば中学で学ぶ文字式「x円の3割

          過度な計算練習が思考力を邪魔することがある?!

          小学生で習う「割合」はどう理解すればいい?

          先日の授業のことです。 「割合」についてやったのです。 割合はつまづく子が多い単元ですが、テストで使うだけでなく、税率、利益率、原価率、割引率、達成率など日常生活でも社会に出てからもよく使う概念です。 さらに芳沢先生の「%」が分からない大学生 日本の数学教育の致命的欠陥』という本を読み、大学生になって%がわからないのはさすがにまずいな、と感じたため、ちゃんと理解させてあげたいなと思っていました。 この割合について、教科書や参考書、問題集などでは、公式や図、比などを使っ

          小学生で習う「割合」はどう理解すればいい?