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爆ぜる顔面!眼球破裂!面白過ぎるシンプル超能力バトル!「スキャナーズ」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(486日目)

「スキャナーズ」(1981)
デヴィッド・クローネンバーグ監督

◆あらすじ
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浮浪者のべイルは自分がスキャナーと呼ばれる超能力者であることを知らされる。その頃、もうひとりのスキャナー•レボックがコンセック社の会議場で人の頭蓋骨を破裂させるという事件が起こる。自らの能力を使って世界征服をたくらむレボック。女性スキャナー•キムとともにレボックを追うベイルは、やがて自分とレボックにまつわる秘密を知ることに……。(公式より引用)
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独創的で秀逸な世界観が特徴のスリラー映画を多く生み出しているデヴィッド・クローネンバーグ監督の出世作とも言われている“超能力者たちの戦いを描いたSFホラー”です。

デヴィッド・クローネンバーグ監督(Wikipediaより引用)

クローネンバーグ監督作品はこれまでに「ヴィデオドローム」と「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」の2作を鑑賞しています。しかし正直なことを言うとそのどちらとも独創性が強すぎてあまり内容を理解できず、「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」に至っては何一つ分かりませんでした。

『内容はよくわからないけどなぜか面白い』

というのがクローネンバーグ監督に対する私のイメージだったんですけども今作は誰が見ても内容が理解できる作りとなっています。

これは私の勝手な想像ですが

「もっと自分の独創性を全面に出した作品を撮りたいけど予算が足りないし、誰も見てくれないかも。まずは低予算で誰でも楽しめる作品を世に出して有名になって、潤沢な資金を確保できるようになってから撮りたいものを撮ろう!」

というクローネンバーグ監督なりの考えや葛藤があったのかもしれません。実際この次に発表した「ヴィデオドローム」はクローネンバーグ節は炸裂していますが興行的には失敗に終わっています。

今作はCG合成が導入される前の作品かつ低予算のため映像的に派手な戦闘シーンは少ないです。しかし地味な服装の男女が絵面的にはただ相手を見つめるだけで顔面を爆発させたり、発火させたり、コンピューターのデータに侵入したりするのが逆に斬新で

監督、脚本、俳優、カメラワーク、音響、照明etc…

どれをとっても圧巻のパフォーマンスです。

そして序盤の頭部を破裂させるシーンやラストの主人公ベイルとラスボスのレボックの戦いは今見ても衝撃的です。おそらくですけどここはめちゃくちゃ予算を割いてると思います。気合の入り方が違います。

この直後、右のおじさんの頭が爆ぜます。

昨今のキラキラした若い俳優さん、CG、VFXなどに辟易している方々にはもってこいの作品ではないでしょうか。

◇ショッピングセンターで食べ残しを貪っているところを婦人に蔑まれた浮浪者のベイルは敵意を持ってその婦人を睨みつける。すると婦人は突如もがき苦しみ卒倒してしまう。その様子を見ていた謎の男達に拉致されたベイルは国際的警備保障会社コンセックが設立した“スキャナー”と呼ばれる超能力者を研究している施設のベッドで目を覚まし、ルース博士から自身がスキャナーであることを告げられる。そして世界征服のために他のスキャナーたちを集結させている悪のスキャナー•レボックを抹殺するよう要請される…

という少年漫画、青年漫画、アニメ、ドラマ、舞台等など、たとえ映画以外のどのジャンルで調理したとしても絶対に面白くなる導入で一気に心を掴まれます。

手から炎を出してもこの表情です。

ここで簡単にスキャナーについて説明させていただくと

☆ESP(超感覚的知覚)の一種であり、神経細胞を撹乱するテレパシーの持ち主。相手の神経系統と結合することで行動や身体機能をコントロールすることが可能となる。これらのことをスキャン(走査)と呼ぶことから能力者のことをスキャナーと呼ぶ。
相手の行動や自律神経系などをコントロール、感覚器を混乱させ幻影や錯覚を見せる、その他コンピューターをスキャン、人体発火なども可能。

ということで、これだけしっかりした設定があると本当に実在するのではないかと思えてきます。しかもスキャナーたちの見た目は一般人とまったく同じで、スキャンする時は派手な演出も決め台詞も何も無いです。ただただ見つめるだけ、念じるだけというのが現実味を増します。

公衆電話からパソコンのデータに侵入する主人公のベイル

そんなこんなでスキャナーの能力を覚醒したベイルは味方となってくれそうな他のスキャナーを探す旅に出ます。しかしレボックの計画に賛同しなかったスキャナーには既に魔の手が忍び寄っており、各地で戦いに巻き込まれます。そんな戦いの中で出会ったヒロインのキムと共にベイルはレボックたちと死闘を繰り広げます。

ジェニファー・オニール演じるヒロインのキム
マイケル・アイアンサイド演じるレボック
“カナダのジャック・ニコルソン”の異名を持ちます。

『強大な悪に立ち向かう主人公たち』

という王道のストーリーに超能力が実在するSFな世界観、そして本当に存在するのではないかと錯覚してしまうほどに設定がしっかりしているスキャナーの存在が絶妙にマッチしており何度でも見返したくなります。

クライマックスのベイルとレボックの闘いは互いにその場からほぼ動かずに壮絶なスキャン対決を繰り広げるというこの作品の集大成とも言える描写のオンパレードで

このように両者共に血管が浮かび上がり血が吹き出して

ついには眼球が破裂したり、燃え尽きたりします。

派手な殴り合いや銃撃戦などのアクションが無くても実力者が揃えばこれだけ凄いものが作れるのだと感動さえ覚えました。

現在DMMTV、U-NEXT、huluで配信中です。
これは是非とも見ていただきたいです。これまで見てきた映画の中でもトップクラスに面白かったです!

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もしよかったら覗いてやってください。

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